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さよなら、私の愛しい人。

作者: ユウ

短編は、初めて書かせていただきました!


誤字もあると思いますが、温かい目で見て頂けたら嬉しいです!







   「さよなら、私の愛しい人。」





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ドルータ国30年、12月23日、私、マリアーベルは自らの命を絶った。



・・・

・・・・

・・・・・1週間前に遡る。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



12月16日、


「マリアーベル、君は、私とアリアの仲に嫉妬しアリアに対して散々な嫌がらせを行った!!

マリアーベル、お前とは婚約を破棄させてもらう。

そして君を、国外追放とする。二度と私の前にその憎たらしい顔を見せるな。


・・何か言うことがあると言うのなら申してみよ。」


・・・ロイドは、私がそんなことをすると本気で思っているの?


「ロイドっっ私は、「私の名前を呼ぶな!!けがわらしい!!」もっ申し訳ありません、殿下、、、。

・・・私は、彼女に嫌がらせなどしていません!!」


私は知っているもの、アリアが嘘をロイドに吹き込んでいることを、、、


お願いロイド、目を覚まして、、私は、ロイドがいないと、、



「嘘よっっ!!酷いわ!あんなに私に酷いことをしたのに、嫌がらせなんてしてないだなんて!!

私は、、毎日が、恐くて恐くて、夜も眠れなかったのに!!」


・・・なっ何を言っているの?


私が何をしたと言うの?確かに、アリアがロイドと親しくしているのを見て、アリアが憎いと思ったこともあるわ!


でも、私は何もしていない!!


信じて!!ロイドっっ!!



「マリアーベル、、。お前が、これ程のゴミクズだとは思わなかった。アリアは毎日泣きながら私の所に来て震えていた。

お前にアリアの気持ちが分かるか?分からないだろう!

私はすぐにでもお前と婚約など破棄しようと思ったさ。だが、アリアは優しいからな、お前のことを思って、「私が我慢すればいいことなの。マリアーベル様に嫌われるようなことを何かしてしまった私がいけないの。」っと言っていたんだよ!!

なのに、お前と来たら、、「私は嫌がらせなどしていません。」だと?ふざけるのもいい加減にしろ!!」




私は唖然とした。


アリアが言ったことは信じて、私の言ったことは信じてくれないの?


ずっと一緒にいた、私の言葉は、、信じてもらえないの?






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




8歳の時、初めてロイドにあった。


明るくて、サラサラの金色の髪の毛に、深く深海のような濃い蒼、透き通った透明感のある白い肌に、薄く桃色に染まった頬、ぷっくりとしたローズ色の唇。

・・・全てが美しくて、眩しくて、、、、。


私は、はじめての恋をした。


私の家は公爵家で、立場上では釣り合っていた。しかし、それだけでは、彼の隣には並ぶことは出来なかった。


お父様とお母様に頼み込んで、私は、ロイドとの婚約を取り付けた。


それから私は、たくさんたくさん努力をした。


ロイドはこの先、このドルータ国を支える大切な役割を持っている。


妻となる私が、ロイドを支えていくのだっと思っていた。


だから、、美容・知識・人脈。など、誰からも文句をつけられないように努力してきた。


簡単で、楽な道のりでもなかった。


「どうして、どうして私だけこんな辛いことをしなくてはならないのだろう。どうして、、。」


こんなことを思うことも多々あった。


それでも、私は頑張って乗り切った。


辛い花嫁修業を乗り切り、ようやく、王妃にふさわしいと言われるくらいの知識、美貌、作法を身に着けた。


ロイドに会える時間はほとんどなかったが、花嫁修業の間に手紙のやりとりなどはしていた。


そして、7年間の時をこえてロイドにあった。


7年前とは違い、とてもカッコよかった。


可愛らしい印象だったが、背が伸び、細身ながらも筋肉がしっかりついていて、大人の男性と思わせる話し方に


私はまた、恋をした。


私は、ロイドに再び会えたことが嬉しくて、急いで声をかけに行った。




「ロイド殿下、お久しぶりでございます。マリアーベルです。

 これからも宜しくお願いしますわ。」


「・・・。あぁ。」


ロイドはそう、一言いって離れて行ってしまった。


・・・どうして?


