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7話 temptation

 エイジと八坂は調査を始める。

 当時八坂のクラスには男子14名、女子12名の生徒がいた。普通の高校に比べ、1クラスあたりの人数が少ないのが特徴で「教師と生徒同士のふれあいを多く」というのがキャッチコピーだが名ばかりでそんなことはなかったと八坂は語る。

 事件は殺人に加え、婦女暴行ということから犯人は男性であることが伺える──性転換した女性だったら完全にお手上げだが。

 犯人が前原と高町ではないとするなら残る男子生徒は12人。だが事件の資料を読み進めると、殺害された7名は男性であることが発覚し、それらを除くと残りは5名。だが特に大きな犯罪経歴を持つ人間はなく、せいぜい万引きやケンカが精一杯。

 エイジはその中で人相の悪そうなのを割り出す。

「いかにも悪そうなんは… こいつか」

 中村ナカムラ隼人ハヤト。いかにも不良といったような顔で傷害や万引きなど、3件の前科持ちだった。

 また、不良ではなく根暗の逆襲というパターンもある。八坂が見る中で怪しいと感じているのは宮野ミヤノ三城ミキ浜田ハマダ。だが、根暗がそんな大それた犯罪を起こすとも思えなかった。

「この中村って奴を除いてもどれもインパクトに欠けるよなぁ…。確かに根暗の逆襲もありえるが…。特にこの宮野って奴、どんなんやったん?」

「えっと…正直言ってしまうと宮野君はよく覚えてません…。」

「…… そういえばこの3年間で大事件的なものはなかったか?」

「大事件は… なかったような気がします。それほど衝撃的なら覚えてるはずですし」

「なら、生徒の中に犯人がいるとすれば3年間の中で恨みをためた可能性があるな」

「…教師という可能性もありますが」

 たとえば当時の教え子が不祥事を起こし、それが原因で出世の道が閉ざされたエリート教師による復讐。または生徒に馬鹿にされたダメ教師による復讐など…。

「でも八坂さん、それほど大きな事件なんてあったっけ? 確かにダメ教師の類はありそうだけど、3年間ともみんないい先生だったじゃないの」

「そうだったっけ… あ、ごめんなさい、ちょっと…」

 そういうと八坂は図書室から出てしまう。

 エイジと鹿島は情報はないか資料を読み進める。

 八坂はいつまでたっても戻ってこない上に鹿島はだんだんと資料を見るのに飽きてきたようだった。

 数分経ち、ある程度の資料を見終えたエイジは整理を開始する。

「…こんな所か…。」

「ねぇ…」

 鹿島はその大きな胸をエイジの背中につけてくる。

「とりあえずこいつらの写真を暁さんに見せてみるか…。」

「ねぇったら…」

 さらに頭にうずめようとしてくる

「所在はCDでわかるからえぇとして…」

「ねぇ…」

「だあぁぁ、邪魔すんなや!」

「そういう言い方、傷ついちゃうなぁ」

「うっさい! えぇ加減にせんと本気で…」

「うああぁぁぁぁぁっ!」

 八坂の悲鳴がこだました。

 エイジは冷や汗を流し、体が硬直したまま動けない。鹿島は目をとろけさせたまま八坂を直視。一方の八坂は立ち尽くしたままピクリと動かない。

「…とにかく、こいつらのコピーを頼む。」

「この人たちが犯人なの?」

「…わからん。あくまで可能性や。」

「ちょっと待っててください。」

 鹿島は図書室から姿を消す。

 エイジはとりあえずどうしたものかと首の周りをかき、八坂を呼び止める。

 八坂は未だに信じられないとあっけにとられた顔でエイジをずっと見ていた。

「……」

「……」

「あー、別にそんな関係とちゃうからな、誤解せんといてくれ」

「え、えぇ、わかってます、わかってますよ…」

「はい、コピー終わりましたよ。」

「おぅ。んじゃ、失礼させてもらうわ。」

「えぇ、また何が情報がつかめたらお教えします。」

「頼みます」

「あ、そういえばCD−ROMは?」

 八坂が思い出したように言う。エイジはすっかり忘れていた。

「あ、忘れてもうた。」

「こちらです。」

「…嘘やったらいろんな意味で抗議するからな?」


 その後、エイジと八坂は警察署に戻り、資料を見ていく。

 また、鹿島のくれた住所のデータなどから暫定的な容疑者を絞り込む。

「ありえるのはお前の言うとおり、『宮野』、『中村』、『三城』しかなさそうやな。」

「そうですね。中村君は当時からかなり荒れていたので大きな悪になっていてもおかしくないはずです。」

「三城もそうやが宮野もここから家が近い。加えてお前の記憶にも残ってないとなると無視された鬱憤を晴らすという可能性もある…」

 さらに裏づけのための資料などを検索していると時間は午後8時を回っていた。

 そろそろ時間的にもいい時間なので八坂は帰ると言う。

「先輩はどうしますか?」

「んー、せやなぁ…」

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