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飛竜を投げて恋されて  作者: 黒森 冬炎
廃村の謎を追え
47/70

47•昼食の席にて

 昼時になり、スーザンはいつもの居酒屋兼食堂に来ていた。廃村の調査に出かけたモンティとアンバー以外のストロングロッド雑草チームも同行している。


「リチャードの旦那とはまだ連絡とれないのかい?」


 ミランダが座る間も惜しんで心配そうに聞いてくる。


「とれないっす」


 相変わらずリチャードとの通話の魔法(トーキー)は繋がらない。通話を試みた時のゼリーに手を入れるような薄気味悪い感覚も同じままだ。


「その変な感覚、調べてみたんだけどさ」


 皆がミランダに注目する。


「ごめんよ。何も分からなかった」



 皆が落胆する中で、ミルドレッドの緑と金茶のオッドアイがきらりと光る。


「新種の道具か魔法だね?」

「そう考えるのが妥当だよな」


 エシーも同じ魔法技兵部隊の先輩騎士ミルドレッドに同意する。


「情報通信で掴んでる範囲には無いんだよ」

「ゴルドフォークとの通信記録は普通なんですか」


 ミランダの言葉にエシーが質問する。


「普通だねえ」

「俺も幾つかの機材を試したんですけど、今は連絡つきません」

「今回は未届け新種の抜き打ち検査の名目だから、公式通信出来ないしね」

「私信は公的記録に載らねぇですしね」

「いつから通じなかったのかわかんないんだよね」


 ゴルドフォーク出身者は、帰省中にまで私信を交わすほど親しい間柄の人がいないのだ。記録によれば、首都で働く人もそれなりにいる。故郷との通信を調べることは可能だ。

 私信は、王族特権でも余程の理由がなければ調査できない。今回は地域に関する抜き打ち調査なので、警戒されないために本人たちへの聞き取りも望めない。


 皆が黙り込んでしまう。



 昼定食の煮込み料理は、大きく切った野菜がゴロゴロと豪快だ。とろみのある茶色いルウは、スパイシーな香りを漂わせている。少しスジの残る大衆食堂らしい肉の塊も手伝って、健啖家のリチャードを連想させた。


 のろのろと進まない食事を突いていると、スーザンに通話の魔法(トーキー)が入る。


「スー、そっちはどう?」

「フィル班長!」


 幾分表情を明るくしたスーザンは、手にしたパンを一旦置いた。


「特に進展はないっす」

「残念だね。こっちは新事実もあるよ」

「何がわかったんすか?」


 テーブルを囲むストロングロッド班が一斉にスーザンのほうを向く。悪名の方が高い雑草騎士たちは、なんといってもマイナスからの立ち直りが早い。だからこそ雑草と呼ばれるのだ。


「うん。村が荒廃した原因にはブルートパーズによる魔法毒の影響がありそうなんだよ」


 フィル班長からの情報に、スーザンたちは顔を引き締める。


お読みいただきありがとうございました。

続きもよろしくお願いします。

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