イエローとの戦い2
イエローとの戦い2
ここはカメール帝国の東部、ツタン帝国との国境付近のテント内にアリシアとイエローが対峙していた。イエローはブルーが倒された戦地にくればレッドと遭遇するのではないかと期待していた。間違いなく彼も戦闘狂である。
イエローの期待は外れなかった。アリシアの近衛兵をすべて自慢の大盾で殴殺したところだった。アリシアは聖剣ソチアスに魔力を充填させた。真紅に柄が輝いている。
ダリアはテントの隅に避難させた。ダリアは治癒魔法以外の能力はない。
大盾と聖剣がぶつかるたびに火花が飛び散る。アリシアは聖剣で大盾による攻撃を受け流すことにより何とか数回は凌ぐことが出来ていた。が、すでに肉体は限界だった。
アリシアが体制を崩し方膝をついたところで、イエローは最後とばかりに大盾による体当たりを仕掛けてきた。
この一撃で私は死ぬだろうとアリシアが覚悟したとき、すさまじいスピードの“影”が私を抱きかかえ飛びのいた。イエローは何とか踏ん張り“影”を目で追った。
「やっと会えたな、レッド。死ぬ覚悟はできたか。」
その赤色の“影”は、やはりあのレッドだった。2度ならず3度も私を助けに現れた。
しかし、雰囲気が違う。かなり追い詰められているようだ。
すかさず、レッドがイエローに対し一撃を入れるが、やはりアダマンタイトの大盾に再び手元の剣が粉砕された。
「これを使ってください」私は聖剣ソチアスを彼に差し出した。聖剣ソチアスは真紅に輝いたままだ。
レッドは軽くうなずき聖剣ソチアスを受け取るとイエローに対峙した。
両者睨み合いつつ時計と反対方向に回りながら間合いを図る。聖剣ソチアスを使い居合の型を取った。まるでブルーの時と同じように。
お互い次の一撃で勝敗が付くだろうことは想像に難くない。
ほとんど同時に、攻撃は一瞬だった。
イエローの全力の大盾による体当たりを居合の一閃で真横に切り裂いた。大盾は中央から真っ二つに切り裂かれた。すかさずジャンプしたレッドは、イエローを脳天から一気に縦に切り裂いた。あとにはイエローだった死体が残った。
イエローに勝利したレッドは、聖剣ソチアスをアリシアに手渡し即座に立ち去った。
「また、助けられましたね。」ダリアが呟いた。
アリシアはカメール王国の情報部隊に命令した。レッドがどういう存在なのか調べろと。
彼は敵なのか、味方なのか。