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第42話 おっさん拉致される

前話のあらすじ:過去を聞いたが、横顔が綺麗だった


※2018/9/7 改訂

 ライゼン家の過去と状況をタナさんに教えてもらったので、多分今後は大丈夫だろう。

 それに全く関係ないが、夕日に照らされたタナさんの横顔が綺麗で一瞬見惚れてしまっていた。


 なんだろう。

 とても綺麗だった。

 だから、見惚れてしまったのだろう。

 見惚れることなんて滅多にないはずなのに、固まってしまった。


 これは、確かにタナさんが人気の理由も分かる。

 

 さて、それはさておき、本来は帝が亡くなることはない。

 実際のところ、それほど各属性の帝は追随を許さない程まで強い。

 だから、新雷帝として活動していた俺が亡くなったと聞いた時は相当決めるのに荒れただろう。


 集合馬車がやってきたので、500ルト支払って乗り込む。

 

 給与が25000ルトで、食べ歩きで3000ルト使って、今ので500ルトか。

 残りが、21500ルトと言ったところだろう。


 お金がかつかつ過ぎて、他になにかで稼ぐ必要があるだろう。


 しかし、お金がなさ過ぎて本当にこの街を立ち去る可能性が高まってきたのではないだろうか。

 まあ、後悔したくないので過ごしたいように過ごそう。


 その結果、街を離れることになったとして、したいことをしていればまだ納得できる。


 乗合馬車は街を巡回するように走っているため、好きなところから好きなところまで乗る事が出来る。

 馬車に乗ってからは、タナさんと二人席に座って、雑談をして過ごす。


 ああ〜、このような落ち着いた雰囲気好きだな。

 昔は毎日がめまぐるしかったから、落ち着いて一息つくのも悪くない。


 さっきの話があったから、距離感が離れて接しにくいかと思ったが、むしろ縮まり過ぎている気がするくらいだ。

 タナさんから二人席に座らないか聞いてきたのだ。


 仲良くなれたのかな?

 だとしたら嬉しいところだな。


「ねぇ~、セバッターさん野菜炒め得意なの~?」


「得意という訳じゃないんだけど、いつも作っているから慣れたというか……」


「得意じゃないのか〜。

美味しかったから得意なのかと思った~。

もう1つ気になっていたんだけど、昨日ギルドで絶望的な顔をしてたけど、どうかしたの~?」


「あー、なんというかな……。

説明しづらいな……」


「言いたくなければ、大丈夫だよ~。

でも言ってくれれば、なんとか出来るかもしれないよ~」


 うーん。

 タナさんに話すことではないのかもしれない。

 でも、安い賃貸の家を見つけないとこの街にいられないからなぁ……。

 仕方ない事情を軽く説明して、安い賃貸で借りられる物件を知らないか聞いてみるとしよう。


 娘達の学費がたくさんかかっており、給与が無いこと、来月以降は給与が足りない可能性について、まず説明をした。

 そして、賃貸が安い物件がないか、今後給与がどうなるのか聞いてみた。


「……そんな。

じゃあ、見つからなければセバッターさん……いなくなるの……?」


「そうなるかな。俺も出て行きたくないんだけどね。

でも、住む家がなければ、しょうがないと思う。

もう既に仮眠室も一回延長してもらったし」


「じゃあ、お金がないってことは~、まさかご飯もまともに食べてないの~?」


「恥ずかしながら、野菜炒めを食べ続けていました……」


「体に悪いよ!!

だから、野菜炒めがうまくなったと言うことなんだね」

うん、助けて貰ったお礼で私がなんとかする!!」


 なんかタナさんが気合を入れている。

 そんなにしてもらったら悪い気がする。

 

 でも賃貸を見つけてくれるなら、すごく有難いかな。

 タナさんには、この街に来てから迷惑ばかりかけている気がする。


 ついでに、給料は毎月あの金額は貰うことが出来るみたいだ。

 大きく何ヶ月分と言う賞与の形じゃない代わりに、毎月給与には賞与が含まれているらしい。


 あれ?

