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【5章開始】ジョブマスターの転生冒険記―ゲームの世界でジョブ・アイテム・図鑑をコンプした廃人ゲーマーは、転生先でも全てを集めるようです。  作者: りゅーいち
第3章 正義の『鉄槌』と悪の『華』

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19 合流 ー前編ー

「まじかよ……俺が町長の屋敷に潜り込んでいる間にそんなことがあったとはな……」


 そう呟くのは、懐に魔道具や高額な商品を多数忍ばせて拠点に戻ったジェフ。

 今は荷物整理も終わり、倉庫の中でアンドレとジェフが情報の交換をしていた。襲撃撃退の立役者であるジンも同席している。


「……聞きたくはないが、死んでしまったメンバーはいるか?」


『7名、だ。また軽傷重症問わずほぼ全員が怪我をしておる。この中には回復薬を使用しても、防衛部隊としては活躍することが難しいメンバーも含まれる』


「……そうか、7人もか……後で名前を教えてくれ。弔い金として、俺が責任を持って家族や知人に納めさせてもらう。部隊から外れざるを得ないメンバーにもそれなりの額を渡そう」


『……あいわかった』


 ジェフの答えに、アンドレは一礼して自分の机に向かった。その背中は、心なしか影を背負っているようにも見える。


(7人か……元の世界なら大事件だぞ。今更ながら、俺は剣と魔法の世界……言ってみれば闘争がどこでも起こり得る、命が軽い世界に放り込まれたんだな)


 その姿を見送ると、ジンと机を挟んで向かいに座るジェフは、彼の目をまっすぐ見た。


「さて、ジン。本当によくやってくれた。死亡のメンバーが一桁で済んだことはお前のお陰でもあるだろう」


「そんなことはないさ。ただ、アンドレが話していた7人や、戦えなくなってしまったメンバーには本当にすまないことをした。『鉄槌』からぬすんだ回復薬を使えばよかったんだろうが……」


 その言葉に、ジェフは首を横に振る。


「ジンは上級回復薬のことを知らなかったんだから、仕方ないさ……」


 ジェフの声が、少しだけ震えていた。


「ついでに言えば、致命的な傷を負ってから時間が経ってしまえば、傷は治っても身体の機能はすぐには取り戻せない。仮に戻るとしても、数ヶ月から数年の時間がかかることもある」


 だからあの時、アンドレは片腕がなくなったマールに対して上級回復薬を先払いにしたんだとジンは納得する。


 また、この現象の理由は不明だが、入院後のリハビリが必要なのと一緒なのだろうと短い時間の中で考察した。


「……だが……いや、すまない。ありがとう、ジェフ」

「こちらこそだ」


 二人は同時に手を出し、握手を交わした。


「ところで、肝心のプリーマ町長代理は見つからなかったって話だよな?」


 握手を解いたジンの質問に対し、刺青の入った頭を叩きながら、困った表情でジェフは語る。


「ああ。この襲撃があると分かって、指揮官として出向いているかと思ったんだが違うようだしな。それに屋敷の方に見張りは付けているが、今のところ特に人の出入りはないそうだ」


 手に持った紙を空中でヒラヒラ波うたせるジェフに、ジンは問いかける。


「……ジェフはアイツがどこに居ると思う? 俺はこれ以上見つからないなら町の外、あるいは身を隠せる洞窟とかに逃げたと考えてる」


「逃げるとしたら、親元のところだな」


 ジェフは間を置かず断言した。


「……納得いってなさそうだな。行き先が洞窟って考えは悪くないが、そこで身を隠すってよりは誰かからの救援待ちだったり、そこを中継地としてどこかに行くって考えた方が自然だ。つまりどちらにしても、助けてくれる人物あるいは組織のところに行き着く。今回で言えば、プリーマを派遣した親元、ルミオン伯爵の元だろう」


(ルミオン伯爵……恐らくソルの父親のはずだが……)


 手紙に書かれていたソルの本名、ソルシエール・ルミオンという名前を思い出し、ジンはそう推察する。


 ソル、テレンス、ノーマン子爵、そして今回のプリーマ町長代理。

 いずれもルミオン伯爵に関係のある人物だが、ハクタの町で関わった3人とは人物像の系統があまりに違いすぎる。


 捨て子であるソルに無償の愛を注ぎ、テレンスという志の高い騎士を娘の護衛に付け、そして位は低くとも有能な部下を町の長に据えた。


 ジンは3人を見て(ノーマン子爵に関しては町を見て)、ルミオン伯爵は理想の父親であり上司でもあるという印象を感じていた。


 それゆえに、今回のモルモの町の件はかなり浮いて見える。


 今回のプリーマは自分の兵を用いて町民から略奪をしていた。これが事実だとすると、ルミオン伯爵はプリーマの危険な野心を見抜けなかったということになる。


 人は完全無欠ではない。どんなに優秀な上司でも、不正をやらかす部下を、適さない場所に派遣してしまう可能性はゼロではないだろう。


 しかし今回の襲撃に限っては、明らかに拠点である倉庫の場所やジェフの行動スケジュールを把握して攻撃してきている。

 事実だけ捉えると、軍略においてはプリーマは十分に有能であると言える。そんな人物を片田舎の村に、しかも内政の長として派遣するだろうか?


 バラバラの疑問が残る中、筋を通そうとするなら……


(魔王の配下が裏で動き、ルミオン伯爵を手中に収めた。あるいはルミオン伯爵自体が【闇の眷属】で、何かしらの準備を整えた……その結果の一つが、自分の意のままに動くプリーマ町長代理という駒の派遣)


 商人の話では、プリーマが派遣されたのは遅くとも3ヶ月前。すでにその段階で、ルミオン伯爵は変わってしまったと考えられる。

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