第1話 小笠原 悠人
俺(小笠原 悠人)は小さい頃から不幸だった。
俺は父と母と妹(美奈斗)の4人家族で暮らしていた。
5歳の時に両親が離婚し、母と妹と一緒に暮らすことになった。
俺が8歳になった時の夏、母がストレスで倒れ死んでしまった。母の葬式で父と母が離婚した理由を母の仕事場の同僚の人に聞かされた。借金である。しかも、そのせいで俺たちの育児費を出してくれていなかったこともわかった。
そして俺はその時初めて自分の実の父を死ぬ程憎んだ。
そして、時は流れ俺は中学校に入学する。
1年3組になった俺は、何の部活に入ろうかと考えていた。
「なぁ小笠原、お前部活何に入るか決めた?」
あんた、誰だよ・・・
と思いながら「いや、まだ決めてない」と返す。
「あ、ゴメンな、俺、『圓堂 良太』って言うんや。よろしくな。」
「お、おう」
「俺的には『ハンドボール』がいいと思うんやけど。」
「へー、ハンドボールねぇ。」
聞いたことあるがそんなに興味はなかった。
「なぁ、一緒に見学行ってみんか?」
「少しだけなら。」
こうして俺は圓堂と一緒にハンドボール部に見学に行くことになった。
「うちの県の中学でハンドボール部は3校しかないらしいよ。」
「それじゃぁ、2回勝てば大きい大会いけんじゃねぇの?」
俺がそう言うと圓堂は、少し困った顔をして、いった。
「それが難しいんや、なんせ城東中と八幡中の人達が強すぎて今の代の人達は、1勝もできてないらしい。」
1勝もできてないだと!? そんなバカな・・・。
「お、着いたで。ここがハンドボール部の練習場所や」
「こんにちは。部活見学にきましたー。」
ドォォォォォーーーン。
え!?何この音!?
扉を開けるとそこには、俺思っていた以上にハンドボールは迫力があった。
めっちゃ飛んでるんですけどーーーー!!!!
「え、ハンドボールってこんなかんじなの!?」
「あれは小田川。部の中で一番の力を持ってるんだ。だからあそこまで高く飛べる。」
「そ、そうだったんですね。」
小田川さん半端ないって。ボールもらってからめっちゃ高く飛ぶやん。そんなんできる普通!?
「え、ええっとキャップテンの斎藤 和也さんで間違いないでしょうか?」
「おう。俺がこのチームのキャップテン斎藤 和也だ。よろしくな。」
こうして俺の部活動見学がはじまった。
「おーいヤマトーーーーー!!!!」
「はい。」
「1年に練習教えといて。」
「はい。わかりましたー。」
そのヤマトと呼ばれる男は俺より少し身長が低めでざっと見たところ150cmぐらいだろうか。
俺は香山 大和 (かやま やまと)今から君たちににハンドボールについて簡単説明する。ハンドボールは7対7のチームでより多くの点を入れたチームの勝ちだよ。一般のシュートのやり方はジャンプシュート。これはどのスポーツにも無い動きだから僕も覚えるのに苦労したよ。君たちにはこれを練習してもらうよ。」
こうして俺達のジャンプシュートの練習がはじまった。
「クソっ、全然うまくいかねぇ!」
「まぁ最初は、そんなもんだよ。」
ヤマトさんが手本を見せてくれたようにやれば・・・
「オラァ!!」
「おぉ!!」
で、できたのか!?
「たった1時間30分で習得できるなんてたいしたものだよ」
「は、はい。ありがとうございます。」
俺は1時間30分でジャンプシュートを習得した。
「あ、あれ圓堂のヤツは?」
「アイツならキーパー練習してるよ」
ちっ、なんでアイツキーパーやってんだよ。
俺が苦労してるって時に・・・
それから俺達はヤマトさんからハンドボールについてのルールを教えてもらった。
やっぱりハンドボールどのスポーツより少し難しかった。
そして俺と圓堂の今日の練習はおわった。
「どうかな?うちの部に来てみないか?」
「はい。ぜひ入部させてください。」
「圓堂は入部だな。」
「小笠原はどうするん?」
圓堂がいった。
面白そうだから。俺も入ってみよう。どうせ他に入るとこないし。
「俺も入部します。」
こうして俺はハンドボール部に入部することになった。
俺がハンドボール部に入部して次の日の練習。
体育館の扉が開いた。
「こんちわー。」
そこには、メガネをかけた、ロン毛のオッサンがいた。
誰だよ・・・・・・。あのオッサン。
「和也さん。あのオッサンだれですか?」
「あの人は、俺たちのコーチをしている仲村 賢治さんだよ。」
「え、あの人コーチだったんですか!?」
「あぁ、お前ら昨日は、コーチ来る前に帰ったらな。」
「もしかして他にもコーチっているんですか?」
「いるよ。大島 誠司さんって言うんだよ。一応女子のコーチしてんだけどな。」
「え、ハンド部に女子なんてあったんですか?」
「あぁ、あるよ。昨日と今日は休みだけどな。」
「和也。ちょっとこい。」
「1年の人数集まってんのか?」
「いえ、今はまだ2人です。」
「全然集まってないな。早く集めといた方がいいぞ。」
「はい。わかりました。」
「悠人、圓堂はどこいった?」
「多分まだ教室ですよ。」
「まぁいい。悠人お前と圓堂に重要な任務を任せる。」
「はい。」
「うちの部は、まだ1年がお前と圓堂しかいない。
だからお前と圓堂には部員集めをやってもらいたい。それまで練習は無しだ。」
「わかりました。圓堂にも伝えておきます。」
これにより俺達の部員集めがはじまった。