プロローグ4
3日か…
進歩した?
ここは、とある国の研究室。そこには、新しい実験用具が用意されていた。
「フッフッフッフッフ……試験機第一号の完成だ。成功すれば、遠い土地への瞬間移動が楽になるぞ!」
後ろから見ると、女性かと見間違うぐらい長い白髪で、長く伸ばした白い髭を生やしている老人は、名をブルックリン・アクロイドと言う。
彼は、研究の為ならば、どんな事でもする人間であり、研究材料の為に奴隷を買い込んでいた。
そして、今まさに、その奴隷を実験台にしようとしていた。
「今日の実験材料は、激安で手に入れた非力な少年。体力無さそうだし、ちょうど良かろう」
ブルックリンの後ろに立っている少年は推定年齢15歳、生まれながらに奴隷として生きてきた経歴を持っており、正式な名前が無い。何せ少年は、複数の人に買われては手放され、買われては 手放されを繰り返してきたのだ。
その為少年は、買われる度に色んな名前で呼ばれていた。そんな少年だが、その数々の名前の中にお気に入りの名前がある。その名を「セオ」と言う。
セオの名付け親である女性買主は、セオをまるで息子の様に育てきた。がしかし、その女性はセオを買い取ってから半年で亡くなってしまい、行く当てのないセオは、数日のうちに奴隷商人に捕まってしまったのが現状だ。
「さてさて、非力な少年君。君は偉大な発明の実験台になる事を誇りに思うが良い! 瞬間移動だぞ、瞬間移動! まだ誰も体験した事のない経験だ! 出来る事ならば、私が代わりた……ってそんな事、君には関係無いか。では早速準備に取り掛かるとしよう。君は、そこの機械の中に立ってるだけで良い。早く移動したまえ」
「はい」
セオは返事をした後、指定された場所へ移動し、準備が完了するまでの間、妄想を膨らませていた。
<どうせなら、足枷が外れた状態で平和な異世界に瞬間移動したい。そしてそこで、恋とかしてみたいなあ……>と。
「指定場所は、さっきまで非力な少年君が立っていた場所っと。さてさて、それじゃあ今から、偉大なる実験を開始する!」
そう言い、ブルックリンは作動スイッチを押した。次の瞬間、足枷を残して、セオはその場から消えていた。
「実験成こ……」
言いながらブルックリンは後ろを振り返るとそこには、居なければならないはずの少年が居なかったのである。
「ん? 何故だ? 何故、私の実験が失敗した?」
しばらく、ブルックリンは考えていたが、理由がさっぱり分からず、ブルックリンは試しに他の奴隷を使って、実験してみたが全て不発に終わった。
「試験機第一号は、如何やら不良品の様だな」
開発者ブルックリンは、気付かなかったのである。
彼が開発した試験機は、あらかじめ機械で行きたい場所を設定するものではなく、「瞬間移動の術式の対象者が行きたい場所へ瞬間移動するもの」だと言う事を……
つまり、赤の他人には、瞬間移動する場所を決めれないのである事を……
次回で、プロローグは最後です。
因みに、プロローグ5の登場人物は、異世界人じゃないとだけ言っておきます!