表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/4

1:奴隷が出来ました!




 ――俺、リアム・ダイクンの家は最底辺の男爵貴族だ。

 土地は痩せていて農作物なんてほとんど取れない。


 しかも次期当主である俺は魔法の才能に乏しく、最弱モンスターのスライムを一匹召喚するのがやっとなんだからもう最悪だ。

 

 そのため王都の貴族学校に入学した日、俺はさっそく校舎裏に呼び出されてイジメを受けていた。


「――アンタが噂の底辺野郎ね! ほら、ひざまづいてこのエミリア様の足を舐めなさいっ!」


 そう言って俺に蹴りを食らわせる銀髪の美少女。

 彼女の名前はエミリア・フォン・フォーマルハウトといって、公爵家のお嬢様だ。

 貴族の中でもその地位はトップで、しかも炎魔法のエキスパートだというのだから不公平すぎる。

 彼女と俺の同じところなんて15歳であることくらいだろう。


「おらっ、早く四つん這いになりなさいよ!」


「うぅ、わかりました……」


 屈辱で泣きそうになりながら跪く。

 どうせイジメられるとわかっていたから貴族学校なんて行きたくなかったが、両親からは『金持ちの嫁さんを掴まえて我が家を救ってくれ』とお願いされてしまったのだ。

 そんなの無理だろ絶対……。


「クククッ、わかればいいのよ。いやぁ~アタシって完璧美少女だからさぁ、アンタみたいな底辺野郎を見てるとストレスが溜まるのよねぇ。だからアンタは卒業までの三年間、エミリア様の奴隷決定ね!」


「なっ、そんな……!?」


「アァッ!? 文句あんの!? 燃やすわよッ!?」


 手のひらに火球を出現させるエミリア。

 その炎の勢いと彼女の剣幕にビビり、俺は「わかりましたッ!」と惨めに頭を下げてしまった。

 自分の情けなさに腹が立ってくる……。


「あははっ、それでいいのよ。……ところで、アンタが持ってるその包みってなんなわけ?」


 ふとエミリアが俺の手荷物を指差した。

 ああ、これは……。


「えっと、母が作ってくれたお弁当です。これから卒業するまで手料理をあまり食べさせられないから、せめて入学式の日くらい食べてって……」


 俺がそう語った瞬間だった。

 エミリアは「ハッ、くだらねー」とあざけり、弁当箱を蹴り飛ばしたのだ!


 母の手料理が校舎裏にブチ撒けられた。


「なっ……!?」


「あーあっ、ママのご飯が食べられなくて残念ねー! ぎゃははっ!」


 嘲り笑うエミリア……その言葉を聞いた瞬間、俺の中でブチっと何かが切れた!

 俺は勢いよく立ち上がると、彼女の顔に手のひらを突きつけた!


「っ、なによ!? スライムしか召喚できないらしいくせにやろうっての!?」


「あぁそうだ、覚悟しやがれ!」


 馬鹿なことをしているのはわかってる。

 だが、親の料理を台無しにされて怒らないヤツはもう男じゃない!


「スライムだって顔面に張り付かせれば窒息くらいはさせられる! 食らえエミリアッ、【スライム召喚】――!」


 そうして俺が魔法を唱えたときだった。

 俺の予想では、彼女の顔面にスライムが現れる……はずだったのだが、次の瞬間、



 ――グチュゥッ! モグモグッ、チュブゥッ!



「えっ?」


 ……スライムはなぜか現れず、代わりにエミリアの頭の中から変な水音がした。

 そして「おッ、おッ!?」とよくわからない声を出しながら白目を剥いてしまうエミリア。

 そのまま彼女はぐったりと倒れてしまうのだった。


 ……って、まさか、


「お、俺ッ、こいつの頭の中にスライムを召喚しちゃったのかーーーーー!?」


 いやいやいやいやっ、人の体内に召喚ってそんなの出来るのかよ!?

 ってそれについては後回しだ。とにかく今は彼女を医務室に運ばなくては!


 そうしてエミリアを抱きおこした時だ。

 彼女は静かに目を覚まし、俺のほうを見て……、


「――あっ、ごしゅじんさまだ~~~っ!」


「ええっ!?」


 とろけたような笑みを浮かべ、俺に抱きついてきたのである!

 ってまさかッ、


「ご、ご主人様っておまえ、もしかしてスライムなのか!?」


「うんそうだよ~っ! この女の脳みそをゴックンしたら、喋れるくらいかしこくなったのー!」


 ついでに身体ももらっちゃったーと無邪気に笑うスライム。


 ……こうして俺は入学初日に、大貴族の娘を使い魔にしてしまったのだった……!


 って、どうしてこうなったーーーーーー!?


 


【作者からのお願い】

「面白かった!」「続きが気になる!」といった方は、

広告の下にある☆☆☆☆☆からの評価や、ブクマへの登録を最後にお願いいたします!



↓執筆の励みになりますので、何卒お願いいたします!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] やったッ! 馬路まんじさん来てたッ!! いつ貴族殺すん・・・もう殺してたァー!?
[良い点] wwwww 第1話から爆笑させていただきました! ありがとうございます! [気になる点] 偶発的な事故だったとは言え、公爵令嬢の人格を抹消しているという意味で殺人に手を染めている件。 ……
[良い点] ( - - )今後の展開が楽しみやね
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