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飛竜を投げて恋されて  作者: 黒森 冬炎
ブルートパーズ
11/70

11•夜間会議

「レイニーフィールド、思ったよりやべえな」

「あんな酒を流通させてたなんて」

「青色麦ってありゃ、なんだ」

「うん。凄い色だし、元の品種もわからないって、怪しすぎる」


 ブルートパーズは、高級酒の名に恥じない素晴らしい酒であった。しかし、それは魔法的な才能が一切ない人間にとってだけである。魔法を使う力、すなわち魔力が多ければ多いほど、悪影響を受けてしまう。それが、魔法毒というのものであった。


 スーザンやエシーのレベルだと、ワンショット舐めただけでも、酒乱もかくやとばかりに魔法で大暴れをしてしまう。どうしても魔力を解放し、大技を放ちたくて仕方がなくなるのだ。



「これと言った事件がないのも不気味だな」

「どうしよう、班長と連絡とる?」

「騎士団本部に行こう」

「うん」


 フィル班長は今日、普段の業務に加えてデイヴィスの調査をしてくれている。辺りは既に夜だが、まず間違いなく騎士団本部で残業しているだろう。2人が今いる中央公園は王宮の騎士団本部から近い位置にある。これから行ってもフィル班長に会えそうだ。



「今晩はー」

「お疲れっす」


 各部隊の班長が詰めている共同事務室には、案の定明かりが点いていた。2人が入ってゆくと、数人の班長たちが事務仕事をしていた。しかし、フィル班長は見当たらない。


「フィル班長帰っちゃいました?」


 スーザンが近くにいた騎士に尋ねる。すると何人かが一斉に答えた。


「ん?なんだお前ら」

「ああ、フィリップ殿下んとこの」

「もうひとりは魔技でみたことあんな」

擲竜(できりゅう)魔技(まぎ)は会議中だ。明日にしろ」

「時間外です」


 フィル班長だけではなく、飛竜投擲部隊と魔法技兵部隊の班長たち全員が会議中だという。これは只事ではない。王宮騎士団はそこそこ時間外労働はある。夜勤もある。しかし、会議は普通日中に行う。特に魔法技兵部隊は夜勤がないので、定時退勤を旨としている。

 それが、班長クラス全員が時間外の会議に召集されたのだ。


 追い出されるように事務室を出た2人は、騎士団本部のある区画で不安な顔を突き合わせる。


「ねえ、レイニーフィールドの件かな」

「わかんねえ」

「何があったんだろ」

「とにかく今日は帰ろうぜ」


 他にどうしようもないので、2人はそれぞれ家路に着く。だが、エシーは件のデイヴィスと同室である。不穏な空気が漂う中、自室に帰るのは緊張する。デイヴィスにどこまでこの状況が伝わっているかは不明だ。帰らないのも不自然である。結局エシーも騎士団の独身寮に帰って行った。


お読みいただきありがとうございます

続きもよろしくお願いします

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