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青春ってなに?  作者: 細谷 タツヤ
一学期!
9/17

神スタイル

 最近俺は、学校生活の中でも、授業という時間が一番長い。

 しかし、その長さを耐える方法を俺は見つけ出した。

 その方法を1時間目から6時間目まで、今からあらゆる手段で絶えていこうと思う。

 

 一時間目。

 国語だ。

 正直言って、国語は漢字を覚えさえすれば良い教科だと思うのは俺だけ?

 そのためクラスの大半は、寝ている。

 しかし!寝方がみんな素人だ。

 俺の寝方はまさにプロフェッショナルだ。

 まず両手の指全部を、指と指の間に入れる。

 いわゆる、人が祈るときの手をする。

 次に、親指だけを離し、エヴァンゲリオンのゲンドウが座っている時の手にする。

 そして、手を額に当て、目隠す。

 これぞ完璧。

 先生が近づいてきたら、目を手の上にヒョコッと出すだけで、「私考えてますよー」感を出せば、先生も手出し無用。 

 そしてこの一時間目は乗り越えられる。


 次に二時間目。

 こんどは、社会!

 板書が一番多い授業だから寝にくい...。

 しかしこれも攻略方法がある。

 ノートの近くに、落書きするのがいいだろう。

 絵が下手だから無理?落書きというのは絵がすべてではないだろうが!

 たとえば、自分の好きなシナリオを書くとか、新しい漢字生みだしたりとか、家に帰った時のスケジュールとか、いろいろやるんだ。

 これがもうたまらん。自分だけの世界に入れる。

 

 次に三時間目。

 くっ...話聞いてなくて、先生に当てられたらほぼ終わりな、数学だと...。

 だが俺はやってやるぞ!

 今回の授業は、プリント授業だった。

 これは...。落書きで!

 しかし、数学は最初に言った通り、話を聞かないと、詰む授業だから、話を聞かず自分の世界に入る落書きはだめだ。

 くっ...。さすが数学.....手ごわい。

 だが、攻略法はまだある。 

 こうなったら...。

 「先生、お腹が痛いのでちょっとトイレに行ってきていいですか?」

 俺は右手でお腹を押さえ、左手で手を上げ先生に言ってみた。

 そう、数学の先生は他の先生にはない、トイレに行かしてもらえるやさしさがある。

 俺はそこを衝いた。

 これであとはトイレでぼーっとしてるだけでいいのだから、とても楽だ。

 数学、攻略。


 そして昼食の前だから、ついつい時間を気にしてしまう4時間目。

 そして教科は英語。

 しかも英語の先生は、この前教師になったばっかりなため、あまり授業のやり方に慣れていない。

 そのためなぜか、(とりあえず、注意してたらそれなりに教師っぽくはなるだろう)と思考になるらしく、なにに対しても注意する。

 そしてなにより、英語には発音の練習がある。

 そのため口を動かさないといけない。

 さあ、どうしたものか。

 トイレ戦法も通用しないだろうし...。

 もうこれしかないか。 

 秘儀!本読み!

 教科書の間にライトノベルを挟み、声は出さずにライトノベルを音読する。

 しかも好都合に、俺の席は教室の一番左端だ。

 完璧だぜ。


 この学校の昼休みは20分ある。

 10分は本読み。10分は友達と喋る。

 そんないつも通りの昼休みを暮らし、5時間目の理科に入っていく。

 理科の先生は老人で、おまけに教卓から一切離れず、ずっと説明しているから思い切り寝るやつも少なくは無い。

 しかしこの理科の先生。あまく見てはいけない。

 この先生、教師歴が長い分どんな寝方もお見通し。

 すぐに成績に反映してくる。

 けどこの先生の攻略方法はそこまで難しいものではない。

 この先生は基本的プリント授業だから、先に教科書でプリントを終わらせればいいのだ。

 それであえてプリントを見せるように置くと、寝ててもなにも起こらないのだ。

 これは俺だけが知ってる技だから、他の奴らは今頃成績が落ちて落ち込んでんだぜきっと。

 

 そして最後の六時間目。

 教科は美術。

 くそだるい作業なんかやってられるか!

 ということで秘儀!早退!

 「先生、頭と鼻が痛いので保健室行ってきてもいいですか?」

 そう、早退は時間が経つにつれて帰れる率が高くなるのだ。

 そして、先生の許可を得て保健室に行き、早退する。

 これぞ完璧なる、俺の神スタイル!

 しかし、このスタイルは誰にも公開できない。

 なぜなら、「そんなことするからテストの成績良くならないんだよ」と言われたら立ち直れないからだ。

 そう考えると、俺は小さい男かもしれんな。

 実に悲しい。

 まあいいさ。マイナス思考は俺には似合わん。

 

 だってこれが、俺のスタイルだから。


 そう心の中で語っていると、隣から薪名が話かけてきた。

 「これ、あなたのノート?なかにすごい落書きがあるけど...」

 あ...社会のノートだそれ....。


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