第40話 おっさんお買い物する
前話のあらすじ:出かける約束をする
仮眠室に帰って、今日の出来事を思い出すと、驚くことが多かった。
何より、タナさんとリンさんがライゼン家の者ということがびっくりである。
元々、距離は縮まっていたと思ったが、シードさんの娘と分かってから距離が縮まった気がする。
タナさんの祖父であるジルさんには大いにお世話になったので、今回のことで少しはお返し出来たかなと思う。
というか、多分タナさんは対応が変わらないのだろうけど、俺の気持ちの問題かもな。
俺が死んだ事になったから、怪我をしているのに雷帝についているから、シードさんに対しては後ろめたい気持ちがある。
なにより、ジルさんにはお世話になったから、これからも少しでも恩返しがしたい気持ちだ。
当時だったら自分の事で精一杯だったのに、今では周りを見る余裕が少しは出来て来たかな。
時間の流れが偉大なのか、娘達を持った事による成長なのか。
娘達を拾った時は、助けようとはあまり思っていなかった。
しかし、師匠の仇討ちでボロボロだった俺を使って少しでも師匠が守りたかった物を守れたらと思って娘達を助けた。
当時、娘達は死にかけていて、一時的に俺から輸血を沢山して生きながらえる事が出来た。
だから、拾ったとは言え、血の繋がりは本当はあるのだ。
布団に入ったと思ったら、気がついたら寝ていたみたいだ。
ん〜、よく寝た。
タナさんとギルドで別れてから、仮眠室に帰って直ぐに眠りについていた。
現在の時刻は11時半なのでギリギリだ。
俺からお墓参りに行きたいと言いだして、遅れるわけにはいかないので、集合時間の前に起きれて良かった。
準備を軽く済ませてから、仮眠室を出てギルドに向かう。
15分前くらいに着くだろうが、待つのも一興だろう。
もちろん、朝ご飯は食べる暇はなかった……。
というか、昼ごはんを食べないで集合だから、すぐに食べるだろうから構わないのだ。
待ち合わせ場所のギルドに早めに着いたのだが、既にタナさんが待っていた。
早いな!!
俺でも15分前に着いたのに、タナさんは何分前に着いたのだろうか。
たった、数時間前にあったばかりだが、挨拶をする。
「おはよ!
ごめん、待った?」
「おはよ〜。待ってないよ〜。
ちょっと早く来ちゃっただけ〜」
「なら良かった!
でも、待たせてごめんね。
タナさん、お昼ご飯食べた?」
「もちろん、食べてないよ〜。
食べてから移動しても良いかと思うけど、今回は軽食でも食べながら移動しようかなって思っていたの〜」
「おっけ!
そういえば、聞いていなかったけど、ジルさんのお墓ってどこにあるの?
俺、この街来てから1度もお墓に行ってないからどこにあるかもわからないんだよね。
軽食でも食べながら向かうって結構遠いの?」
「うーん。街の北東地区にあるんだよね。
歩くと結構かかるけど大丈夫?
乗り合い馬車でも使いたい?」
どっちがいいだろうか。
食べ歩きをしながら向かうのであれば、徒歩の方でも平気かな?
「食べ歩きしながら、向かうなら徒歩でも良いと思うし、決まったものを買って食べるのであれば乗り合い馬車でもいいと思う。
俺は今日休みだから特に急がなくて平気だから、時間的には余裕はあるかな」
「わかった〜。
乗り合い馬車ではご飯食べても平気だけど、食べ歩きで行こっか〜。
この街は気をつければ、食べ歩き推奨だから〜」
そう言って、タナさんと食べ歩きをしながらお墓に向かう。
なんか、お墓に向かいながら食べ歩きって不思議な感覚だな。
その後、あれが好きやら、あれは苦手など話しながらお墓に辿り着いた。
というか、お墓以外のお店にも入っていたので、もはやウィンドショッピングのような感じだった。
なんか、周りから見てもデートだと思われるのではないだろうか。
実際、楽しんでいるから周りにデートと言われても否定出来ない部分もある。
ウィンドショッピングを楽しんでいるのに、お墓参りです、と言っても信じては貰えないだろう。
お墓は寂れていることもなく、キチンと清掃も行き届いていた。
日本でのお墓と似ており、石を長方形に切り出し竿石のようにしており、ライゼン家と記載されている。
その横に、墓誌もあり誰がいつ亡くなったか記載されている。
他のものも日本のお墓と似ている。
もしかしたら、これも地球の神さまと仲が良いためなのだろうか。
墓誌の直近の亡くなった方のところにはジル・ライゼンと記載されている。
あれ?
でも普通のお墓過ぎないかな?
というか、良く良く考えたら、ライゼン家も大貴族だから王都にお墓があると思う。
「予想以上に小さな、って顔をしてるよ〜?
これは言っても平気なことなのだけど、ちゃんとしたお墓は王都にあるんだよ〜。
ライゼン家を含めた、7大公爵は王家からの分家だから王都にお墓がないといけないの〜。
でも、それだと遠いからっていう理由で、お墓参り用のお墓を地元に置いているんだよ〜。
他の7大公爵もそうだよ〜」
……なんだと。
王都以外に他にお墓があることなんて知らなかった。
というか、シルフィード家は王都以外に地元があるなんて聞いた事がなかった。
そう。
シルフィード家は7大公爵と言って、貴族の中でもトップクラスで偉いのだ……。
そんな偉さなんか必要ないのに……。
このハイラス王国では貴族は以下のように区分されている。
王族
7大公爵(王族の分家)
伯爵(一般貴族の中で最上級)
侯爵
子爵
男爵
となっている。
シルフィード家やセインの実家のセラフィード家、ロッグウッドのおばさんのとかが7大公爵にあたる。
なぜ、7大公爵かと言うと、7つの属性があり、王国を守るためにそうなったらしい。
以前にも話題になったが、師団も7つあり、これが王家を守るために設立されたらしい。
騎士団などでは国に近すぎるという理由で、遠すぎず、近すぎずの距離感を保つためらしい。
ついでにギルドのトップがハイラス王国が多いことは、他の国々も理解してくれている。
折角の機会なので、7大公爵は以下の家系が引き継いでいる。
炎属性 ・ガルガド家
水属性 ・サファリア家
風属性 ・シルフィード家
土属性 ・ロッグウッド家
雷属性 ・ライゼン家
闇属性 ・ディズ家
光属性 ・セラフィード家
師匠はセラフィード家ということで、光属性が得意だった。
師匠とジルさんと一緒に庭をボロボロにしてまで、魔法を開発したのはいい思い出だ。
メイド達にはこっぴどく怒られたものだ。
でも、貴族だと周りから良い人以外もやってくるのだ。
だからこそ、娘達には俺の実家のことはバレたくない。
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