異世界の街
あけましておめでとうございます!(2017/01/02 1午前1:33:21)あれ、日付変わってる…
「そんなに怒んないでよ。僕は光輝君を騙したわけではないんだよ?それに少しでも魔法が使えればこの世界で生きやすくなるよ」
「まぁ、もともと契約するだけで帰れるなんて楽な話じゃないとは思っていたけどさ」
それなら元いた世界にここの生物が来てもおかしくないと思うからな。
「しろたま、今の俺に魔法が使えるってことは本当なんだな?」
「もちろん!そういう契約だからね」
…俺の厨二病心が疼くな。
「どういう魔法をどうやったら使えるんだ?…黒い焔とか出せるのか?なぁ?」
「そんなにキラキラした目で見ないでよ…出来ないって言いづらいよ」
普通に出来ないって言ったよね、今。
「じゃあどんな魔法使えるんだよ」
「『フラジール』っていう物を脆くする魔法なら使えると思うよ。そこに落ちてる木の枝を見つめながら『フラジール』て、言うだけ」
呪文か…いいね。
『フラジール』
…………………………効果は無いようだ
「え?おかしいなぁ、今確かに僕の魔力は持っていかれたよ。本来なら形を保てないはずなのに…」
「もしかして俺魔法使えない…?」
これ、しろたまの契約違反にならないか?
「いや、魔力は持ってかれたから発動するはずなんだけどなぁ…もしかしたら君に何かあるのかもしれない。人の街に行ってみよう」
「おお!異世界の街!」
やっぱり中世みたいな町並みなのかな?
「期待していいと思うよ。僕も初めて見た時は感動したから」
「超期待しとくよ」
楽しみだなぁ〜異世界の街
「じゃあ、行こうか。ついてきて」
「わかった!…そこ道じゃないよ?」
うん、獣道すらないね。
「あ、ごめんね。道作りながら進むよ」
お?なんか地面が盛り上がって…
「地面ごと木を退かしてる…魔法って凄いな」
俺は使えないみたいだけどな
「凄いでしょ!僕の願い事が叶えばもっと凄いことだって光輝君なら出来るはずだよ」
「魔法が使えればな」
使いたいなぁ
「精霊と契約して魔法が使えないなんて聞いたこともないよ。きっと何か理由があるはずだからその理由を取り除けば使えるようになるさ」
本当かなぁ…先の事もあってしろたまの言う事は信用出来ない。
「光輝君。そろそろ街が見えて来るよ」
「は?まだ1分くらいしかたってないぞ?」
「元々僕らがいた場所は森の中じゃなくて少し木が密集して生えてるだけの所だったんだよ。方すぐ草原にでるよ。そこには襲ってくる魔物もいるから」
魔物?戦う手段がない俺って出会ったら人生終了じゃん…
「光輝君が使うんじゃなくて僕が魔法を使って倒せばいいんだよ」
あ、なるほど。
「ね?契約しておいて良かったでしょ?」
「初めて良かったと思ったよ、しろたま」
実はさっき街に案内してくれてた時点で良かったと思ってたんだけど。
「初めてなんて酷いなぁ…結構役にたつんだから、僕は」
「ハイハイ、頼りにしてますよ、しろたま」
「絶対頼りにしてないね光輝君」
そんなことはないんだけどなぁ…
「あ、もうすぐ街の門に着くよ」
え?あれ?さっきまで草原の入り口にいたのに?
