第32話 おっさん薬を飲ませてもらう
前話のあらすじ:エリクサーについて確認した
さて、覚悟は決めたが実際タナさんが調合している時に、どうやって調合させ続けるのかが課題だな。
もちろん、タナさんの言葉を信じて、一人で作成ができるのであれば何もする必要はない。
でも、そんな片方だけに負担をかけるのではなく、俺にも何かできる事があるはずだ。
何かないか。
調合を止めないで続ける方法。
「まさか、あんなに学会で議論しているエリクサーの作り方がこんなに簡単に分かるとは思っていなかったの。
もちろん、グランスタンピードの時しかグラン草が発現しないらしいから、素材難易度も調合難易度は高いけど、作成できることを知ったら、そのくらいは我慢できるの」
「本当に大丈夫?
俺も詳しくはわからないけど、媚薬の効果ってすごく強いって聞いた事がある。
今回はグラン草の影響でそれがすごく強いんでしょ?
途中で止めるわけにもいかないから、その状態で調合を続けないといけないみたいだけど……』
「媚薬なんて使ったこともないからわからないけど……。
でもするしかないの。
私がしないといけないの」
「わかった。
俺も使ったことないから詳しい事はわからないけど、出来る限り最大限の協力はする」
「あれ?
セバッターさん、使ったこと無いんだ。
その歳だから使ったことあると思ってたの」
「機会がなくてね……」
その後、少しタナさんとお喋りをしながら、一旦仮眠を取ることにした。
この状況下だからか、タナさんの喋り方違うのは変わったってところかな?
それに、魔法を使えないのに無理やり使ったから体がボロボロだ。
多分気を抜いたら動けなくなりそうだ……。
でも、ちょっと限界かも……。
それに、この歳なのに使ったことがないことについてイジられたけど、使ったことない人だって沢山いるはずだ!
なんてたわいもない話を少しした。
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「セバッターさん、起きて~」
ん?
喋り方が戻ってるな。
さて、起きるか……。
…。
……。
ん?
体が動かないぞ。
どういう事だ?
「セバッターさん、いい加減起きないと、間に合わなくなっちゃうよ~」
「ちょっと、待って。
体が動かないんだ……。
無理やり起こしてくれない?」
「ええ~?
動いたから筋肉痛なの〜?
って、セバッターさん右肩が凄く腫れてるよ……?」
腫れてるのか。
無理やり魔法を連続で使った代償かな?
痛み止めと麻酔を使わないといけないみたいだ。
自分で飲めないから、悲しいが飲ませて貰おう。
「タナさん。
ごめん、ポーチから薬を取ってくれない?
常備薬で飲まなかったから、動けないんだ」
もちろん、常備薬というのは嘘である。
本当は、緊急用に入れていた痛み止めと、魔力放出機関の麻酔だ。
だから、飲めば一時的に動けるはずである。
「あ、そうなの~?
セバッターさん、その歳から常備薬飲んでばっかりなのは大変だね~」
そう言って、飲ませて貰い、10分後くらいから体が動き始めた。
飲ませてもらうのは気恥ずかしい。
この後、エリクサ草を取りに行くまでに、ベヒーモスに遭遇しなければいいが、絶対魔法をまだ使う機会はあるだろう。
ここから、地上に出るまでに土魔法を使って、ここに戻って来るときにまた使うはずだ。
それ以外に、遭遇したら戦う必要が出てくる。
また、俺がこの症状で伏してしまったら、この穴から出ることが出来ずに生き埋めになってしまう。
気合を入れるか。
というか、やっぱり他の人に何かを飲ませて貰うのは変な感じがする。
気恥ずかしいと言うかなんと言うか……。
お母さんに風邪薬を飲ませてもらうみたいな。
「ごめん、ごめん。
もう大丈夫だから。
さて、ベヒーモスに合わないよう注意しながら、エリクサ草とグラン草、ダマスカス草を取りに行こうか。
とりあえず、このチャンスは逃さないなら行くしかない!」
少し経って、ようやく体が動き出した。
筋肉痛とは違う感じがするんだよな。
最終調整として、念入りにタナさんと打ち合わせをする。
ベヒーモスに次に遭遇したら、多分どうしようもない。
師団マントならダメージを緩和してくれるだろうけど、多分ベヒーモスの神級魔法であるベルフレアのダメージは防ぎきれないだろう。
師団マントぐらいなら誤魔化しが効くため、そのまま着てもらうことにした。
ベヒーモスに遭遇したら、その場で地下に潜るしかない。
確かベヒーモスは土属性を持っていないため、地下にいる敵を倒すには地面を抉るしか無いはずだ。
その僅かな時間が命運を分けると思っている。
潜りながら他の場所に移動すれば、魔法の影響範囲から逃れらるかもしれない。
そのまま、同じ場所にいたら地面ごと抉られるだろうが、他の場所にいれば平気だからね。
取り出した、大剣を左手に持つ。
タナさんには悪いが、背負うことにする。
足は悪いが、隠密行動をする上で慣れていない人と行動は危険だから。
そのまま置いておく訳にもいかないからね。
タナさんがどの程度動けるのか、どの程度隠密行動出来るか確実な指標がなかったため、このようにさせてもらった。
それに、ベヒーモスの咆哮を喰らった時にギルドマスターであるリンさんのように気絶するかもしれないからね。
さて、準備は出来た。
行くか!!
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