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3-9 海に行こう

 八月中旬、お盆の時期である。

 陽平、楓恋、ロッテ、鬼原の四人で海にきていた。陽平達の家があるS市から車で三時間ほどのK市の海水浴場である。

 フリーランスの除霊師(自称)になった陽平は時間に余裕ができたし、楓恋とロッテはシフトが一緒なので連休になるタイミングで一泊旅行にきたのだ。

 鬼原もついて行きたいと言い出して、ちょうど近所にあるという鬼原所有の別荘に泊まれることになった。三時間のドライブも鬼原の高級ドイツ車で快適にくることができた。

「いつも何から何まですみません、社長」

 楓恋が雇い主に礼を言う。

「君達と遊ぶのが楽しくてね、それに二人のおかげで売り上げも絶好調なんだ。こちらこそ感謝感謝だよ」

 車のトランクに満載のバーベキューセットは真新しかった。みんなで手分けして砂浜に運び、男二人は火を興したりテーブルや椅子などを準備する。本職のメイド二人は手際よく食材を下ごしらえして、瞬く間に準備が整った。


 飲んで泳ぐと危ないのでノンアルコールビールで乾杯した。

「バーベキューやりたかったんだよ、カミさんがなかなか遊んでくれなくてね」

 鬼原には五つ年下の奥さんがいる。仲も悪くないのだが何しろアクティブな人で、今は海外に登山に行っているそうである。一人娘も結婚して遠くに住んでいるので、顔が怖くて友達の少ない鬼原は遊び相手がいなかったのだ。

「陽平さん、野菜もちゃんと食べなきゃだめですよ」

 ロッテがトングでピーマンをよこす。近頃少し楓恋に似てきたような気がする。

「はい、社長も眺めてニヤニヤしてないで、ちゃんと食べてくださいね。いっぱいお肉買ってきたんだから」

 楓恋が見つくろって盛り付けた皿を差し出す。鬼原は旨そうに、嬉しそうに肉塊にかぶりついた。

「それにしても、お盆だからかな? 人が全然いないね」

 まるで貸し切りのようなビーチで、鬼原は少し残念そうだった。

「じつは、この海水浴場で溺れる人が多発したり、お化けを見たって情報が出回っていて、避けられているんですよ」

「なるほど、陽平君の出番ってわけだね」


 食事が終わって片付けが済むと、陽平とロッテは服を脱ぐ。更衣室で水着に着替えた上にTシャツを羽織っていたのだ。

 ロッテはブルーの生地に花柄のビキニを着ていた。フリルがあしらわれ、下が短パンのような形でセクシー過ぎず清楚な印象だ。プリっと引き締まった小尻とくびれた腰、胸もそこそこボリュームがある。そして、肌は眩しいほどの美白つやつやだった。セクシー担当は楓恋のような気がしていたが、こちらもどうして侮れない。

「もうちょっとお腹を休めたほうがいいですよ。ロッテは日焼け止め塗らないと、前にひどい目にあったでしょ」

 こちらの世界で言うところの白人のような肌だから、黒く日焼けはしづらいものの真っ赤になって火傷のようになってしまうのだ。

「あの時はたまたま誰もヒーラーさんがいなかったからじゃないですか。今日は楓恋さんも陽平さんもいるし、わざわざ塗るの面倒くさいですよ」

 楓恋はロッテに手招きして、何やらヒソヒソ話ししている。

「なるほど! それなら塗ってもらわないといけませんね」


 ロッテはレジャーシートにうつぶせになると、ビキニの上をポイっと外してしまった。

「陽平さん、背中届かないので塗ってくださいな」

 うつ伏せから顔を上げ、自然と上目遣いのロッテ。日焼け止めのボトルを差し出して右腕を上げている。膨らみの先っぽが見えてしまいそうな危ういところでギリギリを保っている。地面との間で少し押しつぶされた真夏の果実に陽平の目は釘付けになってしまう。

 陽平は体中をギクシャクさせながらロッテの横にしゃがみ、ボトルを受け取って手に出した。

 白いドロドロを裸の背中に塗りたくるなんてもはやワイセツ行為ではないか。手を震わせて硬直する陽平。

「ポタポタ落ちてきて、早くしないとまだらになっちゃいます」

 ロッテに催促され、汗ばんだ背中へのファーストコンタクト。事故とかラッキースケベではなく、許されて触れるロッテの肌。ため息が出るほどの感動に浸っていると、

「ほら陽平君、そんなへっぴり腰じゃだめだよ。恥ずかしがらずに腰を落として」

 鬼原が剣道を教えるときのように後ろから誘導し、陽平はロッテのお尻にまたがる形になってしまった。

「ああ、それはまずいっす、鬼原さん!」

 陽平の内股に感じる温かくてプリプリなのに柔らかい感触。足先はムチムチの太ももに触れている。そうなると陽平の陽平がYO! HEY! で大変なことになってしまうのである。

「あ、あの……何か硬いものが……」

「ごごご、ごめん、すぐよける!」


 立ち上がろうとするも、鬼原に手首を掴まれて、

「ほら、こうだよこう、いち、にい、いち、にい」

 陽平の右手は強制的にロッテの背中を行ったり来たりさせられてしまう。

 夢見心地のうちに腕もうなじも太ももから足にかけてまで、ロッテの全身をくまなく撫でさせられた陽平だった。

「陽平さん、私なんだか変な気持ちになっちゃいました……よかったら、前も塗ってもらえませんか?」

 ロッテはクロスした両手の手ブラ状態で起き上がっている。妖しくうるんだ目をして息も絶え絶え、白いほっぺを桜色に染めている。今にも手をはずしてトップレスを披露しそうな危うさを感じ、陽平は前のめりで走り出した。

「そっちは楓恋さんに塗ってもらってくれ! 先泳いでるから!」


 駆けていく陽平を眺めて笑いながら楓恋が言う。

「そこは水着で隠れるから塗らなくていいでしょ。はい、社長はあっち向いてください」

 ささっと水着を着せて残りの前面を塗りたくる楓恋。

「これでよし、社長、私にも塗ってもらえます?」

 楓恋がTシャツを脱ぐと、一気に大人の色香が漂うようだった。黒いビキニにいろいろ紐状のものが渡されたセクシーな水着を着ている。細身の長身なのにムッチリと女性らしく、たわわな胸はもはや罪の双房と言わざるを得ない。スズメバチのようにくびれた腰からボリューミーなお尻。スラリと伸びた脚線美の張りつめた肌。ベテランの鬼原も思わず息を呑む光景だった。


「ぜひ、そうしたいところだけどカミさんに怒られるっていうか、顔をまっすぐ見られなくなりそうだからね、ロッテちゃんに塗ってもらうといい」

 髪が無いのに後ろ髪引かれる思いの鬼原だったが、コンロの炭を始末しに行ってしまった。

「陽平さんも行っちゃったし、しょうがない、ロッテが塗ってくれる?」

 ロッテは陽平がしたように楓恋のお尻にまたがって塗り始める。

「わー、楓恋さんのお尻フワフワで気持ちいい~。肌きれいですね~」

 ロッテの両手が美肌のキャンバスを滑ると楓恋は気持ち良さそうに身をよじり、艶めかしい声を漏らす。これが陽平だったらYO! HEY! がさぞかし荒れ狂っていたことだろう。

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