12/27
アリシアの考察
アリシアの考察
アリシアは考えていた。今目の前で起こったことを。死んでいるブルーを見つめつつ、記憶は2年前にさかのぼる。あのスパイによる暗殺未遂後、私の護衛は従者であるダリアに加え5人の近衛兵が担当するようになった。そのため、アルベルトとは挨拶が出来るようになっても親しく話す機会はほとんどなかった。ただ、アルベルトが剣術の修得に励んでいること、そして 独自に“居合”なるものを研究していることは「情報」として掴んでいた。
アルベルトが剣術の才能が凡庸であることに悩んでいることも知っていた。
先の大戦が激しくなった時、学徒動員が発動され、そのままアルベルトは死地に旅立った。
しかし、さっきのレッドの太刀筋あれは“居合”ではなかったのか。アルベルトが独自に研究していたものではないのか。レッドとは何者なのか。どうして2度も私を助けてくれたのか。
もしかしたら・・・・。
味方の兵士が「姫様、ご無事ですか」と駆けつけてきたのはその直後だった。
気が付いた時には、ブルーの死体は何者かに持ち去られていた。