私が何かしたのかしら、冷たかった。


あの、冷たい瞳。まるで、ゴミを見るように・・・。






大丈夫。大丈夫。大丈夫。


ロイドも私のことを好きでいてくれているわ。


大丈夫。きっと、、大丈夫だから。






そして、ロイドとはその後一言も会話を交えることなく、私とロイドは学園に入学した。



それからだった。


アリアと言う平民出の子が、ロイドと仲良くしはじめた。


最初は、ロイドも平民出の彼女が一人でいるのを見て、仲良くしているだけだった。


しかし、毎日笑顔で話しかける彼女に心を開いたのか、段々とロイドも彼女を気にかけるようになっていった。


まただ。また、あのアリアって子、私を見てからロイドに会いに行っている。


どうしてだろう。


私はあの子と面識はないはずだ。


なのに何故か、彼女は私を気にしている。


一体何故。


私は考えてもわからなかった。







それからというもの、アリアは私の前によく現れた。


ある時は何もないところで、私の前で派手に転び、


ある時は、私の前でいきなりバケツの水をかぶった。


そして、キミの悪いことにニィ…っと口を弧のようにして、笑って走って何処かに行ってしまうのだ。


私は、アリアのしたいことがよく分からなかった。


前に中庭を通ったとき、校舎の裏に行く彼女を見かけた。


立ち入り禁止なのに、どうしたのだろうか、っと思い、彼女を追いかけた。


「~~~~~~‼」


何か言ってる?


聞こえない。もう少し近くに・・・


「ロイドとレイとあの双子の攻略も終わった!!

 念願の逆ハーレムエンド!!よっっしゃーーーー!!

 あとはあのクソ女の婚約破棄の公開処刑だけ!!楽しみ!

 あの裏切られた時のマリアーベルの顔!たまんない!!あぁ、

 絶望した顔を早く見たい!!」



っえ・・・。


どういうこと?今までの彼女と全然違う。


どういうことなの?


ガサッ、、、


「ん?」


気づかれた?


「そこにいる人は誰?」


気づかれてしまった。こうなったら仕方ない。


「・・・っ。貴女、、貴女は一体誰なの?」


「あ〜、マリアーベル様だったのですね?

 誰って、貴女もご存知のアリアですよ〜!!忘れちゃいまし

 か?アハッ!!」


おかしい、いつもはこんな人じゃないのに、、まるで、何かに取り憑かれているみたい。


「聞いてますか〜?マリアーベル様〜〜?

 あとぉ〜〜。














 ドコカラキイテマシタ?」




ゾクッッッ、、、


怖い、恐い、怖い。


負けてはいけない。マリアーベル、貴女は、この国を支える王妃になるのです。


「こっこうりゃくって、ぎゃくはぁれむえんど?って何なのですか?」


「ッチ、結構前から聞いてんじゃん。ウッザ。」


「えっ?」


何と言ったのかしら、小さ過ぎて聞き取れなかったわ。


「はぁー。そこまで聞いてんだったらもういいか。公開処刑を早めればいいだけだもんね。親密度も問題ないしイイや」


さっきから、何を言っているの?


親密度ってなんのことかしら。


「マリアーベル様はぁ〜、ロイド様のことを好きですか?」


「ぅえ????! ・・・ゔゔん、、。

 ええ、お慕いしておりますわ。」


「そうですか、私もなんです。

 ロイド様ってぇーすぅっごく優しいですよね?っね?

 いつもアリア〜って、あま〜く微笑んでくれてぇ〜〜、

 

 私ってぇー、愛されてますよねぇー!」


ヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテ・・・ヤメテ。


私は、私は一度もロイドから微笑んでもらったことはない。


優しくされたこともない。甘い声をかけられたことなどない。


だめよ、マリアーベル。今、今怒りをあらわにしたら、私の今まで積み上げてきた信頼、全てが水の泡になってしまう。


我慢。我慢しなくては。耐えなければ、、、。


「ごめんなさいね?マリアーベル様。 

 ロイド様ったら、独占欲がすごくってぇー、毎朝腰が痛いで

 すわ〜。」


バチーーーーン・・・・。


「ィタイ、、。」


っは、、、。私は、一体何を、、、。


「申し訳ございませんアリア様っっ!!」


腹が立って、とっさに手が出てしまった。


「フフフフフ、アハッ、アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ」


なっ何?


「とうとう、とうとう手を出しましたわね?」


っえ?とうとう?


「なかなか手を出さないから大変だったけど、結構簡単だったわね?」


やってしまった・・・・・


「では、次会うのを楽しみにしていますわ」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



そして、冒頭に戻る。




あぁ、アレはそういうことだったのか。


彼女の次に会うのが楽しみとは、このことだったのか。


ロイド、貴方は、、、、、。


そう、だったのね。貴方が私を冷たい目で見ていたのも、全て彼女の言葉を信じて疑わなかったから、、、。


アリアは、彼女は、憶測だが、ロイドに、私に何かされたと言っていたのだろう。何か酷いことを。




・・・

・・・・

・・・・・あぁ、そうか。


私の前で転んだり、バケツの水をかぶったり、アノことを話していたのか。


なるほどね。やっとわかったわ。


そして極めつけは、私が彼女を叩いたこと。


あぁ、最初から、最初から全て仕組まれていたのね?


