第10話 おっさん娘の話を聞く ※改訂済
前話のあらすじ:娘達に再会をした
※2018/9/1 改訂
さて、魔法と聞くと転移魔法をイメージするのではないだろうか?
確かに、この世界にも転移魔法は存在する。
転移魔法には2種類あり、遠距離の転移魔法と、近距離の転移魔法がある。
転移魔法は、すごく便利で人の移動や荷物の受け渡しなども出来るため、ギルドで主に使われている。
むしろ、転移魔法のおかげで地球よりも移動速度は速い。
転移魔法が使えればの話だけど……。
実は転移魔法は、片方の転移の魔術陣から、あらかじめ設定されたペアとなっているもう片方の転移の魔術陣に転移するといった、遠距離転移魔法が実用化されている。
近距離転移魔法は難易度が高すぎることと、適正がないと使えないことから世界に数名しか使える人がいないだろう。
俺はたまたま転移魔法の適正があったことにより、近距離転移魔法を使用することが出来る。
多分使えるのは、生前に転生というか転移でこの世界にやってきたからかな?と勝手に思っている。
というか、神様に確認を取ったところ、合っているそうだ。
なかなか、転生の恩恵は受けたかなと思う。
遠距離転移魔法は、魔法というよりも魔術に近いのだが、この話は長くなってしまうので、またの機会にしようと思う。
転移魔法はすごく便利で楽なのだが、魔力が凄い量必要である、セキュリティー上の問題から一般人が使うことは基本的に出来ない。
だから、なんだかんだ恩恵を受けることは出来ないのだ。
もし、何か良い方法があったら一儲け出来そうだと思うんだけどね。
それに、連絡も手紙が基本のため、連絡は時間がかかる。
定期的にギルド同士で転移で荷物の受け渡しをしているため、そこまで遅くはないが日本人の感覚だと携帯電話などがあったため、すぐに連絡が取れないことは不便である。
当時、娘達が学園に通うために王都に来た時は、一つ前の街まで歩いて来たわけだ。
だから、その時に俺もそこまでは一緒に来ている。
転移魔法について長くなってしまったが、娘達に学園対抗試合について詳しい話を聞いた。
学園対抗試合に出るには、学園の代表になる必要があり将来がかかっているとかで、熾烈な戦いらしい。
俺が育て始めてから5年間くらい鍛えていたから、3人ともそこそこ強いはずだ。
と、その後少しルナとユリに学園対抗試合について聞いていると、ユイから絶叫のような大きな声が上がった。
「なんで!
なんで聞かないの?」
「っ!?
……そうだなぁ。
来るまではみんな変わってしまったかと思ったけど、眼を見れば分かるよ。
なにか手違いというか、間違いがあって後悔しているんだなって。
だから、本人から言い出すまでは、こちらからは聞かないで良いかなってね。
もちろん、何事もなければベストだったけど、世の中なにが起きるかわからないからね。
三人とも無事でいてくれただけで、お父さんは満足だよ」
来た時から、ユイの眼が後悔を物語っていた。
なら、父親としては無理やり聞かせるより言い出すのを待つのがベストだと思ったのだ。
だってさ、叱られたいのかっていう雰囲気を出しているんだもん。
別にお金くらいで怒りたくないって!
……働きたくないけどね。
「だって、私のせいでお金がなくなったんだよ…。
そのせいで、お父さんが働くことになっちゃったし。
いっそのこと、怒ってくれるか、学園をやめろとか言われれば良いのに……。
何も言わないなんて……」
「いや、うちの娘が悪さはしないと思っているからさ。
とりあえず、事情だけでも話してごらん?
結果的に、ルナやユリにも迷惑かけちゃうわけだし。
お父さんのことは大丈夫だから、安心していいよ?
多分……」
「多分って情けない」
横からルナの鋭い指摘があったけど、スルーすることにした。
だって、ギルド職員とか大変そうだから俺に務まるかわからないじゃん。
と言うことで、ゆっくりユイが話し始めたので、その後に長い時間をかけてユイから話を聞き出すことが出来た。
まず簡潔にまとめると、槍の技術が伸び悩みどうすればいいかわからなくなり、槍の技術を学ぶために本を探し始めたらしい。
しかし、俺から学んだ槍の流派がなぜか本にも乗っておらず、教えてもらった流派は、個人流派であり珍しいことがわかったらしい。
また、護身用で教えた短剣の流派が貴族で使われていることに気が付いたそうだ。
そして、俺の正体が気になってしまい調べて行くうちに、そこから自分の劣等感が強くなってしまったとのこと。
時間が経つにつれ、ルナやユリはどんどん伸びていき、自分の停滞さに嫌気がさし、街をぶらつくようになったらしい。
その後、ぶらついていたところに学園の先輩に会ったそうだ。
その先輩から、自分のギルドカード払いで、自分が使っている流派について教えてあげると言ってきたらしい。
自分のギルドカードに入っているお金ならいいと思って払ったところ、後日とんでもない金額が引かれていたことに気が付いたらしい。
なんでそんなに入っていないのに、多額な金額が引かれたのか気になってギルドに確認したところ、俺のギルドカードから娘達のギルドカードにお金が入るようになっていたため、俺の口座から全額引かれたというわけらしい。
「お父さん、なんで口座に20億ルトも入っていたの?」
当然、疑問に思ったことをルナから問いかけられる。
「その話は後でね」
うーん。
難しい。
非常に難しい……。
俺の正体は、いずれはバレるかもしれないが、まだ早すぎる。
せめて、学園を卒業して大人として行動できるようになってからじゃないと、危険だ。
当時の俺の名前や実績につられてやって来る人が多そうだ。
その中には当然良い人だけだはなく、悪い人も入っているだろう。
娘達を守るためには、まだバレない方がいい。
どこから噂が漏れるかはわからないから、伝えるのもありだけど、その分危険が伴ってしまう。
実は、この世界は名前を変えてしまうと、色々と厄介なことがある。
そのため、名前は変えず苗字だけを変えて生活をしてきた。
この苗字を変更することさえ、結構ギリギリだし、実家にバレたら元の苗字に戻る可能性がある。
それほど、名前と家名(苗字)というのは、大切な物だ。
今、俺はレン・シルフィードという名前から、レン・セバッターという名前になっている。
ただ、名前を呼ばれると当時の知り合いが勘付く可能性もあるため、セバッターとしか名乗っていない。
この子たちも、現在の名前は
ルナ・セバッター
ユイ・セバッター
ユリ・セバッター
となっている。
でも、俺がシルフィードになったら、娘達も養子として育てているため、シルフィードになると思う。
そうなったら、貴族の仲間入りのため、周りから言い寄られることもあるだろう。
ルルド村では、俺がセバッターと呼ばれていたため、娘達のことは各々の名前を呼んでいてもらった。
でもやっぱり、お父さんのことは気になるよね。
なにかあった時に、身元を聞かれても答えられないし、自分の家の事だもん。
フォーカスを絞って、狭い範囲で説明をしようかな。
とりあえず、ユイにその後の詳細を聞いているとどうやら劣等感は学園を過ごしているときに、姉妹通しの実力の差を回りの人に言われてから気にするようになったらしい。
どうしよう。
うちの娘を煽るようなことをしたやつは、ぶん殴ってやりたい。
うちの大切な娘を……。
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