神スタイル
最近俺は、学校生活の中でも、授業という時間が一番長い。
しかし、その長さを耐える方法を俺は見つけ出した。
その方法を1時間目から6時間目まで、今からあらゆる手段で絶えていこうと思う。
一時間目。
国語だ。
正直言って、国語は漢字を覚えさえすれば良い教科だと思うのは俺だけ?
そのためクラスの大半は、寝ている。
しかし!寝方がみんな素人だ。
俺の寝方はまさにプロフェッショナルだ。
まず両手の指全部を、指と指の間に入れる。
いわゆる、人が祈るときの手をする。
次に、親指だけを離し、エヴァンゲリオンのゲンドウが座っている時の手にする。
そして、手を額に当て、目隠す。
これぞ完璧。
先生が近づいてきたら、目を手の上にヒョコッと出すだけで、「私考えてますよー」感を出せば、先生も手出し無用。
そしてこの一時間目は乗り越えられる。
次に二時間目。
こんどは、社会!
板書が一番多い授業だから寝にくい...。
しかしこれも攻略方法がある。
ノートの近くに、落書きするのがいいだろう。
絵が下手だから無理?落書きというのは絵がすべてではないだろうが!
たとえば、自分の好きなシナリオを書くとか、新しい漢字生みだしたりとか、家に帰った時のスケジュールとか、いろいろやるんだ。
これがもうたまらん。自分だけの世界に入れる。
次に三時間目。
くっ...話聞いてなくて、先生に当てられたらほぼ終わりな、数学だと...。
だが俺はやってやるぞ!
今回の授業は、プリント授業だった。
これは...。落書きで!
しかし、数学は最初に言った通り、話を聞かないと、詰む授業だから、話を聞かず自分の世界に入る落書きはだめだ。
くっ...。さすが数学.....手ごわい。
だが、攻略法はまだある。
こうなったら...。
「先生、お腹が痛いのでちょっとトイレに行ってきていいですか?」
俺は右手でお腹を押さえ、左手で手を上げ先生に言ってみた。
そう、数学の先生は他の先生にはない、トイレに行かしてもらえるやさしさがある。
俺はそこを衝いた。
これであとはトイレでぼーっとしてるだけでいいのだから、とても楽だ。
数学、攻略。
そして昼食の前だから、ついつい時間を気にしてしまう4時間目。
そして教科は英語。
しかも英語の先生は、この前教師になったばっかりなため、あまり授業のやり方に慣れていない。
そのためなぜか、(とりあえず、注意してたらそれなりに教師っぽくはなるだろう)と思考になるらしく、なにに対しても注意する。
そしてなにより、英語には発音の練習がある。
そのため口を動かさないといけない。
さあ、どうしたものか。
トイレ戦法も通用しないだろうし...。
もうこれしかないか。
秘儀!本読み!
教科書の間にライトノベルを挟み、声は出さずにライトノベルを音読する。
しかも好都合に、俺の席は教室の一番左端だ。
完璧だぜ。
この学校の昼休みは20分ある。
10分は本読み。10分は友達と喋る。
そんないつも通りの昼休みを暮らし、5時間目の理科に入っていく。
理科の先生は老人で、おまけに教卓から一切離れず、ずっと説明しているから思い切り寝るやつも少なくは無い。
しかしこの理科の先生。あまく見てはいけない。
この先生、教師歴が長い分どんな寝方もお見通し。
すぐに成績に反映してくる。
けどこの先生の攻略方法はそこまで難しいものではない。
この先生は基本的プリント授業だから、先に教科書でプリントを終わらせればいいのだ。
それであえてプリントを見せるように置くと、寝ててもなにも起こらないのだ。
これは俺だけが知ってる技だから、他の奴らは今頃成績が落ちて落ち込んでんだぜきっと。
そして最後の六時間目。
教科は美術。
くそだるい作業なんかやってられるか!
ということで秘儀!早退!
「先生、頭と鼻が痛いので保健室行ってきてもいいですか?」
そう、早退は時間が経つにつれて帰れる率が高くなるのだ。
そして、先生の許可を得て保健室に行き、早退する。
これぞ完璧なる、俺の神スタイル!
しかし、このスタイルは誰にも公開できない。
なぜなら、「そんなことするからテストの成績良くならないんだよ」と言われたら立ち直れないからだ。
そう考えると、俺は小さい男かもしれんな。
実に悲しい。
まあいいさ。マイナス思考は俺には似合わん。
だってこれが、俺のスタイルだから。
そう心の中で語っていると、隣から薪名が話かけてきた。
「これ、あなたのノート?なかにすごい落書きがあるけど...」
あ...社会のノートだそれ....。