私は、彼女に何かしたのかしら。


恨まれることをしたのかしら。


辛い花嫁修業のときもその前も、ずっとロイドだけが私の支えだった。


ロイドだけがいれば良かった。隣に、そばにいるだけでも良かったのに、


そばでいることすら許されないなんて、、、、。


「・・・マリアーベル、何か言い残すことはあるか?」


彼は笑って言う。


なんて冷たい瞳。あなたの瞳に、私は映らない。




最後なら、もう、会うことが許されないのなら、私が今まで言えなかったことを言ってしまおう。


彼女には見せない。


彼女が言っていた、絶望した顔が早く見たいと。


見せるものか、これは、私の意地だ。


私は、俯いていた顔を上げ、ロイドを見た。


そして、優しく、初めて会った時のように微笑んで、、、



「ずっと、お慕いしておりました。ごきげよう。」


完璧な作法でおじぎをしてまた、ニコリと微笑み、体の向きを出口へと変えてあるき出した。


泣くな泣くな泣くな。まだ泣いてはいけない。


せめて、せめてここから出るまでは、、、。


少し早歩きになってしまったかもしれない。


ロイドやアリアが何か言っていたかもしれないが、聞こえなかった。


家に帰ったら、何と言われるだろうか。


恥さらしだと言われるだろうか、何にしろ、勘当はされるだろうな。


もう、泣いてもいいよね?


私は、大粒の涙をこぼした。




迎えが来ていて、家に帰るのに、目が腫れているからと冷やしながら家に帰った。


お母様もお父様も、目が腫れて帰ってきた私を酷く心配していた。


びっくりしたが、嬉しかった。


状況を説明すると、二人は黙って離れて行った。


やっぱり、っと思った。


それから3日間、私は自室に引きこもった。


ご飯は食べず、時々水を飲む。こんな生活を送った。


私は、ロイドやアリアの様子が気になり、そっと家を出た。


ひたすら走り続け、学園ヘ隠し通路から入り、二人を探した。


「~~~~」


「~~ン……」


いた!!


「チュッチュウッッはぁっ」


「ロッロイドォ〜、ンッチュッフッ」


あぁ、本当に、アリアの言うとおりだった。


帰ろう。






あれから、どうやって帰ったのかは覚えてない。


きっと、フラフラとしながら帰ったことだろう。


もう、泣きすぎて涙が出てこない。



私は、自室に帰って椅子に腰を落とした。


頭の中、目の前が真っ黒に染まっていた。そして私は、机にもたれて、そのまま深い眠りについた。





目が覚めると1日がたっていた。


不思議とお腹がすかなかった。


私は、生まれて初めて『遺書』を書いた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ーお母様、お父様、この度は公爵家に多大な迷惑をおかけしたことお詫び申し上げます。


私がここまで生きて来られ、幸せに過ごせたのはお二人のおかげです。


本当に、私は幸せでした。


私が8歳の時、お二人には酷い我儘を言って殿下と婚約を結んでもらいました。


申し訳ありません。


私は、自分から婚約したいといったのにもかかわらず、もう辛くなってしまいました。


殿下に伝えて欲しいのです。私は、アリア様に嫌がらせなどしてはいないと。


アリア様が殿下は独占欲が強いと、毎朝腰が痛いとおっしゃったとき、私の中で、何かが切れた音がしたのです。


私は、アリア様を叩いてしまいました。


アリア様にお伝えください。


申し訳ありませんと。


私は、もう耐えられなくなりました。


死んでしまうのはずるいと言われてしまうかもしれません。


ごめんなさい。


お母様、お父様。今までありがとうございました。


お二人の子供として生まれてこれて、私は幸せです。


さよなら。お母様、お父様。



そして、








さよなら、私の愛しい人。



                  ーマリアーベル


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




私は、天井から吊るした縄を見上げる。


椅子にゆっくりと足を乗せ縄の輪を顔の正面に持ってくる。


恐る恐る縄の輪に頭を通す。



怖い。これで、私は死ぬ。


マリアーベルは、ゆっくりとまぶたを閉じた。


学園で二人がキスをしていたのを思い出す。


ロイドに向けられた冷たい視線を思い出す。


すると、怖いという感情がゆっくりとなくなっていった。









「さよなら、私の愛しい人。」




マリアーベルは椅子を強く後ろに蹴り飛ばした。


酷い苦しさがマリアーベルを襲う。




苦しい。痛い。



でも、辛かったのは始めだけで次第に苦しくなくなっていた。



そして、一粒の涙が、マリアーベルの頬をなぞり、こぼれた。
























もしかしたら、ロイド視点や両親視点、アリア視点も書くかもしれません。



喜んでいただけるといいな、と思っててます!

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― 新着の感想 ―
[一言] 久しぶりに読み返しました。 続編あるかなぁと思ってましたが無いようで残念です(´TωT`)
[一言] 可哀想で泣けました。 続編あるかも〜との事でしたが、ないようなので残念です。 両親が黙って出ていったのには何か理由があったのではと思ったりしたので、続きとか別視点とか読んでみたいなぁと思いま…
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