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呪われたカメラ

見に来てくださりありとうございます!

このお話の主要人物の紹介を簡単にさせてもらいます。

写野まの:大学三回生。ある日、クラスメイトから呪われたカメラについて相談を受ける。カメラの謎について解き明かす。

幻中まもなか:大学三回生。写野の高校からの友人。オカルト、特に心霊物には目が無い。写野と共に謎を解き明かす。

写真の中の女性:呪われたカメラに写る黒髪の女性。

 俺が大学3回生の夏休み、人生における最後の夏休みともいえる時期に一つのカメラを引き取ることになった。その日、俺はクラスメイトから昨日どうしても頼みたいことがあると言われて大学の食堂に呼び出されていた。どのような内容で呼び出されたのかは大体予想が付く。そのため、待ち合わせ場所に向かうまでの足が重い。

 すでにお昼の時間は過ぎており休憩室となった食堂についた俺は、先に来ていたクラスメイトを見つけて歩いて行く。クラスメイトの彼の横には青年が一人座っており、遠くから見ても分かるほど悩んでいる様子だ。

「おまたせ」そう俺がクラスメイトに声をかけると、彼は「写野・・・マジでありがとうな」と申し訳なさそうに返事する。

 俺はとりあえず向かいの椅子に腰掛ける。クラスメイトはいつもは元気がありあまる俗に言う陽キャとも言われる人物なのだが、今の様子からはそれとは対照的な覇気のない暗い表情をしていた。

「とりあえず何があったのか話してくれてもいいか?」という俺の問いかけに彼は「ああ・・・」と力無く答えて、カバンの中から一つのカメラを取りだした。

 それは一つのポラロイドカメラであった。俺もカメラに詳しいわけではないが、写真を撮ったらそのまま現像が出来るというカメラだったはず。そしてその形と色あせぐらいをみると最近のものではないことは分かる。

 俺は「このカメラがどうかしたのか?」と尋ねる。すると彼は青ざめた表情でこう言ったのだ。

「この呪われたカメラを引き取ってほしいんだ。最近、出店の中古品屋で買ったんだが、写真にいつも知らない黒髪の女性が映るんだ。もう手元に置いておくのが怖いんだよ・・・」

彼の表情からかなりそれが嘘で無い事は見て分かる。だが俺はこの相談自体にはそこまで驚きはしなかった。

 別に俺は寺生まれとか霊感があるとかはまったくない。それどころか俺だって心霊系は苦手な方だ。心霊系の映画やテレビでも一人で見ようものなら数日は夜は物音や物陰に少し驚いてしまう。しかしなぜ俺がこのような相談事に関わる事になることかと言えば、それには一つの理由がある。

「そのカメラ、自分が写真を撮っていないのに勝手に撮影がされたりもするし・・・ 写野らならなんとかしてくれると思ったんだ。特に幻中君だったけ?彼なら知ってるじゃないのか?」

「多分、知ってるとは思うけど・・・」

 そう、この原因は、腐れ縁でもある幻中という男が原因である。

 あいつは大のオカルト好きだ。特に心霊系には目が無い。元々霊感が強く、将来はゴーストハンターになりたいかなんとかで、よく分からないがそのような技術を独学で学んでいるのだとか。

出会ったのは高校でそれから腐れ縁となってしまったあいつにいつもこのような心霊案件の事件に巻き込まれたことで、いつしか俺たちは心霊のことなら相談される何でも屋のようになっていたのだ。

「確かに幻中なら喜んで受け取りそうだな。とりあえず一回聞いてみても良いか?」俺はそう言って幻中に今回の件を簡単に伝える。すると一分も立たないうちに「喜んでいただきます!!」と返事が返ってきた。いつも通りの反応だ。

俺は幻中がもらうことを伝えると、彼はとても嬉しそうな表情で目尻には安堵からか涙が浮かんでいた。

 その後、カメラを受け取り彼らがその場を去ったあとに俺が幻中に電話をかける。さっきすぐに返事をしたから電話にもであるだろう。案の定、一コールが鳴り止む前に幻中は電話に出た。

