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第43話 おっさんバレる

前話のあらすじ:拉致さえて馬車に連れ込まれた

 さて、タナさんとキールの街の中を走っている集合馬車を降りたら、シードさんとルビーがいて拉致されてしまった。


 側から見たら、娘とデートしている男を連れて行ったことになるのだろうか。

 と言うか、そのようになっていそうだ。


 さっき、ルビーは「デート」と言う単語を使ったため、周りがそのように勘違いをしてもおかしくない。

 いや、二人で出かけているから定義的にはデートなのかもしれないけれど、あくまでお墓参りだから。


 ライゼン家の馬車に揺られること、約10分。

 大きな屋敷の前に着いた。


 10分間は誰も話すことがなかったため、なんとなく気まずい雰囲気が流れていた。

 タナさんの7大公爵家が各地方に土地を持っていると言うことを信じると、この屋敷は領主の屋敷ということになるのだろうか。


 馬車を降りると、メイドさんや執事さんが挨拶をしてくるので、挨拶を返しておく。

 なんと、この世界には本物のメイドさんがいるのだ。

 メイド喫茶のメイドさんではない、本当の正真正銘のメイドさんだ。


 メイドさんの、あの優雅に一礼する感じが1つの文化だと感じる。

 ああ〜、癒されるね〜。


 とメイドさんを眺めていたらタナさんに冷たい目で見られていた。

 やっぱり、女性を凝視しているのは反感を買ってしまうみたいだ。

 別にメイドさんのことをいやらしい目で見ていた訳ではないと思うんだけどな。


 今後は気をつけた方がいいのかもしれない。


 

 特に会話がなく、屋敷の中に入らされる。


 えぇ。

 なにこの会話がない感じ。

 無言が続くとか、気まずいから苦手でヤバい。


 誰か話してくれないの?


「……タナ。こっちの部屋で待ってて。

話が終わったら呼びに行くから」


 と、シードさんに言われて、タナさんがメンバーから外されてしまった。

 これは、絶対に面倒なパターンになってしまった。

 でも、バレるようなことしたかな?

 

 シードさんがノックして部屋に入ると、女性が飛び付いてきた。


 っ!!


 瞬時に避けると、女性も切り返してきた。

 さすが、師団メンバーだっただけあり、母となってもまだ動けるのか。


 捕まるわけにはいかず、距離を取り続ける。

 勿論、向こうも距離を詰めてくるため、部屋の中をグルグルと回る形になってしまった。


「さあさあ……、終わりにして席に着こう」


 シードさんの一言で女性も止まり、席に向かう。


 絶対にまた来るからこれ。

 油断したと思わせると絶対に飛びついてくるよ。


 油断した風を装って近づくと、瞬時に捕まえてきた。

 あー、相変わらず捕まらないと終わらないなこれは。


「やっと捕まえた~。

相変わらず、逃げるの得意だね~」


 ほら。

 初めてタナさんに会った時から、タナさんの喋り方、誰かに似ていると思ったんだよ。


 この人は、俺のおばさんのサリーさんだ。

 結婚したため、現在はシルフィード家ではないが、当時はシルフィードの名を冠するに等しい程強かった。

 なにより、得意属性が風というシルフィード家の特徴が引き継がれている、素早さに特化した人だった。


 母親の妹であり、母親より1個年下の年子だ。

 うちの両親は同い年で今年で35歳のため、今年34歳かな?


 俺が師団の入って1人前扱いをされている中で、俺を子供扱いしていた数少ない1人である。


「さて……、レンもサリーも座りなさい」


 そう、シードさんに促されて席に着く。

 隣にはなぜかサリーさんだ。

 この人は8年経っても変わらないのか?


 3人とも俺のことをまじまじと見ては、納得するかのように頷いている。


 なになに?

 臭い?

 それとも、見た目がおっさんになってもブサイクだって思っているの?

 普通の平均的な顔くらいだと思ってるのにな……。


「さ~て、聞きたいことはたくさ~んあるよ~。

でも、長時間拘束すると~、タナが怒るから手短にね~。


で、レンなにが起きたの?」


 サリーは、いきなり豹変するから苦手だ。

 普段は猫を被っているくせに、途端に真面目になるのだ、この人は。


 猫を被っているのが上手すぎて、どっちが本性かわからなくなるのだ。



「まず最初に、なんで俺だってわかったんですか?

見た目だって当時から大きく変わっていると思うのですが……」


『私はおばさんだよ?

魔力の波長も分かるし、顔からしてすぐに分かるわ。

まぁおじさんになっている事にはびっくりしたけど、レンが死ぬとは当時思えなくてね。


というのも、レンは当時から危ない行動を取っていたから、師団コートにみんなで細工する事にしたの。

第4師団のコートは表が黒で裏が白なんだけど、レンのコートは陽に当たると裏が白からほんのうす~いピンクになるの。

だから、これを知っている人に師団のコートを見られるとバレると思うわ」



 全くもって、知らなかった。

 多分、当時師団長だったジルさん、副隊長だった師匠がそう決めたのだろう。


 あの人たちじゃないと、師団メンバーのコートに細工なんて出来ないから。

 だって、あの人たちが師団メンバーのコートに細工されているのに気がつかない訳がない。


 だから、知っていて見逃したか、直接細工をしたか。

 


「あぁ、俺は最初に会った時に怪しんだぞ。

魔力をみんな纏っているが、あんなに均一に纏っているやつはいねぇ。

その時点でこいつ強ぇなって思ったけど、タナちゃんが危ないからスルーしたんだ。

その後、街でぶっ飛ぶことを言われた時には、数少ない人しか知らないことを知ってる人だな。

誰か知り合いか?ってなったぞ。

有名なのは魔法陣が大きい事で、魔法の効果ですごい速さで飛んでいるってのが大衆の認識だ。

それに決定的だったのが、ピンポイントでベヒーモスに攻撃を当てている点だ。

何度も同じ場所に当ててベルフレアを撃たせないように出来る技術があり、あの気持ち悪い程整い過ぎた魔法陣がな……」



 魔法陣は詠唱をしたら勝手に出現をする。

 しかし、それは無意識のため形が歪であり、本来の効果が出せていない。


 だから、俺は詠唱してもしなくても魔法陣の形を整えるようにしている。

 これには、相当な魔力コントロールが必要だし、これが出来れば魔法の積み重ねも出来るのではないだろうか。


 だって、何事も綺麗な方がいいだろ?

 魔法陣も整っている方が見栄えも良く、綺麗なのだ。

 一種の芸術である。


 綺麗な女性と綺麗な魔法陣だったら、甲乙つけがたいレベルでどちらも綺麗なのだ。

読んで下さりありがとうございます。


本日二度目の更新です。

楽しんでいただければ嬉しいです。


※第1話に知人に描いていただいた、ラフ画のような挿絵を挿入しました。

イメージが固まってない人はもし良ければご覧ください!


残りのイラストは設定集を作成してそちらにあげる予定です!

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