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飛竜を投げて恋されて  作者: 黒森 冬炎
竜を投げる女のお見合い前夜
3/70

3•スーザンの生い立ち

1話千字程度、ヒーロー登場は4話目です。




 ナイトラン卿と執事のサミュエルは、スーザンと出会ったその日のうちにレザーカット家に押しかけた。


「たとえ花嫁を迎えて子供が生まれたとしても、家督はスーザンに譲る」

「スーザンさまの適性なら問題はございませんね。誠におめでとうございます」



「実家を訪ねるのは勿論自由だが、まだひとりでは難しいな。遠いから」

「訓練もございますしね」


 畳みかけるように各種の条件を提示され、勢いに押されたレザーカット夫婦は、スーザンを養子に出すことに同意した。


「いい子にするのよ」

「あまり暴れるなよ」


 夫婦の不安そうな声に、兄弟達のヤジが被さる。


「追い出されんじゃないの」

「物壊すなよ」

「跡取りなんてできんの?」

「魔法使えんのかよ」

「食べ過ぎんなよ」


 などなど。



 スーザンの異常な身体能力は天然物であった。その上彼女には無尽蔵の魔力も眠っていた。恵まれた筋力や瞬発力、柔軟性に動体視力、判断力。生存本能からくる危機察知能力。頑丈な骨。強靭な胃袋。それだけで十分に生きていけたので、ナイトラン家にやってきた10歳時点では、魔法を使う気配はなかった。


 しかしリチャードは他人の魔力を感知する能力も高かったので、スーザンをそのまま単なる野生児にしておくのは惜しいと思ったのだ。魔法によって強化してやれば、身体能力はさらに上がる可能性が高い。人類が見たこともない高みにまで駆け上がるかもしれない。そうリチャードは思ったのである。



 彼は主に殲滅が得意な男であったが、ひょんなことから出世して、現在はここレジェンダリー王国の首席大臣にまで上り詰めている。領地の屋敷はサミュエルが代官となって管理し、リチャードはスーザンと共に王宮のある首都に住む。


 スーザンは、騎士学校に入学する12の歳で首都スターゲインベルクに来た。しかし、彼女の選んだコースは卒業する15歳までの3年間を山奥で過ごす。

 騎士学校卒業後は養父リチャードと共に暮らしてはいるが、あまり首都にはいない。正式に入団したらしたで、勤務はやっばり山奥中心なのだ。


 一方、スーザンが今話している相手は幼馴染で同僚のエシーことエゼルレッド・ペガサスウォーク。彼の父親も田舎騎士だが、エシーは実力一本で王宮騎士団に入団した鬼才である。

 スーザンと同じ年に騎士学校に入学したが、コースが違うので今偶然に出会うまで全く会ってはいなかった。山奥で過ごすスーザンたちに限らず、それぞれのコースはみな独自の訓練を行う。そのため街場にいても、ほかのコースの訓練生たちと会うことは稀だった。


「そもそもどこであたしを知ったんだろ」

「そういやあ出会いは聞いてないな」

「ねえ、そいつに聞いた話、全部教えてよ」

「おう。そしたらなんか分かるかもな」


お読みいただきありがとうございます

続きもよろしくお願いします

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