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4-17 ガイアの父

 ――陽平が神域に戻る少し前の話である。

 吹雪の大雪原で、陽平とガイアはバリアの中で抱き合っている。

 別れを惜しんで最後のシャワーを浴びながら愛し合ってしまい、少し予定をオーバーしていた。

「これで、本当にお別れなんだな」

「あたし、こんなに人を好きになったのは初めて。キミを離したくないよ」

 湿った髪のまま名残惜しくイチャイチャしていると、咳払いが聞こえた。

「娘よ、この者は新しい彼氏か?」


 白い髭モジャでいかつい体躯の外国人みたいな人が立っていた。白いワンピースのような服を着て編み上げサンダルを履いた、ギリシャ神話っぽい格好のおっさんである。

「パパ! いつからいたの?」

 南極の猛烈なブリザードのせいか、さすがのガイアも気付かなかったようだ。

「うむ、シャワーを浴びとるようだから散歩して待っていたんじゃが、飽きもせずにイチャイチャと……」

 結構長いこと見られていたようである。

 ガイアは慌ててバリアを広げ、父親を招き入れた。

「す、すみません……」

 恋人の父親に不意に遭遇したような状況で、陽平は大慌てだ。

「なに、愛し合うことはいいことじゃよ」

 ガイアの父は目を細めてフォッフォッフォと笑っている。

「陽平クン、この人はあたしのパパで大神ゼウス。名前は聞いたことあるでしょ?」

 神様の中の神様に出会って、陽平はカチコチに緊張する。人間の分際で大神ゼウスの娘を抱きまくっていたなんて畏れ多過ぎる。


「あの~、パパ、怒らないの?」

 ガイアが伏し目がちに恐る恐る聞いている。何か後ろめたいことがあるようだ。

「何か悪いことをしたのかなガイアたん?」

 ふいに吹雪の空が雷鳴を轟かせる。ゼウスと言えば雷神でもある。神の法に背けば娘と言えども雷に撃たれるのだろうか。陽平は心配そうにガイアの手を握る。

「ライトニングお尻ペンペンをされるほど、悪いことをしたのかな?」

 にじり寄るゼウスの右手にスパークが発生して、ガイアは縮こまる。

「だって、この人、人間だから……」

 ゼウスが陽平を一瞥する。ステータスを見たようだ。


「いやいや、此方こなたは半神ぞ。何を言っとるんじゃ、ガイアたん」

 スパークが消えて緊張感が解ける。空は一気に快晴になった。

 緊張が解けると、ライトニングお尻ペンペンされるガイアを見てみたかったなぁと残念な陽平。

 そんなことよりも、

「陽平クンが半神? そんな……ステータス偽装でもしてたの? この女神ガイアをたばかったと言うの?」

 ガイアは戦闘訓練中よりも怖い顔をして、陽平の腕をつねっている。

「し、知らないよ、何も悪いことなんか……」

 肉がちぎれそうなほどつねられてタジタジの陽平。

「覚醒したんじゃろうな。眠っていた素質が、女神であるガイアたんとエッチしまくって体液交換を繰り返した結果、目を覚ましたんじゃろ」

 ガイアは顔を赤らめて涙目になる。

「ちょっと、生々しいこと言わないでよパパ! もうっ!」

 生々しい殺し合いではビクともしないガイアだが、この手の話は恥ずかしいようだ。

 陽平はステータス画面を出してみた。


陽平・三橋♂ 40歳

レベル 99999

種族  神人

ジョブ 神騎士

職業  冒険者

スキル 全知全能(第二段階)

特技  世界を救う


神人しんじん? なんかデタラメなことになってるんだけど」

「ほんとだ、凄い!」

 ガイアが手招きしてゼウスにも見せる。

「ほほぉ、そなたヘラクレスの生まれ変わりじゃな」

 陽平は事情を知っていそうなゼウスに訊ねる。

「このレベルはいったい」

「ヘラクレスの生まれ変わりは代々、ごく短時間ではあるが神々をもしのぐ力を持っているんじゃ」

「ごく短時間ですか」

「そうじゃ。戦闘態勢に入ると一秒間に百レベル低下すると言われている」

 ガイアも興味津々で訊ねる。

「下がりっぱなしなの?」

「いや、とある方法で回復は可能じゃ。それは戦闘中には無理だから、実質、制限時間付きのヒーローじゃな」

「その方法って?」

「オナゴとまぐわうことよ。強いオナゴなら強いほどいい。たくさん妻をめとることじゃな」


 ガイアはぼんやりして呟いた。

「そうだよね、だからあんなに凄かったんだ……」

 何やらなまめかしい顔つきで思い出しているようだ。

「何が凄いって?」

「い、いや、何でもない! それよりも、これであたし達結婚できるね! お別れしなくていいんだよ」

 神と人間の結婚はご法度はっとで、一時的に付き合うことも良いことではないそうだ。それで別れるしかないと諦めていたのだが、神人となれば話は別だと言う。


 雪原に隠された転移魔法陣に着くと、ガイアは陽平の尻をバーンと叩いた。

「じゃあ、いっちょ悪い王子を倒して世界を救ってきて。カッコいいところ見せて楓恋ちゃんもロッテちゃんもお嫁さんにもらってきなさい!」

「あ、ちょっと待ってくれ。ジョブなんだけど、神騎士ってのは?」

「ああ、神騎士パラディンね。神々の中の勇者をそう呼ぶの。勇者の上位互換だから魔王でも大魔王でも倒せるよ」

 上位互換などという言葉に苦笑する陽平だったが、少しオタクなガイアらしい。

「分かった、じゃあ行ってくる」

「待って、忘れ物!」

 振り返るとガイアが抱きついてブチューと濃厚に口づけた。

 まるで新婚夫婦の出社風景のようにして、惑星プロネウスに戻る陽平だった。

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