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飛竜を投げて恋されて  作者: 黒森 冬炎
ストロングロッドの雑草騎士ども
34/70

34•初日の成果


「それで、他は?」

「酒屋が面白いこと言ってました」

「ふむ」

「ここ数年、あちこちで高級酒の醸造所が潰れてるって」

「高級酒の原料生産農家も減ってる」


 エシーの報告を聞いてモンティが追加情報を出す。


「ミランダさん、統計を確認しておいてくれ」

「はいよ、旦那」

「アンバーちゃん、いつでもどこにでも現地調査に行かれるように準備しとけ」

「了解!」

「魔技のふたりは全国域の魔法通信システムを万全にしといてくれ」

「はい」

「まかしといてよ」

「ミルは余計な機能はつけんなよ」

「余計ってなにさぁ」


 魔法技兵部隊の爆弾乙女(クレイジーキティ)ことミルドレッド・フェニックスライドが形の良い唇をへの字に曲げた。



 一通りの指示を出すと、リチャードは最後にスーザンを見る。


「スーザンは薬の材料を1日で集めてこい」

「夜明けにしか採れないやつのとこ、ゲート開いといてくれる?」

「なんだ、まだ自分で開けないのか?じゃあ製薬教えるのはまだダメだな」

「けちー。やってみるよ、仕方ないな」

「仕方ないのはお前だろう」


 いつもの仲良し親子だった。


 スーザンは、騎士学校に入学した12才の時には移動の魔法(レイジー)を使えなかった。だが今では一定期間継続して使用可能なゲートを開設することさえ出来るようになっていた。しかし、安定性はまだまだである。途中で閉じてしまったら、また開き直しだ。面倒なので養父リチャードに頼もうとしたのである。


「じゃあみんな、今夜また会おう」


 リチャードは軽い調子で告げると、ゴルドフォーク地方へと旅立った。



 夜になると、ストロングロッドの雑草騎士どもが三々五々集まって来た。広くもないナイトラン邸の食堂に、ミランダ、エシー、トム、モンティ、アンバー、最後にミルドレッドが入る。


「今晩はー」

「よう、スーザン」

「飲み直してぇ」

「あの毒酒は酷かったよねえ」

「今夜にでも、レジェンダリー王国内ならどこでも連れてけるよ」

「通信いっぱい仕込んだよー!なんだ、旦那まだかぁ」


 マーサがみんなにお茶を用意する。軽い夜食も出してくれた。

 一口大の丸い土台に胡椒の効いたベーコンが乗っている。その隣には四角い土台にレーズンとカスタード。角切りトマトにはパセリと果実オイルがトッピングされている。

 土台となるのは幾層にもなるバターたっぷりのかさかさした生地。齧るとパラパラと剥がれて来る。焼きたての香りが疲れた心身を癒してゆく。

 男性陣は皆一口に放り込み、カリカリと音を立てて楽しんだ。女性は二口か三口かけて食べる。



「旦那遅ぇな」


 紅茶を何杯かお代わりし、軽食もすっかり平らげてもリチャードが帰ってこない。


「ちょっと聞いてみる?」



お読みいただきありがとうございます

続きもよろしくお願いします

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