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飛竜を投げて恋されて  作者: 黒森 冬炎
竜寄せの笛は恋のお守り
15/70

15•自宅待機

 フィリップ班長を見送ったあと、スーザンは普段着に着替える。思いがけずしばらくの期間自宅待機になってしまった。朝食をとりながら、在宅でできることを考える。

 そもそもが自分に関わる調査である。何もせず、ただ家に閉じこもってじっとしているのは落ち着かない。だが、こっそり出歩くのも気が引ける。


(リチャードおじさんやフィル班長から話を聞くくらいしか出来ないかなあ)


 フィリップ班長は明日も来てくれると言っていた。その時相談してみてもいい。そう結論付けると、食後の紅茶をゆっくりと味わった。



 昼過ぎ、リチャードが帰ってきた。どうやら一時帰宅に過ぎないようだ。手早く着替えてまた出かける。


「おじさん、なんか解った?」

「今のところ進展はない。調査班の編成がなんとか決まったところだ」

「あたしは」

「私は組み込んでいいと言ったんだが」

「自宅待機?」

「ああ。実働班に入れるのは、フィリップ殿下が頑として頷かなかったんだ」

「信用ないなあ」

「絶対に守ると仰って下さったぞ」

「それは嬉しいけど」

「気持ちはわかるがな」


 スーザンは活動的な人物である。飛竜を掴んで害悪魔法生物ラスカルジャークの群れに投げ込むような仕事をしている。養父のリチャード・ナイトラン大魔法卿(キルゼムオール)も行動力しかないような男である。首席大臣に収まった今ですら、隙をみてはラスカルジャーク討伐に出かけてしまう。


 そして何より、スーザンを拾い上げたのは、その異常なまでの身体能力と無尽蔵の魔力、更に生き残るセンスのありえない程の高さによる。リチャードは、スーザンを過保護に自宅待機させておくのは勿体無いと思っていた。



「気持ちが深まって危険から遠ざけたくなったんだろう」


 リチャードは少しからかうように言った。


「共に歩む最高のパートナーとしてしか見えてなかった頃なら良かったんだがな」

「おじさん、なにそれ?」

「今度のことがなくても、まあ自然に良い夫婦にはなったと思うが」

「なんの話?」


 スーザンが不服そうに尋ねる。


「ようするに、だ。レイニーフィールドのガキがお前を恋人だなんて言いふらしたのに腹を立てて、王子権限で王宮会議を召集したんだよ、お前のフィル殿下は」

「あたしの?」


 スーザンは頬を赤くする。


「そしたらレイニーフィールドんとこのゴルドフォークがきな臭くなってな」

「うん」

「途端に心配し出して、お前をしばらく家から出すなって言い出した」

「今朝フィル班長が家に伝えに来たよ」

「それは聞いた。心配で様子を見に来たんだろ」


 リチャードは呆れたように息をつく。


お読みいただきありがとうございます

続きもよろしくお願いします

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