部活動をしてみよう!
うむむ...。
俺は今高校2年生だが...、最近になって部活動に興味を持ち始めた。
今頃部活をやるなんて、普通じゃまあしないだろう。
しかも俺は矛盾していることがひとつある。
それは上下関係が俺は大嫌いなのだ。
じゃーなぜ部活動に興味をもてたかって?
もう部活で現実逃避できるんじゃね?と思ってしまったからだ。
とにかく、2年生になってからでも、部活はは入れるのか先生に聞いてみる。
「先生、2年生からでも部活は入れるんですか?」
俺は1時間目の授業が終わったあとの黒板に書いた文字や図を、消している俺の担任、大塚先生に聞いてみた。
大塚先生は、25歳くらいの女性の教師だ。
年齢にくらいを付けたのは、先生は俺たちに年齢を隠しているからだ。
「あ~多分いけると思うぞ」
先生は結構男性気だから、男性口調で話すことが多い。
「本当ですか?なら少し職員室に聞いてきますね」
「待った。それなら薪名と一緒に聞きにいって来い」
「ええ?!なぜ薪名と一緒じゃないといけないんですか?!」
俺はすかさず聞いた。
「薪名も部活がしたいらしくてだな...」
あー分かった。これ絶対先生薪名と一緒に行かせようと、ハメただろ。
薪名と俺を一緒にすることで、恋愛的感情を生ませようとしてるだろ。
なぜ俺がこんな推理を生み出したかというと、薪名が転校生としてくる前から、なぜか始業式から俺の隣だけ席が空いていた。
そこに薪名を入れ、駄目人間な俺に恋心というものを味合わせてみようという計画ではないかと、薪名が来てから二日ほどで、察していた。
その計画をこの部活で、進めようとしてるだろ。
薪名は前から部活動に入りたいと言っていたらしく、俺が部活動に興味を持つタイミングまで、薪名を部活に入れさせなかったのか?
だとすると、先生はどんなに計画を考えているんだ。俺が部活に興味を持つことも察して、計画を立てていたのか?
いや、俺の考えすぎか...。
「先生...さては俺のことハメました?」
「いや、なんの事だ?」
くっ...さすがに隠すか。
「ということでよろしくね~」
「あっ、ちょ、先生?!」
先生は俺の言葉に耳なんか貸さずに、教室を出て行った。
まあ仕方がない。
とりあえず薪名に事情を話すか...。
そう思い、薪名の席を見るが、そこに薪名の姿がなかった。
どこかに行ったのか...。
俺は、廊下に出た。
すると、そこに薪名と...もう一人? いなざき かんの
誰だろうと思い、首を横にずらすとそこには、同じクラスで2年の、稲崎 菅野。
黒髪ショートの、結構アウトドアの女子と薪名が話すとは珍しい。
「薪名。ちょっといろいろあるんだが、今いいか?」
すると二人は俺に気づいてこっちを見た。
「あれーイルカじゃん」
そういえばそんな腐ったあだ名もあったな。
「挨拶がひどくないか?」
「そうでもないんじゃない?だってイルカだし」
こいつ、顔は良いくせに性格がな...よくある(顔がごみでも性格がいいやつか、顔が良くても性格がごみ、どっちがいい?)という質問が問われる時、真っ先に後者に稲崎が思いつく...。
「で、どうしたの?勝生君?」
「いや、部活のことなんだけど...」
すると、薪名は肩をビクッとさせ、思いだしたかのように飛び上がった。
「そういえばそうだった」
その言葉の後に俺は先生から言われたことを話した。
「なるほどね~」
「ということで、俺と一緒に聞きに行けということで呼びに来たのだが...」
「分かった、一緒に行こう」
すると稲崎がはっはぁーんという顔で俺のことを見てきた。
「なるほど~お二人は進んでおるな~」
意地悪な声で言ってきた。
俺と薪名は同時に、「はぁ~?!」と答えた。
「ひひひ、じゃ私は邪魔みたいだから帰るねぇ~、あっあと薪名、勝生が変なことしてきたら私に連絡してねぇ~」
「するか!!」
はぁ...あいつと関わると毎回疲れる。
「じゃ、そろそろいこ...」
俺がその言葉を話しながら、薪名のほうを見ると、明らかに涙目でこっちをにらんでいた。
「勝生君の...」
あっ...。
「バカーーー!!!!」
「俺まだなんもしてねーよ!」
ということでなんだかんだあり...、ようやく職員室まで来た。
俺がノックを三回してから、「失礼しまーす」との声と同時に扉を開けた。
すると目の前に校長先生がいたので聞いてみた。
「校長、2年生からの部活の入部ってありなんですか?」
「ふむ、好ましくないが、別にかまわんよ」
おお、気が効く校長でよかった。
「ありがとうございます。では仮入部届けもらえますか?」
「ああ、分かった」
とりあえず、仮入部届けをもらえたので...薪名に用紙を渡すついでに、薪名に聞いてみた。
「薪名は何部を仮入部に行くんだ?」
「私は...」
少しの間が空いてから、返事が返ってきた。
「美術部...かな?」
美術部か...。いかにもって感じだな。
「美術部か...良いんじゃないか」
すると薪名は恥ずかしそうに、視線を逸らした。
「じゃ、また後でね」
薪名は手を振りながら、去って行った。
さて、俺はどの部活に仮入部に行こうか...。
まずは、小学校の頃に少しだけやっていた、バスケにでも行ってみるか。
仮入部終了後。
俺は目が死んでいた。
まず最近運動していない俺が、グランド50周とか鬼畜かよ!
しかもこれ仮入部なんだぞ!
あと妙に暑苦しいというかなんというか、気合が入りすぎている...。
もう世界をバスケの世界にできるんじゃね?と思うくらいの気合だったぞ。
その後、卓球 バレー テニスとためしにやってみたけど、どれも向いていなかった。
次の日。
俺は、思ってしまった。
部活に縛られてるより、現実に立ち向かうほうがまだマシだと。
「あんなしんどいことよく普通にできるよな...」
俺の独り言を聞いていた薪名は俺に言ってきた。
「好きでやってるからじゃない?」
「好きで?」
「そう、好きでやっているから楽しいし、その楽しさでしんどい気持ちもうせるんじゃないかな?」
「私も美術部の仮入部行ってきたけど、すぐ飽きちゃったもん」
「そんなものなのかね~」
右腕を伸ばしながら、答えた。
そして下校中。
俺はもう一つ気づいた。
(よく考えてみると、俺の周りにいる奴ら、誰一人も部活してないな...)
俺はなにをどうすれば、部活で現実逃避ができるだと錯覚したんだろうか...。
人生の中でも一位や二位を争うくらいの、なぞだな。