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青春ってなに?  作者: 細谷 タツヤ
一学期!
5/17

稲崎とのデート!?前編

 中間テストも終わり、5月の下旬。

 5月病どころか、6月病もまっている状況で、(5月病にも負けず、気合を入れて学校生活を送りましょう)とか言ってる先生のことを、正直頭大丈夫?って思ってしまう。

 ああ、休みの無い6月を5月の状態で、疲れている俺はどう気合を入れろと?

 もう、やだ...。

 俺はもう絶望に落ちているため、希望に満ちた顔なんてできるわけがないと思った。

 

 ふとカレンダーを見た。

 すると俺は最後の希望を見つけた。

 そう、高校は中学や小学校と違い、体育際が5月、あるいは6月にある。

 「代休だ...代休しかない!」

 そう思った俺は、土曜日にある体育際のことを聞こうと委員長である、哀歌に聞いてみた。

 「なあ哀歌。来月にある体育際は、土曜日にあるけど、代休はあるのか?」

 「ん~私には分からないわ。体育委員の菅野ちゃんにでも聞いてみたら?」

 まじか...俺、あいつと話すのめんどくさいんだよなあ...。

 「ああ、分かった、すまないな」

 俺はそう言い、自分の席に行った。

 

 稲崎と話すのはめんどくさいから、稲崎と仲が良い薪名に聞いてみようか。

 そう思い、薪名のほうを向き、聞いてみた。

 「なあ薪名、お前土曜日に体育際があるけど、代休あるのかが知らないか?」

 「んん、私にはそれは分からないわ。ごめんね」

 ですよね~。

 仕方が無い、もう稲崎のところに行くしかないのか...。

 はあ~、またいじられる気がする。

 

 俺は廊下に出て、稲崎が居そうなところに行ってみた。

 昼休みだから、多分委員の仕事でどうせ体育館倉庫にいるのかな?

 そう思い、体育館倉庫に行ってみた。

 

 予想通り、そこには稲崎の姿が見えた。

 「おーい、稲崎」

 「あれ?勝生じゃん。どうしたの?」

 「体育際の分の代休ってあるの?」

 俺はこんなことのために、大事な昼休みの時間を削ってる。

 アホなのか?俺?

 あ、アホか。

 「代休?ないよ、そんなの」

 「えっ?」

 俺は絶望と衝撃の真実のあまり、思わず声が出てしまった。

 

 5秒ほど沈黙が続いた。

 「あれ~?どうしたの?」

 「まじか...もう6月しんどいだけじゃねーか」

 「あはは、確かに6月は休み無いしね、まあがんばるしかないよ」

 ああ、分かった。こいつ俺の敵だ。

 熱血系のやつは本当に嫌いだ。

 

 「ていうか、今日は薪名と一緒じゃないんだ」

 「お前なあ...俺と薪名でハッピーセットみたいに思ってるだろ?」

 「いやいや、二人合わせて本と本のカバーみたいには思ってるだけだよ~」

 どっちも一緒だろうがこのやろう。

 「そうだ!今日の放課後空いてる?」

 「ああ、一応空いてるが?」

 なんか嫌な予感がした。

 「本当?じゃー私とデートしない?」


 「ああ、べつ...はあ?!」

 俺はあまりにもの衝撃的な言葉に、口が閉じられなかった。

 「デデデデデデデート?!」

 「なにそんなテンパってんの?付き合ってって言う意味だよ?」

 「お前こそなぜそんな平然とそんな言葉を言える?」

 「ええー?!別に男女が二人で出かけてもおかしな話ではないでしょ?」

 そりゃそうだけどな...ってそういう事か、なんだ、慌てた分損した。

 こいつこういう冗談言うタイプか...。

 俺は1年の頃、だいたい自分の席で、人間観察をしている。けして1年の頃に友達がいないってわけではなかったんだけど、まあ日々観察していた。

 だからだいだいの生徒の性格は分かっていたが...こいつは観察の範囲を抜けてくる...。

 研究で、絶対安全だと思っていた研究が実はとても危険な研究とも知らずに、研究を成功した、みたいに危険な橋を渡っていたのか。

 俺もまだまだだな。


 そんなことはどうでも良い。

 問題は、なにをしにいくのかだ。

 「それで、なにしにいくんだ?」

 「んーデート?」

 「それは分かってんだ!そのデートの内容だよ!」

 やべぇ、大声でデートとか言ってしまった。

 「し!声がでかいよ!」

 なんだよ、自分からデートとかいう冗談挟んでるのに、恥ずかしいのかよ。

 

 まあいい。よくはないが、もういいや。

 「とりあえず、今日学校終わったら正門まで来て。いいわね?」

 「お、おう」

 なんか気持ち悪い声が出てしまった。

 でも、これ学校の奴に見られたら詰むんじゃね?

 まあ、そうそうないだろうが...。

 

 放課後。

 俺は、稲崎の言う通りに、正門まで来た。

 「お、きたわね、じゃ、行くわよ」

 「けど行き先あんのか?」

 そう、デートとか言ってる割には行き先がまだ決まっていないことを、俺は察していた。

 「い、行き先?そんなの歩いてみなきゃわからないでしょ?」

 「お前、まさか...」

 「行き先どころか、場所も地名もしらないんじゃ....」

 俺が、その言葉を話した瞬間に、5秒くらい沈黙が続いた。 

 「ちちちちちちがうわよ!べつにしらないわけじゃないの!」

 稲崎は強く反論するが、まったく説得力がない。

 

 俺は小さなため息をつき、スマホのマップで場所を探すことにした。

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