動き出す彼の物語
ここから本編スタートと思って下さい。今までのは…前書きです…
「おはよう光輝君」
「…おはよう、しろたま」
…朝?ああ、あのあとそのまま寝ちゃったのか
「光輝君、僕に言う事があるんじゃないかな?」
「言う事?」
「裸の光輝君をベッドまで運んで布団をかけてあげたのは僕だよ」
ああ、そっか、脱衣場で寝ちゃった(倒れた)んだっけか
「運んでくれてありがとう。しろたま」
「いえいえ、どういたしまして。光輝君、起きるなら布団の中で服を着てから起きてね?」
「なんで?」
「僕は、元々、女の子!君は本当に信じてないね…」
ん?あ、俺今裸なのか。
「はいはい、じゃあ服を取ってくれ」
〈コンコン〉
「ん?」
「誰か来たみたいだね」
「しろたま見てきて」
「分かった、見てくるよ」
〈誰もいないのかなぁ…勝手に入っちゃおう、いいよね、東堂君なら許してくれるよね〉
「しろたま、ドアの外の人は勝手に入ろうとしてるぞ」
ここのドア防音性能低いな…呟きが聞こえてるよ…
「僕にも聞こえてるよ、光輝君と仲いいみたいに聞こえる呟きをしているよ?」
「俺にいきなり不法侵入しようとする友達はいないと思うけど」
そんな友達いたとしても警察に捕まってるだろうな。
〈ガチャ「お邪魔します…光輝君凄いなぁ、こんなに高そうなホテ、、宿とってるなんて。」〉
「不法侵入されてるみたいだね」
「まぁ、俺を探してるみたいだし会いに行くか…しろたま、服を取ってきてく〈ガチャ「あ、東堂くんいた!……裸?」〉……」
「え?安原さん?!なんでここに?!」
なんで安原さんが…というかよりによってなんでこのタイミングで来るんだ!裸なのに!
「ごめんね、なんか1人でお取り込み中だった?」
いらぬ誤解をされてる気がする…1人?
「いや、今しろたまと一緒にいるけど。て、あれ?しろたまどこいった」
「服取ってきたよ〜」
あ、頼んだんだっけか
「ありがとう。安原さんと一緒に寝室を出ててくれ、しろたま。着替えるから」
さすがに同級生アイドルの前で着替えるのは恥ずかしいしな
「別に私は気にしないよ?」
「桐奈ちゃん、そこは気にした方がいいところだよ?光輝君は裸なんだよ?」
「なんで?私は気になんないよ?」
「俺が気にするから出てってください、安原さん」
安原さんは俺が裸でも気にしないのか…複雑な心境だな…
「ほら、光輝君もそういってるんだから出て出て」
「はーい…」
「それで?なんで安原さん「桐奈でいいよ!」…桐奈さんがここに?」
「気がついたらこの街にいてね、心細かったから知り合いいないかな〜って思ってたら門番の人が光輝ってテスタメントは魔法使えないんだぞ、精霊様と契約してるのに!なんて言いふらしてたから聞いてみたの」
…ソーマか。あの野郎馬鹿にしやがって!事実だけどさ
「なんて聞いたんだい?」
「光輝って人どこにいますか?って聞いたの。それでここまで来たの」
「それ俺じゃなかったらどうするんだよ」
俺だって確証なく不法侵入してたのか…将来が心配になるな
「探し直すだけだよ?」
「……」
「……桐奈ちゃんは初めからこの街にいるのかい?」
あ、しろたま聞かなかったことにしたな。
「光輝君は街からじゃなかったの?しろたまちゃん」
「僕達は違ったよ。桐奈ちゃんは能力プレート持ってるのかな?」
「なあにそれ?」
ナイスしろたま!話題を変えるの上手いな!
「身分証みたいなものだよ、ないなら作りに行こうか」
「うん!ありがとね、しろたまちゃん!」
「どういたしまして、光輝君も行こう。」
「俺もか…まぁ、ソーマに文句いいたいからちょうどいいか」
俺が魔法使えないのを馬鹿にしたこと後悔させてやるか。
「それじゃあ行こうか」
「分かりました。彼女の能力プレートを制作すればよいのですね。では、彼女を借りて行きます」
「うん、ありがとね、ソーマ君」
「いえいえ!こちらこそ身分の不確かな人間を見つけていただき、精霊様自ら来て下さりありがたい限りでございます!」
…うん、ソーマとしろたまが話してる間の俺ってもう空気だね!
「あ、おい、ソーマ待てよ!俺が魔法使えないこと広めやがったろ!文句言わせろ!」
「なんだ、事実だろう。文句を言うなら魔法を使えるようになってから言え」
「ぐぅ…」
正論で返しやがって…
「光輝君、僕の願いが叶えば魔法が使えるようになるのが早くなるよ?」
「いつかな!」
しろたま、俺は叶える気はないぞ。めんどくさそうだからな
「いつか叶えてくれるのを待ってるよ、光輝君」
「ただいま〜光輝くんにしろたまちゃん!私スキル3つも持ってたよ!」
俺は4つだよな?
