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4-9 女神の試練③

 十二日ほど経ったところでレベル9000を超えた陽平だったが、レベルの上りが格段に遅くなった。戦闘はもう十分だと言われてガイアの部屋でくつろいでいる。

 この時はソファに並んで二人でビデオゲームをしていた。

「こんなことして遊んでていいのかな? このままじゃカンストして帰るっていう目的が……」

 ゲームをしながらで気もそぞろな陽平だが、考えてはいるようだ。

「キミの最後の伸びしろ、夜になってからでもいいと思ったんだけど、今からする?」

 『する』に妙なアクセントがついていたように感じる陽平。初日に言っていた伸びしろで残っているものと言えば……。

「すすす、するって……なにを?」

「……もう、女の子に言わせないでよ」

 陽平はガイアの顔を見て固まってしまう。画面の中でガイアのキャラクターの勝利が宣告される。


「ほら、先にシャワー浴びちゃえよ」

 慣れたおっさんみたいなことを言ってふざけるガイア。

「あ、あの、するっていうのは、その……セックス?」

「そだよ。したくないの? 男の子ならいつでもしたいでしょ? 神様だから知ってるよ」

「でもさ、そういうのってやっぱり大好きな人と愛し合ってするもんだろ……」

 陽平は顔を赤らめ、モジモジとコントローラーをいじくっている。

「乙女か!」


 ブツブツ呟いて恥じらっている陽平の太腿にガイアはまたがり、無理矢理キスして舌をねじこむ。

「ンッ……プハッ……ちょっと待って……心の準備が……」

「おっさんが童貞を大事に守ってどうするの。良家のお嬢さんじゃないんだから、筆おろししてからいくらでも恋愛ぐらいできるでしょ。そんなんだから楓恋ちゃんにからかわれるんだよ」

「そ、そうだ、楓恋さんとかロッテと、もしも万が一恋仲になったらそれからだって……」

 ガイアは陽平の肩をつかんで目を見つめ、呆れたようにため息をつく。

「あの子達は確かにキミのこと憎からず思ってるみたいだけど、キミのガードの硬さに困り始めてるよ。あたしとのことは内緒にしていいから、いい加減女に慣れなさい」

「でで、でも……ガイアたんの気持ちだって……俺なんかとしたいのか? 俺なんか汚いおっさんだし、君みたいな可愛い女の子とは全然釣り合わないし……」

「あたしは地球の子どもたちを無条件に全員まるごと愛してるの。俺なんかとか卑下したってあたしの海より深い愛情からは逃れられないんだからね。さあ気合い入れてヤるよ! 地球に筆おろししてもらった栄誉ある男になりなさい!」

「ちょっ……まっ……せめて電気は消して……」

「だから乙女かっ!」

 こうして鉄壁を誇った陽平のみさおは奪われたのである。


 ――それからというもの、陽平が復活するたびに男女の特訓ばかりして過ごす二人だった。

 腕の中で最高に可愛いJK風女神を喘がせながら、陽平は振り返る。

 早い子が中学生で初体験したと聞いて羨ましかった。

 陽平がエロビデオで慰めてる一方、同い年の高校生カップルが親の目を盗んでヤってると知って妬ましかった。

 片思いしてた清楚なあの子が、アパートで彼氏と猿みたいにさかっているらしいと聞いて胸をかきむしった。

「でも、キミは今、地球上の誰よりも凄い女の子を数えるのも面倒なほど抱きまくってるんだよ。キミを愛してる。もっと自信を持って」

 恐ろしかった神様がなんでも言うことを聞いてくれる。口に出せないような変態プレイだって心を読まれて隠すことができない。

 第二次性徴から三十年近い女日照りで乾ききった心の砂漠が潤っていく。それは男にとって何よりも自信がつき、力がみなぎることだった。


 ――最終日も近づき、陽平の腕枕の中でガイアが言う。

「キミはこれから失恋を経験するの。正直に言うとあたしも同じ気持ちになると思う。神様だって例外じゃない。陽平クンのことが大好き。とってもつらいけど大事な経験になるから、乗り越えなきゃね」

 陽平は裸の乳房ちぶさにすがりつく。

 ベッドを共にしてから落ちる恋もあることをつくづく思い知る。

「ガイアたんを離したくない。ずっと一緒にいられないの?」

 ガイアは愛し気に陽平の頭を抱きしめる。

「あたしは地球のママだから、いつまでも陽平クンだけのものではいられないの。こうなることが分かってて誘うなんて、あたしはほんとにひどい女だね」

 ガイアの頬を伝う涙をキスで拭いながら、陽平は新たな探検を開始する。

 そのまま二人はほどけてゆく絆を何度も何度も結び直すのであった。

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