「もしもし、さっきの話本当なんだよな?」

「持ち主の表情見てたらさすがに嘘とは思えなかったしな。クラスメイトも嘘をつくような人じゃないし」

「しかし、本当の呪われたカメラに出会う事が出来るなんて、元の持ち主は本当に運が良いな!」

「運が良いって言えるのはお前だけだと思うけどな・・・」

「とりあえずカメラはもらったから今から渡しに行ってもいいか」

 あいつならなにがなんでもすぐに取りに来るだろう。そう思っていた俺だったが、返ってきたのは予想外の返事だった。

「あー・・・ それが今すぐにでも行きたいところなんだけど、今親戚の家に遊びに行ってて明日にしか受け取ることが出来ないんだよ」

「は? おいおい。待てよ。じゃあ、俺が一晩このカメラ持っておけってことか?!」

 冗談じゃ無い。今日中に渡せると思ったから受け取ったのに。まあ、確かに幻中の予定を聞いてなかった俺に非があるが。それでもこれを一晩も持つ事になってしまうのか。

「まあ、一晩くらいなら大丈夫だって。それに写真も撮らずにどっかケースに入れて保管しておけば良いって!」

「それ本当に大丈夫なのか。不安しかないんだが」

「まあまあ、とりあえず明日の昼頃には取りに行けるとは思うから。それまではお願いな! ちょと今から出かけるし電話も切るわ」

「おい!」

 幻中は一方的に電話を切ってしまい、ツーツーと電子音が聞こえてくる。

 これを一晩、俺は本当に大丈夫なのか? しかし受け取ってしまった以上、もう一度返すわけにもいかない。諦めた俺はとりあえず、バッグの奥底に押し込み、上から物をかけるように密閉しながら持ち帰ることにした。

 結局家まで持ち帰った俺はカメラをバッグから出して眺める。確かに彼の言葉が嘘とも思えないが、俺の心の中ではまだ半信半疑な所もあったのだ。確かに心霊ものは怖いが、それは俺が実際に霊を見た事が無いという道の恐怖からも来ているのだろう。しかし正直な所、このカメラは現代的な物ということと不気味な見た目や得体の知れないもので作られたというわけでもないので実感が湧きにくいという気もする。

 ・・・無闇に触るべきでは無いと思っている俺だがこのカメラを見ていると怖い物見たさからか、俺の好奇心が騒いでいる。しかしそれに対して理性が上から押さえ込んでいるが、好奇心の波を止める事は出来なかった。

 俺はカメラを手に取り、レンズ越しに自分の部屋を覗く。これといっておかしな所は見当たらない。別にレンズの中には彼の話していた令嬢も写っていない。あの時は彼の言葉を信じてはいたが、一人になって冷静に考えてみると、これはただのカメラなのだろうかと思う。こういうのは思い込みに寄る部分は大きいと思うのだ。かくいう俺だって心霊番組の予告を見てしまった時には、ちょっとした木の影でさえ、人の形に見えてしまうものだ。彼が見た長い黒髪の女というのも写真がちゃんと現像されていなかったのかもしれないし、何かの影が人の形に見えただけかも知れない。

 カメラの対する恐怖心が無くなってきた俺はカメラのシャッターを押す。出てきた写真を徐々に景色を部屋を映し出してくる。そこには黒い髪の女の姿などいなかった。やはりただの勘違いだったか。一件落着だな。いや・・・でも明日あいつにこのこと行ったら絶対に落ち込むな。新しい問題が出来たな。あいつはへこむとなかなか立ち直らないからな。

 俺が明日の幻中への対応に頭を悩ませていると、突然机の上に置いていたカメラのシャッター音が鳴った。今、俺はカメラには一歩も触れていない。それどこから手が届かない距離にいるのにだ。

 カメラからは先ほどと同じようにフィルムが出てきて、徐々に撮った写真が現像されていく。写真の中には頭を悩ませる俺とその後ろに立つように黒い髪の女性が立っていたのだ。

次も良かったら見に来てください!

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