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ホワイトとの話し合い

ホワイトとの話し合い

ホワイトはアリシアがいる部隊に面会を申し込んできた。

アリシアはホワイトがツタン帝国の最大魔力保持者の魔導士であることを知ったうえで、この申し出を受けた。ホワイトは決して好戦的ではなく、話ができる魔導士と知られていたからだ。ちなみに、ホワイトは最高位魔導士として白色の外套を着ていたため、尊敬を込めて“ホワイト”と呼ばれるようになっていた。


テントの中

カメール王国側 アリシア、ダリア

ツタン帝国側  ホワイト、従者1人


テーブルにはアリシアとホワイトが対面で座っていた。ダリアと従者はテント出入り口の両脇に待機している。もちろんテントの外はカメールの兵士と近衛兵が待機している。


「初めまして、アリシア王女。私の申し出を受けていただきありがとうございます。」

「初めまして、ホワイト大魔導士。お噂はかねがね聞いております。お目にかかれて光栄です。」

「最初に、このテーブルに結界を張ります。ぜひ、ご許可願います。」

「わかりました。」アリシアは真剣な目で見つめてくるホワイトを信用した。


「私が面会を望んだ理由をお話しします。まず私は今回レッドの討伐を目的で来ています。

レッドはアリシア姫の危機的状況になったときに現れると聞いています。それは本当ですか。」

「確かにレッドは私の命を3度も助けてくれました。どうしてなのかはわかりませんが。」

「本当にわからないのですか。」

「もしかしたら・・・。いや、憶測で話しても・・・」

「これはカメール帝国の上層部も把握していない情報ですが、彼はもともとカメール王国の兵士でした。瀕死の重傷のところをわが帝国の科学者が最先端の技術でよみがえらせました。その際、記憶を失っていたためそのままツタン帝国の兵士になったという事情があります。」

「えッ!」

「おそらく、彼は記憶が戻ったのでしょう。本来ならカメール王国側で戦っているはずが敵国側の兵士であったとは、どれほど苦しんだことでしょう。ならば現在の彼の行動が理解できるのでは。」

アリシアは理解した。レッドは間違いなくアルベルトであることを。


「私は魔法を人を殺す道具として使いたくない。これ以上の殺生は嫌だ。ただ、ツタン帝国には妹が人質に捕られている。私としてはこの戦いを一時的に休戦とし、レッドを連れて帰りたいのだが。この提案を受け入れてもらえないだろうか。」

「レッドに関しては、私も居場所を知らない。また、知っていたとしても先ほどの説明を受けて、なおさらツタン帝国には渡せなくなった。もともと自国の民であれば受け入れるのは当然だ。」

「本当にそうなのか。今のレッドは記憶が戻っているかもしれないが、記憶がなかった2年間にどれほどカメール王国の兵士を殺したのか分かっているのか。とても受け入れることはできないだろう。たとえ王女が認めたとしても、被害を被った兵も民衆も許さないはずだ。ならば、速やかに身柄を我々に差し出すのが得策というものだ。いまさらながら、王女自身、よくわかっているだろう。悪い話ではないはず。よく考えることだ。」

ホワイトは話を終えると引き上げていった。考えが決まったら連絡をくれと一言残して。


アリシアも良く分かっていた。アルベルトも今更名乗らないだろう。それでも私が窮地に陥ったときに助けられるように今も近くで見守ってくれているはずだ。


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