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彼女と不仲になったなら  作者: 吉木那央
第一章 長府友奈の場合
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03 あれれ、どうして君がここへ?

 どのくらいの時間話しただろうか。

 俺の性格のこと。今気になっている人がいること。

 初めて話す人だけれど、気兼ねすることなく話すことができた。それもこの先輩の出す安心感なのだろうか。


「で、これからどうしたらいいのか、ということを相談するためにここに来ました」

「なるほど」

 先輩は終始、相槌を入れながら聞いてくれた。

「まず私はあなたに話さないといけないことがあるわ」

「はい?」

 俺は首を傾げた。


「この部活…、『恋愛相談部』はね、『恋人がいる人が相談する場所』なの」


「は…?」

 どういうことだ。恋人がいる人が相談…?

「つまり俺は」

「ここで相談する条件を満たしていないってことね」

 ええ…。

「じゃあ、なぜ俺の話をずっと聞いていたんですか?」

「だって、話を遮るタイミングがなかったから」

 先輩は苦笑した。

 たしかに終始、俺が話続けていたとはいえ、途中で止めてくれてもよかったのではと思う。

「というわけで、私からアドバイスできることはなにもないけれど、この後どうするのかしら」

「う…」

 仕方ない帰るかと思って、立ち上がった瞬間、教室のドアが開いた。


「し、失礼します」


 俺は今入ってきた人の姿を見て愕然とした。

 そこにいたのは、なんと長府さんだった。

 長府さんも俺に気付いたらしく、驚いた顔をしている。

「どうして美祢君がここに?」

「あ、えっと…」

 さすがにあなたのことについて相談しに来ました、なんて言えない。


「その人はうちの部員ですよ」


 俺があたふたしていると、長門さんがそう言った。

「そうなんだ!」

 さらにあたふたする俺をよそに、長府さんは納得していた。

 一方の俺は先輩に詰め寄る。

「先輩どういうつもりなんですか」

「まあせっかくこの遠い教室まで来てもらったのだし、この部活がどういったところなのかを知ってもらいたくてね。」

 先輩の目はどこか寂しげだった。

 よくわからないが、とりあえず部員ということになったので、俺は先輩の横に椅子をつけて座ることにした。


 一息ついたところで頭の中を整理。

(あれ、長府さんがここに来たってことは…。)

 そのことに気付いた時にはもう先輩は何か資料を取り出し、話し始めていた。

「これが、恋愛相談部の調査結果になります」

 俺と長府さんは広げられた資料をのぞき込む。

 そこには、一人の男子学生がアパートに入っていく様子を撮った写真が何枚かあった。

 というか、この男子学生って…。


「あなたの恋人、徳山勇太さんは浮気をされています」


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