嘘だろ!?
やっと、1章……
と言いたいところだが…
時は7月31日の午前中、住宅街にある一軒家の2階の自室で、先月に誕生日を迎えたばかりの16歳の少年、皇 阿宮斗は、勉強机に向かって座ったまま、背伸びをした。
「終わったあ! これで心置きなく遊べ……」
阿宮斗は数秒固まった後、頭を抱えてこう言った。
「海の家と屋台のバイト以外、やる事ねえじゃん!」
阿宮斗には、友だちがいるにはいるのだが、夏休みの間中は、帰省している。更に、阿宮斗の親戚は皆が忙しく、帰省している暇がないと言うのだ。その為、阿宮斗が夏休みの間にやるべき事が限られてくるのである。
しばらく頭を抱えて固まっていると、1階から茜の声が聞こえてきた。
『あっくーん。御飯作ってよおー』
「はあ……偶には、自分で作れよ。お嫁に行けねえぞってんだ」と言いつつも、阿宮斗は台所へと歩いて行った。
阿宮斗は台所に着くと、勉強中もずっと頭に装着していたヘッドホンを外して、早速調理に取り掛かろうとしていた。
「さーて、昼頃には母さん、帰ってくるって言ってたし、久々にカレーでも作るかなあ。鍋も丁度2つあるし、甘口と辛口を作れば問題ねえだろ」と言った直後、台所に来た茜が、嬉しそうに言った。
『おっ! 待ってました、辛口カレー。どれだけ待っていたことか』
「台所に来たんなら、手伝えよ。茜」
『えー。嫌だ。絶対、やらないからね』と言い捨てて、茜は台所から離れてしまった。
「全く……いい年して、中身はガキのままか? って疑いたくなるな」
そう言いながら準備を進めていると、少々、距離が離れているにも関わらず、玄関のドアの方向から、大声が聞こえてきた。
『ただいまー! 阿宮斗! 茜! 元気してたあ?』
「母さんは、相変わらず声でけえなあ……近所迷惑だろ。明らかに」と阿宮斗は呆れた様な顔で言い、カレーを作り始めるのであった。
カレーを作り終えた阿宮斗は、突然慌てだして、ダイニングにいる茜と阿宮斗の母に向かって、早口で伝えた。
「右にある鍋が辛口カレー入りだから、自分で注いでくれ!」
そう言い捨てて、阿宮斗はトイレへと早歩きで向かった。
「ふうー。危なかったわあ。にしても、母さん、帰ってきたんだよな。母さんも母さんで変わった人だし、あんま行きたくねえなあ……でも、早く行かねえと冷めちまうし、行くか」と言って、トイレから出て少し歩いた直後、それは起こった。
「は? 嘘だろ!? なんだよ、あの黒い穴は!」
阿宮斗が驚くのも仕方がないだろう。何故ならば、天井に黒い穴が開いていたのだから……
今日から3日間休みなので、話しを進めてみせるぞ!
と言いたいが、暑過ぎて集中力が……
ZZzz…(-ω- っ)3