 じゃあ、今後はずっと25000ルトで生活をしていく必要があると言うことだ。

 なおかつ、家賃や光熱費なども含めて状態でだ……。

 毎月貰えるとわかって嬉しい反面、このままではまずいことがわかって悲しいといったところか。


 でも、正直この1ヶ月は不動産も見て回ったため、賃貸を月に安く借りられるところはもうなかった。


 タナさんは頭を抱えながらブツブツ言っている。

 相当真面目に考えてくれているみたいだ。

 

「ごめんね〜……。

実際にもう不動産をみて回ったなら、方法が全然思い浮かばない……。

ギルドで管理している物件もないし……」


「タナさんの責任じゃないよ。

俺がお金ないことが原因だから、そんなに落ち込まなくてもいいよ。

仮眠室延長聞いてみて、ダメなら王都に戻って次の場所に行けないか聞いてみることにするよ」


「え……? やっぱり、それしかないの……?

なにか別に方法とか……」


「他の場所に行くしかないかなって……。

折角教えて貰ったのに、移動することになったら申し訳ないけど……」


「ううん。教えてことはどうでもいいの。

セバッターさんが他の場所に行っちゃうなんて……」


 やはり、こればっかりは重い雰囲気になってしまった。

 でも、今回第4師団のマントをタナさんに渡したことで正体がバレてもおかしくないと思っていた。


 というか、冒険者として行動出来ればお金は増やせるのではないだろうか。

 それなら、呪いを解く事を真面目に考えた方が良いのかもしれない。

 以前に神様にお願いしたけど、自分で解かないと意味がないと断られてしまっている。

 それ以来、解くことについては何も行動していない。


 正直なところ、呪いを解いたらすぐに正体がバレるような気がしてしまって、なにも出来なかった。


 それに、娘達の事を思えばシルフィード家との繋がりはバレない方がいいと思う。


 でも、よく考えたら師匠が亡くなったこと、正確には愛している人を亡くしたことに向き合う事さえ出来れば、俺個人の問題としては、正体を隠す必要はないのかもしれない……。


 それで、あとは娘達が大きくさえなれば隠す必要はないだろう。

 むしろ、大人になっていればプラスに働く面もあるだろう。


 これから、当時とゆっくりと呪いと向き合うようにしてみるかな。


 ギルド前で馬車を降りると、シードさんとルビーが立っていた。

 なにその待ち伏せ。

 こっちの事を睨んでいるし。

 まるで、獲物を見つけた肉食動物のようだ。


 現職の雷帝と来期の炎帝が立っていたら、周りも近寄りがたいから、スペースが空いている。

 

 関わりたくないと思って、タナさんと降りてギルドに入ろうとしたら、腕を掴まれてしまった。

 しかし、知らぬ存ぜぬを通すつもりで、強引に横を通り過ぎようとしたらバカは離すつもりがないようで動けない。


 おい、掴むなバカ野郎。

 周りに注目されているだろう。


「おー、やっと来たか。結構待ったぜ。

それにしても、タナちゃんとデートとはやるじゃねえか。

この街のアイドルだぜ?」


 おい、面倒なことを言うな。

 周りが騒ついているだろ。


 それに、タナさんもそんなこと言われるのは心外みたいに真っ赤になって俯いてしまっているじゃないか。



「……おい。ルビー。とにかく連れて行くぞ」


「わかったよ。相変わらず、シードは寡黙な癖にせっかちだな」



 と言って、有無を言わさず俺とタナさんを馬車に強引に入れて出発した。


 なにこれ?


 ギルドの前で拉致が発生しているんだけど。

読んで下さりありがとうございます。


本日は2話更新をする予定です。

読んで楽しければ、評価やブックマークしていただけると幸いです。

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