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飛竜を投げて恋されて  作者: 黒森 冬炎
竜寄せの笛は恋のお守り
19/70

19.フィリップ班

 スーザンの配属されたフィリップ班は、他の2斑に比べてなんとなくのんびりした面々が集められていた。


 フィリップと同じくらい体格の良いティムは、大きな体の使い方がまだよくわかっていない。狭い山道では歩くたびに枝を折ってしまう。しかし、魔法は得意なので、成長すればかなりの戦力になるだろう。


 魔法は苦手だが視力が高いビル。ぼんやり立っているように見えて、実はいち早く障害物や動物の接近に気づいてくれる。山岳地方でいきなり襲ってくるラスカルジャークに対抗するには、なるべく早く発見することが必須だ。


 剣が得意で身軽な少女リサ。身体強化系の魔法が得意な為、飛竜投擲部隊に配属された。その素早さは魔法で更に強化され、12歳ながらも飛竜の背中に飛び乗ることすら容易なのだ。無理なくバランスをとり、いつも余裕の表情である。


 そしてスーザン。何もかもが規格外、リチャード・ナイトラン・大魔法卿(キルゼムオール)の跡取りである。生来のおおらかさと同類の養父から学んだ豪快さ。骨太長身の少女は、どこでもリラックスできた。



「僕はフィリップ。フィルでいいよ。みんなとあんまり歳も違わないし」

「フィル班長ー、何歳ですか」


 リサが質問する。皆気になっていたので、好奇心に満ちた眼差しがフィリップ班長に集まる。


「14歳だよ」

「えっ、学生?」

「うん。班長にされちゃった」


 特に気負うでもなく、フィリップ班長は穏やかに答える。通常班長は正規の騎士団員が務めるものだ。3年生在学中のフィリップが抜擢されたのは、特例中の特例である。


「殿下、なんですよね?フィリップ第一王子様なんですか?」


 大きな体のティムが遠慮がちに聞く。


「うん。でも訓練中はそういうの関係ないよ」

「いや、気になるでしょ」


 ビルが思わず突っ込み、皆が笑った。



「じゃあみんな、装備支給受けたらもう一度ここに集合ね」

「はーい」


 飛竜投擲部隊は、今日から山岳地帯へと出発する。次に町に降りて来るのは卒業式の日だ。この部隊だけ、実戦訓練のみで訓練期間が構成されている。入学試験の結果、基礎訓練は各自終了していると認められた精鋭なのだ。


「保存食の支給も忘れずに受けてね」


 他の部隊には今日支給されない物だ。遠征用の非常食である。飛竜投擲部隊訓練生の新入生たちは、順次受け取って集合場所に戻る。


「おっ、干し肉か」

「干し芋もあるね」


 袋の中身を確認しながら、初対面の班員たちが仲良くなってゆく。フィリップ班は班長が若いこともあって、いち早く打ち解けていた。

 他の2班も合わせて総勢12名の飛竜投擲部隊訓練生、教員1名、班長3名。いざラスカルジャークが徘徊する山奥へと旅立つ。


お読みいただきありがとうございます

続きもよろしくお願いします

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