「どうやら僕が封印されてる間に誰かが魔法で草原を歩かずに行ける道を作ったみたいだね」
「今は普通に歩いてただけだろ?」
そんなテレポートなんてした記憶無い…
「僕もそう思ってたよ。もしかしたら魔法じゃないのかもね」
魔法以外にもこんなことが起こるのか…て、しろたまが俺にやった魔力譲渡とかってやつも魔法じゃないんだっけか。
「光輝君、門番の人に精霊との契約者ですって説明してきなよ。僕はここで待ってるから」
テスタメント…聖なる契約か。厨二病チックな名前だな
「おい、門の前でウロウロしてる怪しい男!こっちへ来い!」
俺のことか?…周りに人いないし俺のことか
「早く来い!不審者とみなしていいのか?」
「不審者じゃないぞ!俺はテスタメントだ!」
うわ、大声でテスタメントとか言うの恥ずかし〜…俺だけどな。
「嘘をつくな!おい!みんな!不審者が門の前にいるぞ!捕まえろ!」
え〜。恥ずかしいの我慢して自己紹介したのに不審者かぁ……不審者っぽいね、俺。
「しろたま、俺不審者になっちゃった」
「光輝君はバカなんだね。ちゃんと門番の所に言ってテスタメントですって言えばいいのにわざわざ離れて自己紹介なんてするから怪しまれるんだよ」
だって門番槍もってて怖いし。
「助けてしろたま〜」
「しょうがないなぁ、まったく光輝君はバカなんだから。」
…女っぽい口調になってるな〜。頼られるのがそんなに嬉しいのか。にやけてるぞ。
『精霊の光』
おお!なんか厨二病っぽいこと言って光を放ち始めたぞ!痛々しいな!
「光輝君後で話をしようか」
あ、心の中覗かれたか。
「「おい、あの光… ああ、間違いない、精霊様の光だ。 てことはあの不審者が言ったテスタメントってのは… 本当かもしれん。早く隊長を呼んでこい。 了解!!」」
門番達の声丸聞こえだな。なるほど、さっきの光は精霊にしか出せない光なのか。そして精霊は様が付くくらい凄いと。色々分かったな。
「僕のおかげでちゃんと隊長が出迎えてくれるみたいだね。君の不審者疑惑も解けたし僕に感謝するといいよ。」
「しろたまって偉いんだな」
「まぁ、精霊だからね」
ふーん、てことは契約してる俺も凄いんじゃないか?魔法使えないけど。
「テスタメントのガキ!隊長がお呼びだ!来い!」
…あれ?テスタメントって全然凄くないの?ガキ呼ばわりされたよ?
「精霊様。テスタメントをお借りしてもよろしいでしょうか?」
「僕もついてくけどいいよ〜」
「おい、まて、そう話ながらさり気なく俺を置いてくな。」
なんだろうか、このしらたまと俺に対する対応の差は。
「凄いのは精霊であって光輝君じゃないってことだよ。」
「納得いかねぇ…」
あ、門開いた。しろたまが門の中に…
「だから置いてくな!」
異世界の街は中世みたいな町並みで綺麗だ。まるで俺を歓迎してくれてるかのように…。
「光輝君門閉まっちゃうよ〜?」
ダッ←全力で門の隙間に滑り込む俺。
「光輝君はさっきからなんで僕達について来ないんだい?」
「今のは街に見とれてたんだよ…決して無視される悲しい現実から逃げていた訳ではないからな。」
違うんだからな…決してそんなことはない…はず………
「テスタメントのガキ、お前もついてこい」
「呼ぶの凄く遅いからな?!もう門閉まってるから!」
「うるさいガキだな…」
「あと俺は光輝って名前だから。東堂 光輝。名前で呼んでくれ。」
ガキって呼ばれるのイラつくからな。
「俺の名前はソーマだ。光輝、お前は今から能力チェックだから「おそらくこの能力チェックで光輝君が魔法使えない原因がわかるよ」こっちに…魔法が使えない?テスタメントだろう?」
こいつ名前あったのか。門番Aとかじゃないんだな。
「光輝君?聞いてたかい?」
「ん?何?」
名前の後に言ってたやつか?名前があることに驚いて聞いて無かったな
「これから君の能力チェック…君にどんな力があるか調べるんだ。これで光輝君が魔法を使えない理由がわかると思うよ」
おお!でたな!異世界のお約束ステータス!これで俺に凄い能力があることが判明するんだな!
「光輝!能力チェックするからこっちの倉…建物にこい!」
今倉庫って言おうとしなかったか?ステータスチェックってそんな所でやることなの?
「さっさとこい!」
「分かったよ!」
…完全に倉庫だな、ここ。しかも中にホームレスみたいな人いるし。
「その人が能力チェックをしてくれる。自分の能力が刻まれたプレートを渡されるがそれが身分証になるから無くさないこと」
ホームレスみたいな人が能力チェックしてくれるのか。…なんだろう、悲しくなってきたな。俺の異世界生活ってこれからどうなっちゃうのだろうか…