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第54話 おっさん怒られる

前話のあらすじ:図書館が膨大な大きさがあることを把握する

 トレジャーハンターまで図書館に挑戦して秘密の部屋を探そうとしているなんて、どんなダンジョンだと言いたい。

 ダンジョンだって、簡単な物なら怪我も負わずに帰還することが可能だし、もっと警備が厳重である。

 ここは、ダンジョン級だというのに、現在警備もいないため誰でも入ることができてしまっている。


 そして、新館でユイと本を探そうという話になり、旧館から離れようとしたら旧館からボロボロの人が出てきた。


「え? 大丈夫ですか!?」


「ああ? うん……、大丈夫だよ……」


 あまりにもボロボロの状態で図書館から出てきたから思わず驚いてしまった。

 大丈夫か問いかけたが問題ないそうで、そのまま図書館を出て行ってしまった。

 

 どうゆうことなのだろう。

 本当にダンジョンにでもなっているのだろうか。

 本棚や壁、階段が動くだけでそんなに大変なのだろうか。

 

 もしかしたら、方向感覚が狂うのかもしれない。

 

「……お父さん、声は小さめで。

ここはこの大陸でも随一の広さを誇ると言われているの。

それに常に動き続けている図書館で危険度は相当高いの。

だから、怪我をしている人が出てくるのはいつものことなの」


「ごめんごめん。気をつけるね。

話は聞いているけど、そんなに大きいのか。

確かに旧館はよく見ると図書館の終わりが見えないような仕組みになっているのかな……」


「この図書館はもっと大昔の時代から建てられていると言われているの。

噂ではミクヴァの時代の建造物とまで言われているの。

でも、あくまで噂だからみんな信じていないけど……」


 今回俺たちが探す資料は、一旦は新館だけで良さそうだけど、もっと昔の資料が欲しければ旧館に行かなくてはいけなそうだ。

 というか、奥が見えないだけあって、迷ったら出て来るのに一苦労しそうだ。

 ダンジョンでもここまで複雑な作りはしていないのじゃないだろうか。


 その後、新聞部の記事を新館で見つけたので読み漁っていく。

 過去20年分の新聞部の新聞が置いてあったおかげで秘密の部屋についてはある程度知ることが出来た。


 どうやら、秘密の部屋は学園の至る所にあるみたいだ。

 その中でも、随一の大きさを誇る図書館の旧館は秘密の部屋どころか色々とヤバイものまである可能性が高いらしい。

 その分、危険も詰まっており、これまでに何人もの生徒や教員が亡くなったり、行方不明となっているらしい……。


 ええぇ。

 そんな危ないところなんで閉鎖しないの。


「……書いてあると思うけど、やはり膨大な資料があって便利だから閉鎖できないの」


「だとしても、ちゃんとルールを設けるべきだ。

現状のノールールでは危険すぎると俺は思う。

もし、偉い人に会う機会があるかもしれないから、ユイの意見を聞かせてくれ」


「確かにノールールは危険ではあるの。

でも、中を警備することは不可能に近いの。

だから、何か連絡手段でもあればいいかなとは思っているの」


「連絡手段か……」


 ここでも携帯電話があればいいのにという状況だ。

 他のダンジョンや移動の際にも、携帯電話があれば楽だと思うので、家に帰ったら本格的に研究を始めてみようと思う。


 まずは現状について、セシルさんに後で相談してみよう。

 部外者の俺が言うのも可笑しい話だけど、旧館からは凄く重い雰囲気が伝わって来る。


 よく気配を研ぎ澄ませればよくない雰囲気もたくさんありそうだ。


 っ!!


 この気配!!

 悪神の気配か?


 これは……調査に行かないとダメだ。


 もう気配はしなくなったが、一瞬悪神の気配がした。

 まるで俺の事を呼んでいるかのように感じた。


 違う!

 呼んでいるんだ!


 あいつだ!

 悪神の配下がここにいるのか!


 でも、正面から行っても相手の思う壺だ。


 どうする?

 配下とは言え、神に仕えていた存在である。

 生半可な実力じゃない。

 それこそ、他の神々で言えば天使の存在である。


 対策を練る必要がある。


 なにより、膨大な広さの中から潜んでいるところを見つける必要がある。

 このままでは、分が悪い戦いだ。


 もう少し情報取集をすることにして、ユイと司書さんに聞いたり、秘密の部屋についての情報を確認した。


「……じゃあ、授業だから」


「ああ。ユイありがとうね」


「ううん……。役に立てて良かった……」


 じゃあ、と言ってユイは授業に向かって言った。

 さてと、情報をタナさんとセシルさんにも伝えるかな。


「あら? あなたはさっきの」


「おお! さっきはありがとうな!」


「別に大丈夫ですの。

それでは、わたくしはこれにて」


 と図書館を出るところで、先ほどの中庭で遭遇した女の子に出会った。

 どうやら、調べ物か勉強をしに図書館に来たみたいだ。


 挨拶だけはしてくれたので、俺のことを一応は覚えてくれたみたいだ。

 まあ、会ってからそこまで時間は経っていないので、覚えていても当然なのかもしれないけれども。

 

 でも先ほどの女の子は、勉強熱心な子なのかもしれない。

 もし、そうであれば相当偉い子だな。

 噂程度に聞いた話では、学園でも優秀とのことだから、優秀だけど勉強を怠っていないのだろう。


 さっきの子を見習って、俺もめげずに秘密の部屋について、調べよう。

 でも、時間的にそろそろ合流した方が良いのだろうか?


 セシルさんは放置をしても問題はないと思うが、さすがにタナさんを放置するのは良くないな。

 と思ったら、タナさんとセシルさんがこっちに向かって歩いてきていた。


 おお。

 よく場所が分かったな。


「セバッターさん!

勝手にいなくなって〜!」


 タナさんが私怒ってますよとぷりぷりしている。

 怒っていてもほんわかするな〜。


 って、そんな態度を取っていると今よりも余計に怒らせてしまう。


「ごめん、ごめん。

娘に案内して貰っていたんだ」


「だとしても、突然いなくならないで下さい〜!

後ろ振り返ったらいなくて驚いたんだから〜!」


「はい……。

今後、気をつけます」


 結構、心配をさせてしまったみたいだ。

 実際のところ、タナさんも学生だけど、王都の学園は初めてで落ち着かないのかもしれない。


「それに娘さんに会うなら、私も挨拶を……」


「え? 王都の学園には来たことあったの?」


 タナさんに話を聞くと、王都の学園には学園対抗試合で来たことがあったらしい。

 なぜ落ち着かないのかと言うと、うちの娘達に会う事が緊張していたらしい。


 そうだったのか。


「やっぱり、認めてもらうには最初の印象が……」


「うん? よく聞こえなかったけど、なに?」


「ううん。こっちの話だよ〜」


「レン。昔から言っているがお前はもっと周りの事を考えろ」


 なんと、突然セシルさんにダメ出しをされてしまった。

 そんなに酷かったのだろうか。


 いや、確かに連れて来た女の子を放置していなくなるのは、周りのことを見れていない証拠なのだろう。

 今後は要反省が必要だ。


 そうすれば、昔から言われているデリカシーがないということもなくなるかもしれない。


読んで下さりありがとうございます。


投稿を始めてから1ヶ月が経ちました。

みなさんに楽しんでいただけていたら、幸いです。


これから涼しくなっていくと思いますが、体調にはお気をつけてお過ごし下さい。


これからも、よろしくお願いいたします。

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