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飛竜を投げて恋されて  作者: 黒森 冬炎
廃村の謎を追え
44/70

44•魔法を使うために生まれてきた人々

 魔力が暴走すること自体はさほど珍しいことではない。だが、暴走するということは、膨大な魔法エネルギーの波が荒れ狂うということだ。現在の技術では魔法波を完全に除去することは不可能である。自然に消えてゆくのを待つしかない。


「測量班長、現在の魔法波強度は?」

「はい殿下、ほぼゼロのままです」


 フィリップ班長は黙って眉を寄せたまま考えこんだ。


「え」


 班員たちは目を見張る。彼らは魔法使いである。それもかなり魔力が強いエリート騎士だ。魔法が苦手なビルでも、その身のうちには常人より遥かに強い魔力を宿す。彼等は常に僅かな魔法波を発している。微弱であるから、環境や生物に影響を与えはしない。しかし、最新型の測定機器で測定できないほど弱くはないはず。



「申し訳ないが、村を隅々まで検分させていただきます」


 フィリップ班長は決断した。相変わらず敵意すら見せて黙り込む残留村人への聞き取り調査は期待できない。しかし、村がこれほど荒れて魔法波が全く検出されない異常事態である。解明が急がれる状況だ。手段を選んではいられない。


「非常時特権により、王子権限を発動します」

「はっ」

「了解致しました」


 人界防衛の最前線であるレジェンダリー王国は、立憲君主制をとりつつも王権を手厚く保護している。実働部隊で活躍する王族が、このような時に動きやすいためである。


「各自端から真ん中に」

「了解っす」


 なんとも大雑把な指示に従い、フィリップ班1人に測量班1人で組んだ2人組が散って行く。



 王家の血筋は、竜の子孫とも精霊の子孫とも言われる。王家は、今なお特別な魔法使いたちを生み出し続けている。その魔法能力は、世界中から産出される魔法使いたちのうちでも群を抜く。歴史上どの地域もレジェンダリー王家の血統に勝る魔法使いを生み出すことは出来なかった。


 ただし、ストロングロッド地方産魔法使いはその限りではないが。かの地域は一般地域民ですら平気で森を焼くほどの魔法が使える。一般人は魔力の量が少ないため、森を焼くほどの出力ができるのはせいぜい1日に一回。リチャードやスーザンの場合は、そのレベルを1日中撃ちまくっても平気な顔でまだまだ他の魔法も使える。


 他の地域では、まずは魔力を魔法に変える練習をする。王家ですらそうだ。しかしストロングロッド民の彼等が幼少期に学ぶのは、如何に出力を抑えて被害を出さないかである。子供は喜んで水でも火でも全力で放つからだ。下手をするとラスカルジャークより手に負えない。

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