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第38話 おっさん給与を貰う

前話のあらすじ:騎士団が怪しいことに気がつく

 さて、今回の騎士団が怪しかったことについては、休みの日にセインに連絡をして確かめておこうと思う。

 俺が一人で動いても怪しまれてしまうし、本当にただ早く来た可能性もあるため優先して動くことではないかもしれない。


 夜、21時に起きて野菜炒めを作ってから仮眠室を出る。

 残りの野菜の量が減ってきたな。


 今日は朝からスタンピードが発生したため、一日が長く感じる。

 忘れていたが、今日が給料日のはずだ。

 

 職員として初めて給与を貰うから、すごく楽しみである。

 なにより、野菜炒めばっかり食べていたから、これでやっと違うものを食べることができる。


 晩御飯に使った食器を洗って、食器棚に戻したりなど家事をしていると出勤時間が近づいていたため、準備をして仮眠室を出る。

 勤務先まで近いとギリギリまで準備をすることが出来るから助かる。


 ギルドに着いて受付で働いている人に挨拶をしてから、2階のギルド職員室に向かう。

 

 ギルド職員室では一人に対して一つ机が割り当てられている。

 俺はタナさんに教育をしてもらったこともあり、教育しやすいようにタナさんの左隣を割り当てられている。

 もちろん、当時は周りからの視線は凄く痛かった。


 今回、タナさんを助けたことで視線が和らぐといいなと思う……。


 だって、常に睨んでいている人とかいるんだよ?

 そんなに恨みがあるの?ってくらい不思議な人だ。


 そのため、俺の隣の席はタナさんだ。

 まぁ、その日の状況によって他の人に席を借りたりするため、席はそこまで重要ではないけれども。


 そして、現在タナさんは俺の隣に座っている。

 

 タナさんは基本的に第1シフトか第2シフトのため、夜勤のシフトに入ることは殆どない。

 可愛い女の子が夜勤で働くのは危険だと俺は思っているのだが、価値観の違いなのだろうか。


 それに昼間のことがあったから、結構気まづい。

 

 気を紛らわせることも含めて、給与振込票を確認するかな。

 給料そのものはギルドカードに振り込まれているため、危険性はないが、総支給額がいくらで控除がいくらあり、手取りまで記載されている紙が各机に置いてある。

 給料日になってから、出勤したかどうか一目で判断がつく。

 

 他に誰もギルド職員室にいない。

 スタンピードが発生した日だから、念のため2人は担当者がいると思うけど、人手不足なのかもしれない。


 とりあえず、給料を確認しよう。

 封筒を開けると中に明細が記載された紙が入っていた。


 娘達の学費が結構高いから、そんなに多くはないだろうが、生活くらいは楽になるだろう。


  給与明細

 

   総支給額

    500000ルト(賞与込み)

   控除金額

    450000ルト 王都ギルド宛

     25000ルト 税金 5%

   支給額

    25000ルト


 25000ルトだと……。

 日本円だと25000円だ。


 やばい。


 この額だと家賃も払えないかもしれない。


 やっぱり学費が馬鹿高い。

 普通なら、学費はもっと安いらしいから、俺が身分を明かさないから高いだけだ。


 でも、ギルド職員の給与が500000ルトは確かに高給取りだ。


 ん?

 賞与込みって書いてあるな。


 もしかして、普段はこれより安いとか?

 そしたら、学費も払えないのだけど……。



 どうしよう。


 今、家賃が無料の仮眠室も一回延長してもらえて、本来は1週間のところを1ヶ月借りる事が出来た。

 しかし、今週末が引き払い期限だから、賃貸を探さなくてはいけないのだが、お金が圧倒的に足りない……。


 もちろん、不動産には行ったが空いている賃貸はなかった。


 なにか良い方法……。


 「セバッターさ~ん」


 「うおっ!

 ごめん、考え事してて気づかなかったよ。

 タナさん何でいるの?

 第2シフト?」


 「第2シフトの人達は、今頃は下で受付しているよ。

 私も今日は第3シフトなの。

 明日、明後日と休みだからって。


 色々とあって休んで良いって言われたけど、家で篭っている訳にもいかないなって……」


 そう言って、顔を赤らめて俯いてしまった。

 

 多分、恥ずかしいのだろう。

 俺だって恥ずかしい。


 こんなおっさんとキスしたと思ったら死ぬほど恥ずかしいと思う。


 なんか、ごめん。


 その後、お互いに気まずくて無言のまま仕事を進めた。

 時間が経過して、第2シフトの人が帰宅した事により、受付を担当しに1階に降りていく。

 もちろん、タナさんも担当なのだろう。


 この時間帯は受付の人が少ないため、基本的には総合窓口的な形式を取っている。

 だから、本来なら窓口毎に分かれていれば離れているところが、今はタナさんと隣同士だ。


 今日、あんなことがあったときに一緒のシフトが入っているとかキツイな。


 その後、2時間くらい軽い会話をしながら冒険者の相手をする。


 しかし、0時くらいになるにつれて、冒険者の足が途絶えてきた。

 基本的には冒険者は明るい時間帯に行動をする。


 そのため、夜は人が来るのが珍しいのだ。



 「ねぇ、セバッターさ~ん?

 本当に、今日はありがと~。

 おかげで、お母さんとお父さんを助けることができたの。

 お父さんもこれで働けるって~」


 「それは、良かった。

 ちゃんとエリクサーが成功していたみたいで安心した」


 「うん~。

 残りのエリクサーは10本残して、王都のギルドに渡したからほとんど残っていないの。

 でも、エリクサーを狙ってる人が沢山集まるかもしれないから~、セバッターさんも気をつけて~。

 なんでも、勇者パーティも欲しいらしいの~」


 「勇者パーティなら国から貰えるだろう。

 ん……、勇者パーティ?

 勇者……?

 もう、勇者がいるの?」


 「なんでも、2、3年前に秘密裏に召喚していたみたい。

 英雄じゃなくて、勇者だから育てるのに時間がかかるとかなんとか」


 そう。

 この世界には異世界人は本来いない。

 しかし、勇者召喚だけは特例中の特例で許される事もある。

 これは、神々が審判して決定をしている。


 また、勇者とは民からそう思われるのではなく、召喚された瞬間から勇者である。

 召喚された事により、普通の人より強い可能性が高いためである。


 英雄とは、民からそう思われる事によって呼ばれるものだ。

 例えば、師匠も英雄扱いされている。


 「そうか……。

 いつの間にか召喚されていたのか。

 でも、勇者パーティがエリクサーを欲しがるとはよっぽどの事があったんだな」


 「そうらしいの~。

 お父さん曰く、勇者パーティは一回壊滅しかけて、僧侶がどうもエリクサーが必要か休養が必要になってしまったらしいの~。

 でも、正確性はわからないけどね」


 「そうか。

 それは、勇者達も大変だろう」


 「みたいなの~。

 お父さんがセバッターさんにもお礼を言いたいって~」


 お礼?


 それは金銭的に助かるかもしれないが、勇者についてなど細かい情報を知っているから、多分この国の上の人達なのだろう。


 なら、断らないと危険だ。


 まず、タナさんのお父さんとは誰なのだろう。

読んで下さりありがとうございます。


あと数話で第3章に入る予定です。

ちょっと第3章まではゆったりとした話が続く予定です。


第3章は探偵系、第4章は温泉の予定です。

これからも宜しくお願いいたします。

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