思い出した記憶
思い出した記憶
アリシアは、聖剣ソチアスに魔力流し込み、柄を真紅に輝かせながらツタン帝国の兵と対峙していた。1対1ならば決して負けるはずがない実力はあるが、数の力は何よりも強い。
まわりを敵兵に取り囲まれ、テント中央に立ち尽くす。
その光景を離れたところからレッドが見ていた。本当は真っ先にアリシアの首を獲るつもりだったのだが。
レッドは、その顔に見覚えがあった。思い出されるアリシアの笑顔が脳裏をよぎる。これは何の記憶だ。お互いが制服を着ていて、俺がアリシアを抱きかかえた状態で地面に倒れている。そして俺は背中の痛みをこらえながら「お怪我はありませんか。」と声をかけていた。
そこから一気に記憶が蘇ってきた。戦闘中に隙をさらすことはありえないことだが、幸いなことにこのテントの中は、アリシア以外ツタン帝国の兵だらけだ。
「何ということだ。俺はアリシアと戦う側にいたのか。」
すべてを思い出した俺は、目の前の兵を切り捨てた。アリシアを守らなければ。
俺の頭にはそれしかなかった。
アリシアをかばいながら兵士を切り捨てること数分。近くの兵士をすべて倒しテントの中は一時的にアリシアと2人だけになった。
「どうして助けるのです。あなたは敵なのでは?」
「つッ」
「姫様、ご無事ですか」近衛兵が集まってきた。俺は、身をひるがえしその場から離脱した。