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手がかりの追跡①

 早速、フリーマーケットとへと足を運ぶと、すでに広場には多くの客が出店されている店を見て回っていた。俺たちもとりあえずはクラスメイトにカメラを売った老人を探す事にした。

「だけど探すといってもただしらみつぶしに探す方法でいけそうではないよな」俺のそういう呟きに幻中は何か良い案があるのか笑みを浮かべる。

「俺たちはなんでここに来たんだ?」

「それはこのカメラの中の幽霊が指差していたから、それが手がかりの可能性があると思ってだろ」

「その通りだ。ならここに来てもやることは変わらないだろう。何を探しているのかはこのカメラから聞くべきだろう。カメラで周囲の写真を撮ってみてくれ」

「ああ・・・」

 俺が言われるがまま、カメラを構えて、シャッターを押す。出てきた写真を確認すると、そこには彼女の姿が映っているのだ。まさか本当に映っているとは。

 写真の中の彼女は、人混みに紛れるように立っているのだが、その白い服装のおかげか、すぐにどこにいるのか分かる。俺はもう一度写真を撮る。すると彼女は人混みの奥へと歩いて行っているようだ。

 俺たちはその都度写真を撮りながら、彼女の後を追う。彼女は公園のどんどん奥へと進んでいくのだが、奥に進むにつれて人は少なくなっていく。それに既にフリーマーケットのエリアからはすでに外れてしまっている。フリーマーケットは何も関係なかったのだろうか。

そこから何分か歩いたのだろうか。突然彼女が写真に写らなくなったのだ。もしかしたら違う方向に進み始めたのかもしれないと思い、360度回って写真を撮ってみたが彼女はどこにも写っていなかったのだ。

「どこにもいないな」俺がそう呟いていると、後ろから俺の肩を叩かれた気がした。俺は叩かれた方向を向くが誰もいない。幻中は周囲に何か無いのか探しているため、肩を叩ける距離にはいない。写真の彼女ではないかと思った俺は、その方向へと進んでみる。すると目の前はすでに公園の敷地外となっているが、そのすぐに先には「古井骨董屋」と看板が掲げられた骨董屋が店を構えていたのだ。

 俺は幻中を呼び寄せて、店の前まで行く。店の前に行くと明かりは付いているため、おそらく営業はしているのだろう。

 俺たちは骨董屋へと入る。外からでも見て分かっちたが、店の中はいくつかの電球が店内を照らしているが、光量は十分ではなく足元は薄暗い。店内には皿やおもちゃなど種類に問われることのない商品が置かれている。店主を探すために奥にあるカウンターらしき場所に向かうが、そこに店主の姿はないが、「ご用の方は右のベルを」とメモと一緒にベルが置かれていたので、俺はベルを鳴らす。 

 ベルの音が静かな店の中を反響する。ベルの反響音が鳴り止むのと同時に奥から「はい」と落ち着きのある返事が聞こえてくる。

 奥から出てきたのは骨董屋の店主のイメージそのものとも言えるような、どこか不思議な雰囲気を感じさせる老人が出てきたのだ。店主は俺たちを一瞥して、「何かご用で?」と尋ねる。それに対して俺はカメラを取り出して、店主に尋ねる。

「少しお聞きしたいことがありまして、このカメラを最近フリーマーケットで大学生に売りましたか?」

 店主はカメラをメガネをかけて、まじまじと見る。そして「ああ。これは私が売ったものだ。」と答える。それと同時に俺たちを疑う表情で「しかし私の記憶では売ったのは君たちでは無かったと思うが・・・。それになぜわざわざそんなことを聞きにきたんだ?」とも聞いてくる。

「実は・・・」

 俺たちはこのカメラで体験した出来事、ここに来た理由を話す。俺たちの話を最初は冗談半分に聞いていた店主だが、俺たちがふざけているわけではないことは伝わったようだった。

「この写真の女性に心当たりはありますか?それかこのカメラそのものについてでも」

「・・・このカメラは私の友人から受けたものだ。昔から友人なのだが彼が身辺整理の際に引き取ってくれと言われてな」

「その方に連絡は取れますか?」という俺の問いに店主は首を横に振る。

「良いが、一度私のほうで確認してみる。少し時間をくれないか?」

「もちろんです」

 俺たちは店主に連絡先を伝え、一度確認をしてもらうことになった。今の所、これ以上、骨董屋から手に入れられる情報は少ないため、店主に一言挨拶して店を出た。そして公園のベンチで作戦会議を行う。

「今は連絡を待つだけか」俺がそう幻中に呟く。

「いや、俺たちもやれることはやってみよう」

「やれることって何をするんだ?今、俺たちに手がかりは何もないんだぞ」

「いや、俺たちでも探す方法はある。この幽霊は俺たちに手がかりを見せてきていた。向こうもこちらには協力的だから、ヒントになりそうなものをさしてもらう。しらみつぶしにはなるけどな。何もしないよりは良いだろう?」

「それもそうだな」俺は幻中の案に賛成する。すると同時に椅子に置いていたカメラのシャッターが押されて写真が出てくる。写真の中には彼女の横顔が写っている。その顔には心なしか笑みが浮かんでいるように見えて、彼女も協力的だというのが感じられた。

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