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3-6 会談

 女神プロネウスとギルドマスターの働きによって、フォルステール王国国王ジョージと魔王アメリアの会談が実現した。とはいっても、極めて非公式な会談で、お忍びというやつである。

 この日に向けて魔王城の堀はきれいな水に入れ替えられ、城門にかかる橋が用意された。

 家臣の二人が時代劇のかご屋のようにかつぐ棒の真ん中にはジョージがぶら下がっていた。ギルドマスターがジョージの話し相手をしながらのんびり歩いている。

「ほほぉ、アメリアちゃんも今回は歓迎してくれているようじゃの」

 毒沼などへの対応に備えて少し離れた位置に転移してきていたが、無用な心配だったようだ。

「敵味方などと言っている場合じゃないですからな」

 毒沼毒霧が無ければこうも美しい城だったかと、爺さん同士語らいながら橋を渡る。

「ようこそおいでくださいました」

 副メイド長クロエ以下人間のメイドから亜人、モンスターまでが整列して出迎えた。


「来たなスケベジジイ! 生きてたか!」

 メイド達の後ろからバネのように勢いよく飛び出してくるアメリア。

「我が君、失礼ですよ!」

 身構えるマスターをすり抜け、アメリアはジョージの頭を撫でた。

「ぶん殴るのはダメだって言われたから撫でてやる。小娘にナデナデされる気分はどうだい、国王ジョージ君?」

「やらかい手じゃのう。香水変えたかね?」

 ジョージは余裕しゃくしゃくで気持ち良さそうに目を細めていたが、

「尻がガラ空きじゃ、小娘!」

 気づいた時には撫でられているアメリアだった。

 ふいを突かれ、キャッと可愛らしい声を上げたアメリアだが、デコピンでやり返した。

「相変わらずお触りだけは神速だな、油断ならないジジイめ」

 ちょっかいを出し合う二人に、苦笑いのクロエとマスターだった。


 中庭にある立派な枝ぶりの樹にジョージをぶら下げ、アメリア達は椅子に座った形の奇妙な会談だった。

「さて、こうしてはるばる来てもらったのは他でもない、お互いの呪いを解除し合おうというわけ。いいでしょ、爺さん?」

「この姿も悪くないがのう。娘達の尻を撫でても不思議と許される愛嬌たっぷりプリティーな姿だからのう」

 ジョージは咳ばらいを一つする。

「冗談はさておき、異論はないよ。では、呪いを解くために熱いキッスを交わすとしよう」

 唇を尖らせて、ほれ、ほれ、と催促するジョージ。

「恥ずかしいから目をつむってよ、爺さん」

 ポッと顔を赤らめて恥じらって見せるアメリアだったが、ジョージが目を閉じると配下のオークに手招きする。

「むむ、なんだか獣臭いのう。ちゃんと風呂に入らないといかんぞ、娘っ子」

 おっさんオークの豚鼻に熱いキッスをしたジョージは、驚いて樹から落っこちた。

「そんな手に乗るかエロジジイ。ほら、真面目にやるよ」


 アメリアはジョージの両手を握って詠唱する。

此方こなたの呪い(まじない)斎戒さいかいに変えて我が血潮にて贖う(あがなう)。異形にやつした此方の霊肉れいにく這般しゃはんをもって出廬しゅつろせしめん。我、アメリア・ヴォイドフォリアここに約諾やくだくする」

 アメリアは自らの指をかじって血を出した。その血でジョージの両掌にルーンのようなものを描く。ジョージの体が赤いオーラに包まれて変化していく。みるみるうちに爺さんの姿に戻っていった。

「ちょっとは隠してよ爺さん!」

 フル〇ンで仁王立ちのジョージにアメリアが慌てる。クロエが大急ぎで手配し、とりあえずバスローブを着せた。

「力がみなぎってくるわい。たまりにたまったこの力、是非ともアメリアちゃんと試してみたいものじゃの」

 いやらしい手付きをしてアメリアににじり寄るジョージ。

「いいから、あたしのも早く解いてよ」

「解いたらいいことしてくれるかの?」

 言いながらもアメリアの両手を取るジョージ。


「そうはさせるか」

 飛竜の影が中庭を通り過ぎ、ジェイコブが飛び降りてきた。

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