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飛竜を投げて恋されて  作者: 黒森 冬炎
飛竜と共に
66/70

66•集結

 リチャードとフィリップは魔法の力で飛翔する。


「飛竜通ってよし」


 リチャードがゲートの通過条件に飛竜を加えた。


 館の上空には毒霧の壁がある。小高い丘の上に立つ領主館から麦畑は遠いが、麓の畑から立ち上る魔法毒の霧が分厚い壁を形成している。2人は再び魔力を吸い出されるのを感じていた。


「いくぞ」

「はい」


 やってきた飛竜の先頭に飛び乗り、2人は呼び寄せる装置らしき筒に向かう。リチャードとフィリップが並んで建造物分解(クリアランド)の魔法を使う。建造物だけが綺麗に消え去り、丘の上には家財道具と館の住人が残る。


「投げます」

「よし」


 フィリップ班長は飛竜を引き連れてリチャードから離れると、空中を動き回る。麓の畑からラスカルジャークが押し寄せていた。家財道具の周りには、早くも魔法の壁が出来ている。


「小賢しい」


 魔力の切れたリチャードは、飛竜に乗って下からの攻撃を避けつつ高度を下げる。壁の中からは魔法攻撃が繰り出されてきた。


「こんな壁など」


 リチャードは、飛竜を上手く操り尻尾や羽で魔法の防壁を叩く。麓の畑は1時間ほどで焼け野原だ。火を吹く飛竜も到着していたのである。



「フィル班長!」

「お待たせしました!」


 フィリップが飛竜と共に館前まで戻ったとき、スーザンとエシーがゲートから飛び出してきた。


「スー、壁を吹き飛ばすよ」

「了解っす!」


 ニカッと笑うスーザンを見て、フィリップ班長は少しだけ明るい顔になる。


「ハリケーンライドさんも来てるな」


 アンバーの円盤(フライトモビル)は、先行してレイニーフィールド邸付近まで近づいていた。トーマス班の飛竜は見えない。


 スーザンは一旦リチャードのほうへ飛竜を寄せた。エシーも板に乗ってついてくる。魔法が使えない状態なので、遠くの声は聞こえないからである。


「トム班は青色麦畑をまだ回ってる」

「畑は任せていいだろう」


 スーザンの説明にリチャードが答える。


「エシーは引き継きスーザンの援護だ」

「壁の撤去に専念できる!」

「アンバー姉貴と空の奴等を挟み撃ちする予定ですぜ!」


 つい2日前までは接点のない部隊の年長者としておよび腰で接していたアンバーを、この1時間で姉貴と呼んでいる。空中戦の連携がよほどうまくいったのだろう。ちょっと危ない人の雰囲気である。そこへアンバーの円盤(フライトモビル)が空を切って滑り込む。


「飛竜高度下げてー!」


 フィリップ班長が銀爪(ムーンライト)渓流瀑(フルームフォール)で飛竜に伝える。呼ぶときとは少し違う吹き方だ。


「いきますか?」

「始めるよ!」


 エシーの声がゴルドフォークの空に生き生きと響く。開発はミルドレッドと2人して逸脱しがちのエシーだが、ミルドレッドは前線に興味がない。魔法技兵が前線に出ることはほとんどないため、今回の遠征までエシーは後方で燻っていたのだ。


お読みいただきありがとうございます

続きもよろしくお願いします

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