第33話 おっさん潜り続ける
前話のあらすじ:薬を飲ませてもらう
さて、気合を入れてエリクサーの素材を取りに行こう。
ベヒーモスには本当に会いたくないな。
ほとんど荷物は開いていないが、荷物をまとめて、土魔法を発動して地上に出る。
『我、土を動かすことを望む。土魔法、アースクリエイト!』
無詠唱も得意だが、詠唱した方がより安定している。
魔法陣は念の為極小サイズにしている。
その方が、魔力感知がされづらいため、ベヒーモスにバレづらいだろう。
魔法陣のことを理解していれば、魔法を発動する際の魔法陣の大きさなども変更する事ができる。
魔法陣は大きい方が物理干渉が強く、小さい方が物理干渉が弱い。
地上に出て、タナさんと直ぐに木の木陰に隠れる。
周りを見渡すと、森がボロボロになっており、やはりベヒーモスはここに来て暴れたみたいだな。
しかし、俺たちが転移したと思ったようだ。
死体はほとんど触れていないため、ベヒーモスに対して死んだふりをしても意味がなさそうだ。
生きているのか、死んでいるのか分かるようだ。
野生の勘というやつだろうか。
ベヒーモスがどこにいるのか索敵しないと危ないな。
索敵魔法を発源地を横に10キロ変えてから、索敵魔法を発動する。
これは、魔法をどこで発動したか他人や魔物に場所を特定されないためだ。
魔力コントロールが慣れて来ると発源地を変更して魔法を使う事ができる。
ついでに、他の魔法でも同じ事が出来るため、悪用すると対処が大変だったりする。
逆に魔力コントロールが慣れていると、発源地を変更されても元を辿る事が出来るので、場所がわかってしまう。
でも、ベヒーモスはそこまで細かくは気にしないで行動をするはずだ。
一般的に生きているだけなら、ベヒーモスよりも強い魔物は滅多にいないため、油断をしている部分があるはずだ。
発源地を中心に魔法陣が広がり、一瞬で魔法陣が薄く広がった。
キールの街まで届いたところで魔法を止める。
一旦、細かい情報を掴む事ができた。
ベヒーモスは、スタンピードの発生地点にいたみたいだ。
やはり、魔物は魔力が濃い場所を好んでいるみたいだ。
そのため、この世界では魔力が濃いところほど、強い魔物達が生息をしている。
でも、ベヒーモスは魔法が発動されたことを感知して、発源地の10キロ先まで走っている。
速度からして、時速、150キロくらいかな?
片道4分として、往復8分だ。
急がないと間に合わない。
身体強化をして、スタンピードの発生地点に向かう。
道中に出た敵は基本的に無視して、どうしても倒さないといけない敵だけ、瞬時に斬り伏せて進む。
タナさんを背負ってるから戦いづらいのだ。
山道は俺は慣れているから速度が出るが、苦手な人は速度がゆっくりになってしまう。
今は1秒が惜しいから急がないといけない。
ついでに背中に柔らい感覚があるが、もちろん堪能する暇なんてない。
悲しい現実だ……。
っ!
タナさんが驚くような、息を飲む声が聞こえる。
ベヒーモスが来たか?
いや、まだだ。
しかし、ベヒーモスは動きが想定よりも早いな。
もう、向こうに着いたようで、こっちに戻ってきている。
「タナさん、俺が魔法障壁を張るからその間に取れるだけ必要な物を取ってくれ!
時間にして、約30秒!!」
「わかったの!!」
スタンピークの発生地点に着いた瞬間に、留まっていた魔物を瞬時に倒して、タナさんがすぐに採取に取り掛かる。
ベヒーモスがもう近くまで来ている!!
くそ!!
近づかれたら負けだ!!
ベヒーモスの一撃でお陀仏になってしまう。
なら、手っ取り早く逃げるには、ここに来させないのがベストだと思う!
『我、土を動かすことを望む。土魔法、アースクリエイト!!』
ベヒーモスの進路上に土を分厚く何枚も壁を作り上げる。
それだけじゃ、足りないな。
土魔法の壁に合わせる形で魔法障壁をたくさん貼り続ける。
進むためには魔法障壁と土魔法の壁を破らないといけないため、進みにくいだろう。
それが狙いだ。
時間稼ぎだが、30秒程度なら保つだろう。
これも魔力コントロールの賜物である。
1メートル感覚で、魔法障壁と土魔法で壁を貼り続ける。
念の為、武器は欲しいため、大剣は地面に刺していつでも使えるようにしている。
右手は呪いのため、左手がメインで魔法を放つ。
右手は補助的に魔法を使用しており、そのくらいなら使う事ができる。
左手で魔法障壁を貼る速度が約1秒に5枚。
右手は約1秒に2枚。
土属性の壁は両手で1秒あたりに3枚である。
合計1秒あたりに7枚の魔法障壁と3枚の壁を設置する。
合計10枚ずつ設置が出来ている。
ここから、ベヒーモスまで1キロだから、1000枚程度を設置している訳だ。
普通なら破りづらい魔法障壁もベヒーモスの一振りで紙のように破れて行く。
「取り終わった!!」
タナさんの声が聞こえる。
やっと終わったか!!
ベヒーモスは本当に目と鼻の先だ。
「逃げるぞ!!」
詠唱する時間も惜しいため、無詠唱で土魔法を発動する。
その瞬間、ベヒーモスが間に合わない事を察してかベルフレアを放とうとしている。
タナさんが走り寄って来るが、数秒間に合わない。
くそ!
師団マントに仕込んである魔術を遠隔で発動する。
球体型の魔法障壁が発動する。
次の瞬間、ベルフレアがやってきた。
タナさんがベルフレアに当たって飛んでくる。
俺は、自分に魔法障壁をかけながら、タナさんを受け止めて、地面に潜っていく。
地面が抉れているのが、わかる。
ここからは第2ラウンドの時間勝負だ。
タナさんを背負い直して、走りながら前の地面を土魔法で無くして走る。
そのまま、自分が通ってきた道を埋めていく。
グア!!
ガッガッ!!
ドバー!!
ほんの数メートル上をベルフレアで抉られたみたいだ。
もう、左手だけじゃ間に合わない。
右手も使いながら土属性を発動する。
その後、ギリギリの所を何度も過ごしながら5分が経過した。
ベヒーモスはベルフレアを撃つのにクールタイムがあるから本来ならそんなに連続で撃てないはずだ。
なぜ、そこまで執拗に連続して撃って来たのだろうか。
もう5分が経過した頃には、結構下にも潜ったし、横にも移動した。
っ!!
まだ足りないのか!
身体強化を急いでかけ直して、横に全力で移動していく。
特大級のベルフレアが10メートルくらい横に落ちてきた。
危なかった……。
あと少しで、燃やされるところだった。
みなさま読んで下さりありがとうございます。
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読んでくださっている方がいると思えると筆が進みます!
今度とも宜しくお願いいたします。
今日は2話投稿の予定です。