「どんなスキルなんだい?」
「形状変化と肉体付与と知能だったよ」
…これって。
「なぁ、しろたま。神が言ってたお前を人間にしてくれる人間っさ…」
「…うん、桐奈ちゃんっぽいね。そのためであるかのようなスキルだよ」
「え?え?何の話?しろたまちゃんを人間にするの?」
ああ、桐奈さんは何も知らないよな
「まぁ、そうだよ。しろたまを元の可愛い女の子にすればいいんだ」
元々可愛い女の子って信用出来ないけどなぁ…
「私、スキルの使い方分かんないよ」
「そのスキルの名前を僕に向かって言えばいいんだと思うよ」
「えーと、『形状変化』」
あ、しろたまが輝いてる…おお!人間の形に……え?なんで半透明の一条さんがしろたまのいた所に??
「今度はもう一つのスキルを僕にかけて」
『肉体付与』
俺の目の前に裸の一条さんが現れた!
驚きのあまり俺は気を失った……
「光輝君、起きて?僕はもう服を来たよ?」
…ん?目の前に一条さんが…ああ、しろたまが人間になったら一条さんだったんだっけか。まぁ、でも他人の空似とかだろう
「いくら口調が似ててもしろたまが一条さんなんてありえないよな。うん、一緒に温泉入ったしな、しろたまと」
「しろたまちゃんって雅ちゃんだったんだね!口調似てたからもしかして〜なんて思ってたよ!」
「桐奈ちゃんは気づいててくれたんだね。嬉しいよ!光輝君は言っても信用してくれなくてね…一緒に温泉入る事を強要されたしそれで倒れた光輝君と一緒に寝たし「ちょっ!ええ!?俺が一条さんと一緒に寝てた?!」しろたまの姿だったけどね?」
ほ、本当にしろたまが一条雅さんなのか…?
「僕は人間になったけど精霊だったときとたいして変わって無いみたいだよ。能力も変わってないし光輝君との契約も続いてる」
「本当にしろたまは一条さんなんだな…」
「悲しいのかい?僕は君に好かれてると思っていたんだけど。」
好きなことバレてたのか!!
「…はっ!精霊様は!」
「あ、ソーマ君も起きたみたいだね」
隣でうるさく喋ったのはソーマだったのか。きっとソーマもしろたまが人間になって驚いたんだろうな…
「せ、精霊様?精霊様なのですか?」
「そうだよ、人間になったけどね」
あ、ソーマの顔が蒼白になってく…お、桐奈の方をみて…あー、これは勘違いしてるな。桐奈が精霊様を精霊じゃ無くしたんだもんな
「貴様!精霊様になんて事を!許されると思うな!!」
「え!?なんで!?私はしろたまちゃんに言われた通りにしただけだよ?」
あー、これはまずいなぁ…
「ソーマ、落ち着け、これはしろたまが望んだんだ」
「そうだよ。僕が人間に戻りたいと望んだんだよ。ソーマ君」
あれ?しろたまに言われたのにソーマが信じてない?顔がどんどん鬼の形相に…
「私だ、ソーマだ、精霊様を洗脳し人間に変える悪魔が出たんだ!今すぐにこいつを虚無の国へ送れ!」
んん?ガラケー?電話か?
「わっ」
いきなり目の前に黒装束の男が!
「ソーマよ、悪魔はどいつだ?」
「マライカ!あの女だ!」
「ちょ、ソーマ君僕の話を聞いてよ」
「精霊様!必ず洗脳を解きますので少しお待ちください!今悪魔を虚無の国へ送らせます!」
「おい、ソーマ待てよ!桐奈はしろたまのために」
「うるさい!光輝貴様は何故止めなかった!」
「しろたまが望んでたろ!止める必要なんてー」
「嫌だ!止めて!なんで!なんでなの?!雅ちゃんは人間になっちゃだめだったの!?」
言い合ってる間に桐奈は既に虚無の国とやらに半身が飲まれていた。
「光輝君!僕は桐奈を助けるために虚無の国へ行く。君は待ってて」
「え?はっ?!ふざけんな雅!まだ止めれば」
「もう間に合わない。桐奈がほとんど飲まれているよ」
しろたまは桐奈が飲まれていた黒い穴に飛び込んで…
「バカか!俺も行くよ!桐奈が飲まれてる責任は俺にもあるんだから!」
ちくしょう!まさかしろたまが人間になるだけでこんな事になるなんて…
「な!精霊様!おやめください!そこはー…」
黒い穴の向こう側は、霧の濃い暗い森の中だった。