プロローグ3
やっべ、プロローグを書くのにかかり過ぎじゃん(汗
ここは、とある国の豪邸。この豪邸には沢山のメイドが働いている。
セレン・バニーアティーエもそんなメイドの中の1人だ。
「さて、お金の為だ。頑張るぞっと」セレンはほっぺを両手で叩きながら小声で気合いを入れ、仕事場へ向かった。
セレンのいつものお仕事は、掃除、御使い、料理(ただし、包丁での調理作業のみ)である。
包丁捌きはプロ級なのだが、それ以外は並か下手かのどちらかなので、必然的に仕事内容が決まってくるのである。(洗濯に関しては、プロのメイドが何人もいるので、セレンは1度も洗濯の仕事をした事は無い)
セレンは何故か、包丁捌き以外の調理作業を不得意としている。セレン自身も何故なのかは分かっていないが、失敗ばかりするのだ。焦がしたり、こぼしたり、火傷したりといった感じに……
そんなセレンは、仕事に来て早々、御使いを1人で行っていた。
「パスタ麺にトマト、玉葱に豚肉に卵っと……後は、特産品の果物を買って来いって言われてたけどさ……」と言い、セレンは更に続けて叫んだ。「この街、特産品だらけじゃん!」
叫べば当然、周りの人達に注目される。
その視線に気付いて、恥ずかしくなったセレンは、急いでその場から離れた。
しばらく歩いていると、40歳ぐらいのスキンヘッドで色黒のおじさんに声をかけられた。
「あんた、セレン・バニーアティーエだろ? 借金はいつ、全額返してくれんだ?」
セレンは、おじさんに顔を向けて言った。
「そんなすぐに全額返せる様な金額でもないだろ? それに今日、手持ちにあるのは、全て伯爵のお金なんだ。明日は給料日だから、今日は諦めて帰ってくれよ」
「明日、ね……伯爵に給料を貰ってんなら、期待出来るな! そう言う事なら、明日はちゃんと払えよ?」
「逃げねえから、心配すんなって。明日また、この場所でな!」
「約束だかんな! んじゃ、今日はこの辺で立ち去るとするぜ!」
そう言い、色黒のおじさんは、その場から去って行った。
「はあ……両親は逃げやがるし、借金は押し付けられるし、散々な人生だよ。全く……」
セレンは、両親に多額の借金を背負わせれていた。
そんな状況でも食べていけるのは、セレンの実家が元貴族であり、セレンがメイドとして働いている伯爵家とは、セレンの実家が貴族だった頃から何度か交流があった為である。
その為、セレンが両親に捨てられたと知った伯爵は、すぐにセレンのもとに駆けつけて、セレンをメイドとして雇ったのである。
「ってか、周りに人いないし! あれ?」
ふと下を見るとセレンを中心に魔方陣が描かれていた。
「何が如何なっ……」
その後、セレンは持っていた荷物ごと、その場から跡形も無く消え去っていた。
その後、セレンは横領罪で指名手配されているのだが、本人は知る由も無い。
実は最初、セレンは戦士の予定でしたが、そうすると元いた世界に心残りが強く残ってしまいそうだったから、廃案にしました。