09 乱舞
「シジミ、アリシエラさんから荷物だよ」
「ありがとうございますモノカ、では早速」
ありゃま、箱も開けずに持ってっちゃったよ。
「楽しみだねっ、お母さん」
私は楽しみとやな予感が半々ですよって、もう来たよシジミ。
はあ?
「お待たせしましたモノカ、マクラお姉ちゃん」
「シジミちゃん、おっきいっ!」
いや、確かに前々から胸部追加装甲が欲しいって言ってたけどさ、
なんすかソレッ、盛りすぎにも程があるだろって、それになんで上だけビキニ?
「アリシエラ様に発注しておりました追加装備がようやく到着アンド装着ですの」
「ソードマスターヴァニシア様の『大剣乱舞』を再現するのに必須な胸部バランサー、いかがでしょうか」
なるほど、ビキニの柄になんか見覚えがあると思ったらヴァニシアさんのなのね。
んでもシジミの体格にあのデッカいカタマリがふたつも付くと、なんか変。
「モノカの熱視線が痛い、ですの」
あー、とりあえず演舞でも見せてもらおうかな。
スカートから大剣を取り出したシジミ。
「参りますっ」
うっひょーっ、すっげぇ。
あの時の大暴れしたヴァニシアさんまんまの乱舞だ。
そして私とノルシェと兵士の皆さんの目を釘付けにしたアレッ。
ぶるんぶるんですわ。
「シジミちゃん、かっこいいっ」
マクラも大興奮ですよっ。
って、いかんっ、私の武芸者としての直感がこのままではアブないと叫んでいるっ。
「きゃっ、なぁにお母さんっ」
まずはマクラのお目目をふさいでっと、
「シジミッ、緊急停止だ!」
「了解、モノカ」
緊急停止したシジミ、ふたつの大きなカタマリは慣性の法則のままに激しく揺れて、
ぷつり
ぶるるんっ
あーやっぱり、追加装甲はともかく、ビキニはあのアクションには耐えられなかったよ。
「いやーん、モノカのえっち」
いや、えっちなのは先っちょまで完全再現したアリシエラさんの方でしょ。
お胸を隠してぱたぱた走って行くシジミ。
落ちているビキニを頭に乗せたマクラを、叱るべきかどうか……