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第44話 おっさん溜息をつく

前話のあらすじ:拉致された

 他の人達に当時から相当心配をさせていたみたいだ。

 そのため、今回のようにバレることに繋がったのだろう。


「俺もレンは当時で死んだと思っていたが、あの頃のセイン達の忽然としない態度やさっき説明した理由からもしかしたらってな。

そしたら、サリーが見たまんま喜んでいたから、これはレンが生きていたって結論になるわけよ。

それほど、お前の魔力コントロールはバケモンで綺麗過ぎるんだ。

今後、バレたくないなら、歪に作るように気をつけた方が良いぞ」


 んな、バカな。

 魔法陣をわざと歪に作るだと……?

 魔法陣は一種の芸術だと思っている。

 綺麗な魔法陣は見る者を魅了する。


 というか、8年経ったのに技術は進歩していないのか?


 簡単に綺麗な魔法陣が描けるとかさ。


「大戦ではたくさんの人を失ったけど、みんな意識していないだろうが亡くなったメンバーで葬式を開いていないのはお前だけなのだ。

だからこそ、当時余計目立ったんだ。

あの時、無理してでも第2師団も終戦に出動すれば良かったと後悔したぜ。

で、神様はやっぱり強かったか?」


「強かったよ、バカヤロウ!

おかげて、見た目がこんなになってしまったよ。

見た目が違うからバレないかと思ったのに、普通にバレるとか、ただ呪い食らっただけ損じゃん!!」


「まぁまぁ。

お前の師団コートを見るまでは半信半疑だったんだぜ。

それに、サリーなんて表面では平気なフリしてたけど、めっちゃ動揺していたぞ。

飲み物持ったら零すし、転ぶし……。

俺がライゼン家にお邪魔した時でさえ、そうだったんだから、もっと気が付いた時は酷かった筈だ」


「だって、死んだと思ったレンが生きていたんだよ?

見た目が変わっても生きていることが嬉しかったよ~。

あんな小さかったレンに全てを任せた事が悔し過ぎて……。


生きている事をお姉ちゃん達が知ったら、喜ぶはずなのに言わないの?」


「あの頃事は辞めよう……。

結構乗り越えたつもりだけど、まだムリなんだ……。


それに、家族に言うのはなし。

一度家を出てる俺が戻る資格はないから……」


 そう。

 俺は、実家に勘当されているのだ。

 だから、シルフィードの名前は捨てている。


 世界の原理上はシルフィードの名を持っているが、この国のシステム上では、シルフィードではない。

 

 それに何より死んだことになっているからね。



「重い話はやめだ、やめ!!

つか、お前その見た目でタナちゃんと付き合うつもりか?

さすがにサリーやシードが黙っていないんじゃないか?」


2人とも今年35歳の若夫婦だが、娘達は溺愛してそうだな。

ついでにリンさんのお母さんは、俺が子供の頃に大戦で亡くなっている。


「……そうなのか?」


「いや、ちょっと待ってくれ。

というか、シードさんやっと声を出したと思ったら、内容がそれなの?

本当にバカなの?

こんな見た目がおっさんの事を好きになる訳ないでしょ?。

今日はお墓参り行っただけだから。

というか、タナさん放置している状態良くなくない?」


「……そうだな」


 そう言って、メイドさんがタナさんを呼びに行った。

 

 さすがに娘達を溺愛していても、タナさんに俺の正体は伝えるつもりはないだろう。

 少しすると、メイドさんがタナさんを引き連れてやってきた。

 タナさんはいきなり放置されたから、親のことを睨んでいる。


「ごめんね、ちょっと話があるということで大人だけで話していたんだ」


 とタナさんに説明をする。

 

 その瞬間サリーがブッと吹き出していた……。

 サリーは優秀だし、頭もいいのだがアホの子なんだ。

 だから、暴走しないか不安である。


「も~、いきなり放置されてどうしたらいいか迷ったよ〜。

お母さん達盛り上がっていたみたいだけど、知り合いだったの~?

セバッターさんはお父さんの事やジルおじいちゃんの事を知っているみたいだったけど〜」


「そうよ~。当時第4師団で一緒だったのよ~。

今日は一緒にお墓参りデートに行ったんだって~?

お母さんも行きたかったな~。

デートしたかったな〜」


「そうだけど、なんで知ってるの~。

というか、そんなに仲良いの~?」


「仲良いわよ~。

一緒のお風呂に入った事もあるわよ~」


 ブッ!!


 メイドさんが運んでくれていた飲み物を飲みながらスルーしていたら、とんだ爆弾が落とされた。


 おい!

 まだ俺が子供の頃だろ!!


 ……まぁ、俺は転生者のため眼福だったことは否めないが……。



「おい、サリー!!

そんな昔の事を言っても、タナさんが困惑するだけだろ?」


「あら、10年前くらいの話よ~?」


 こいつ、10年前って上手い言い方をしてきたな。

 ミスリードだと思う。

 嘘は言っていないが、正解とは違う答えに持っていく手法の一つだ。

 

 俺が実年齢を言えば、5歳の頃の話だと分かるが、見た目からしたら20歳の頃に一緒にお風呂に入った事になってしまう。


 サリーはもう35歳にもなるというのに、やはりとんだじゃじゃ馬だ。


「……え?お母さん今年で35歳だよね…?

お父さんとは20歳くらいで結婚しているはずなのに、25歳でセバッターさんとお風呂に入ったの……?

どういう関係なの……?」


「ん~、お風呂に一緒に入ったし、一緒に寝た事もあるわよ~。

その時は体洗ってあげたわ〜」


 ほらー!!

 タナさんが盛大に困惑してるじゃん!!


 どうしてくれるのさ!!



 サリーを睨み付けると、気にしてないのかケラケラと笑っている。

 シードさんも微笑んでいる。


 おい、奥さんがそういう目にあったと娘に思われてあるのに良いのか?

 というか、お願いだから止めてくれ。


 あんたの奥さん暴走機関車だよ。

 直進しかできそうにないほどなんだけど。

 ブレーキついてないよ。


 発進したら壊れるまで走り続けそうな勢いで暴走しているんだけど!!!


 当時もアホの子だとは思っていたが、ここまで酷いとは思っていなかった。

 なぜ、サリーがここまで暴走しているのだろうか。


 というか、風呂の話とかで埋もれてしまっているが、俺が師団メンバーだったことをタナさんに言ってしまっている。

 これは、いずれタナさんにバレるかもしれないな。


 と、考え事をしているうちにタナさんとサリーが何やら言い合っている。

 サリーを止めないと、タナさんが盛大な勘違いをしたまま話が進んでしまう。


 ああ……。

 誰かブレーキの掛け方を教えて欲しい……。

読んで下さりありがとうございます。


みなさまのおかげで、読んで下さっている方が増えてきたようです。

今後とも、楽しんでいただけるよう、頑張ります。

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