新学期
いつも通り。でも、少し久しぶりの通学路。今日から私は中学校3年生になる。どれだけこの日を待ちわびたことだろう。浮かれに浮かれて、ついつい顔が緩んでしまう。
「ちょっと春香、何をそんなにニヤケてるの…てか、私がいること忘れてない?」
「ハッ!ごめん、緋花莉忘れてた!」
「いや、忘れてたんかい!」
緋花莉の鋭いツッコミが私を貫いた…
「だって、今日から3年生だよ!免許、貰えるんだよ!」
「春香はずっと楽しみにしてたもんね。」
「いやぁどうしても顔が…ふふふ…」
「はいはい、早く学校行くよ。」
たわいもない会話をしていたら、あっという間に学校に着いた。ここが私が通っている学校、私立海咲女学園中学校。私は、今日のためにこの学校に来たと言っても過言ではない。
正面玄関に掲示されたクラス分けを確認して、教室に向かった。緋花莉も同じクラスだったらしく。教室まで一緒に行くことにした。
9時前に朝礼があって、始業式や表彰式、昼食、大掃除を終えて、今日の一大イベント、ロングホームルームが始まった。
「この日を待ち望んでいた人も多いでしょう。今から、CR利用の免許証を配ります。」
新しい担任が笑顔でそう語り、厚めのカードを配り始めた。
窓際かつ後ろ側の席になった私はソワソワしながら、配られるをじっと待っていた。普段はすぐのことでも、今は違う、すごく長く感じる。担任が私の列の前に来た…そして、遂に待ちに待った瞬間が…
手元に渡ったカードを見つめて、感傷に浸っていた私だったが、ふと前を見ると、一つ前の席になった緋花莉がニヤニヤしながら、手をふっている。
「いつからそうやってしてたの!?」
「ちょっと前かな…まぁ普通はすぐ気づくだろうけどね。」
「ごめん、また私。自分の世界に入り込んでた…」
「アハハ、いいって。でも、免許証もらえてよかったね。春香ちゃん。」
「からかわないでよ〜」
「クスクス。」
「笑うなぁ〜」
私を小馬鹿にしてくる、緋花莉に目で訴えかけるとようやく笑い終えて、一言、
「じゃ放課後は早速、行こっか。仮想世界へ」
「うん!絶対にナンバー1プレイヤーになるぞ〜」
私は右の握りこぶしを突き上げた。




