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飛竜を投げて恋されて  作者: 黒森 冬炎
廃村の謎を追え
48/70

48.考えられる危険

 スーザンたちは食事を中断してフィル班長からの通信を聞く。


「村人にはブルートパーズが配られ、魔法使いは全員死んだ」


 首都調査予備班の5人は息を呑む。


「魔法使いの家には次元落し穴(ワームホール)が残っていた」

「暴走が起きたっすね」

「うん。だけど死因は魔力枯渇なんだ」

「棘草の変種かい?」

「いや。暴走させる棘草なんてないよ」


 フィル班長はきっぱりと否定する。


 魔法毒によって気持ちが高揚し威力の高い魔法を無差別に放っても、魔力が枯渇するまでにはならない。その前に疲れてしまう。また、暴走が起こると本人の意思とは関係なく魔法が放たれてしまうが、こちらも枯渇する前に気絶する。


 現在解っている枯渇の原因は、棘草によるものだけだ。スーザンたちは情報通信部隊のミランダを見る。ミランダは首を横に振る。


「だから死因は原因不明の魔力障害ってことになってんのか」


 トーマスが恐ろしそうに金色の毛玉を揺らす。飛竜投擲部隊は、常にラスカルジャークと対峙している。ラスカルジャークはさまざまな魔法攻撃を仕掛けてくる。魔法攻撃をしない種類でも、いるだけでこちらの魔力に干渉してくる奴もいる。


 また、山奥には魔力を垂れ流す草もある。こちらは、魔法を使えない一般人が魔力過剰摂取で意識混濁に至る場合がある危険な植物だ。魔法使いでもうまく回避しないと体調を崩してしまう。そこをラスカルジャークに襲われたらひとたまりもない。


 そうした環境での経験から、擲竜騎士は原因不明の魔力障害と聞くだけで死の恐怖を実感してしまうのだ。



「それと、機材が正常に働かないんだ」

「それじゃ測定できないっすね」

「なんかが魔法波を遮るか吸収してんだろ」


 ミルドレッドが興味深々といった様子を見せる。


「昨日、各地のデータを収集した時の魔法値は、被害地域が軒並み0、そのほかは正常値だった」

「吸収されてる気配はないんだよ」

「通信できてるし、魔法は使えるみたいっすね」


 スーザンが首を捻る。


「だけど今の通信、魔法値はゼロになってんよ」


 魔力波の測定装置を取り出したミルドレッドが、面白そうに声を弾ませた。


「吸収でも遮断でもない?」


 エシーが真剣な顔をする。


「フィリップ殿下、ほかに気になるものはねぇですか?」

「それが、測定出来ないから、どうしようもないんだよ」


 フィリップ班長は、穏やかな声で現状を述べた。現地では、今のところ手詰まりのようなのだ。しかし、ブルートパーズが絡んでいるらしいことだけは判明した。一歩前進である。


お読みいただきありがとうございました。

続きもよろしくお願いします

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