03 ロイ
不安そうなみんなを安心させることこそが、家長である俺、ロイの仕事、だよな。
「ニエルさんからの緊急連絡は、何だったんだ、アリシエラ」
突然入った魔導通信機マツカゼへの緊急の知らせに緊張していたみんなは、今は居間に全員集合して待機中。
「詳細は不明ですが、しばらくはアランさんのお屋敷には近づかない方が良い、とのことでしたっ」
アリシエラは、少し心配そうだ。
「アランさんたち、大丈夫かしら」
リノアは、とても心配そうだ。
「モノカさんの方へ、何か情報が入っているのかも知れませんね」
セシエリアさんは、いつも通り冷静。
「今回は出遅れないように、きっちり準備を整えておくぞっ」
ヴァニシアは、いつも通りやる気まんまん。
「アリシエラ、モノカさんへの連絡を頼む」
「了解ですっ、ご主人さまっ」
モノカさんが、所属する王国の王との一騎打ちの末に召喚者としてのしがらみを断ち切ることに成功した、との報が入ってしばらく経つ。
激闘の傷も癒えて退院したモノカさん一行は、新たな身分の特使勇者としての挨拶回りも兼ねて、すぐに知り合いを巡る旅に出たそうだ。
もうすぐこちらにも来てくれるはずだが、アラン君たちに起きている緊急案件が今は何より気にかかる。
以前起きた魔族絡みの戦いで、アリシエラは武装魔車を失った。
失われたそれが我が家唯一の高速移動手段だったため、今は有事への即応性に欠けることが悔やまれる。
モノカさんたちのシブマ1号の到着予定日時次第では、魔導急便の娘さんたちに無茶なお願いをしなければならないなと歯噛みしていると、
「お父さん、ただいまっ」
玄関から、娘アイネの元気な声!