ブルーとの戦い
ブルーとの戦い
ブルーがテントにて追い詰めた先には、アリシアがいた。本来なら王宮にいるだろう姫君も
最前線の兵士の士気を高めるために出張ってきていたのだ。それほどまでに両国の国境付近の戦いは熾烈を極めていた。
アリシアは覚悟していた。ダリアをテントの隅に避難させた。
その他の自分の周りの近衛兵は全員、ブルーの槍の“串刺し”にて絶命した。
この「戦神」相手に勝てる兵はこの国にはいない。自分はこの場で殺される。
アリシアは王から譲り受けていた聖剣ソチアスに魔力を充填させた。柄が真紅に光り輝く。
なんとか攻撃を数回躱せたのは聖剣ソチアスのおかげだ。しかし其の均衡はやすやすと破られる。
まさにブルーの持つ槍がアリシアを串刺しにする刹那、妨害の一閃が走った。
「何をする、レッド。邪魔だ。」しかし、レッドはアリシアの前から動かない。
それどころかブルーに対し剣を向けてきた。
「どういうつもりだ」尋ねても一切口を利かない。
両者睨み合いつつ時計と反対方向に回りながら間合いを図る。おもむろにレッドは剣を鞘に納め居合の型を取った。お互い次の一撃で勝敗が付くだろうことは想像に難くない。
ほとんど同時に、攻撃は一瞬だった。
レッドの剣はブルーの槍の先端を水平に切り裂き鉾の部分を破壊した。
槍の尖端部分を破壊され、その衝撃に一瞬硬直したブルーを、次の一閃、袈裟切りにてとどめを刺した。独自の修行をしていた“居合”は身体能力向上により無敵レベルまで進化していたのだ。
アリシアは驚きながら一部始終を見ていた。呆然自失している間にレッドはその場から去った。
「あの人は味方なの?」ダリアが近くで呟いた。