~ パーツ ~
拓斗 は ゆっくりと 振り返り
ブルーシートの上の 真紀を見つめた…
頭が陥没し 鼻はへし折れ 天井を見つめたまま 息絶えた 彼女に近づき
「君が悪いんだ … 赤い靴なんて履いて 男を挑発して 俺に誠意を示さなかった… 病んだ君の クダラナイ話しを聴いて可哀想な子だと 心を傾けてやった この俺に!!女ッテノハ 皆 ソウダ … 男ニ誠意ヲ示サセテ 自分ノ望ミガ叶エラレナイ男ダト思ウト 直グニ 他ノ男ニ股ヲ開キヤガル!!汚ラワシイ 売女メッ!!」
拓斗 は ギロリッと 物入れを睨みつけた …
カタッ カタカタカタカタッ!
物入れの 段ボール箱達が 揺れた
フンッ と 拓斗は 鼻で笑った …
拓斗 … ゴ メ ン ナ サ イ …
拓斗 … 愛 シ テ イ タ ノ … 本 当 ヨ …
拓斗 … 拓斗 …
各々の 段ボールの中から 弱々しい 女の声が 聞こえた
「アァ … 俺ダッテ 愛 シ テ イ ル サ … 愛シ イ 女 達 … 」
陶酔した目をして 拓斗は うっとりと 段ボール達を見つめ
ク ス ッ と 笑うと Aの 箱から チェーンソーを取り出した
自作の 吸音ガードを取り付け チェーンソーのスイッチを押す
刃先が 高速で回転するが 音は響かない
拓斗は 真紀の 肩から肩甲骨を チェーンソーで切断した
両肩 を切断し チェーンソーの刃でギザギザになった 真紀の肩を
今度は手ノコで 滑らかに 整えていった …
血だらけの ウェディングドレスを脱がし
残った 頭や躰は 頭 胴体 下半身 と 大雑把に ブツ切りにした
其から バスルームに向かい
バスタブ1/3程に張られた ツンと鼻を付く匂いの液体に 真紀の両腕を浸け
再び 洋室へと戻ると ブツ切りにした 躰から 丁寧に 肉と 心臓 内臓を 取り出し 削ぎ落とした
シンクへ骨を運び 食器用洗剤を使い洗う
新聞紙を拡げ 長さを揃え 真紀の骨を並べた …
其から ブルーシートの上で 真紀に着せたウェディングドレスを ハサミで切り刻んだ
一旦 ゴミ袋に 刻んだドレスと シルクフラワーの花弁を入れ
ブルーシートに着いた血液を バスルームで綺麗に洗い流し
バルコニーの 物干し竿に ザッ と シートを拡げ 洗濯バサミで止めた
部屋に戻り 血飛沫を丁寧に 掃除用洗剤を使い拭き取り
部屋の掃除を終えると
物入れから 重そうな段ボールを 4箱 一つ一つ 丁寧に下ろし開封した
箱を覗き込み
「 はぁ … 美しい … 」
拓斗は 溜め息をついた
段ボールの中から 丁寧に 大きめの瓶を取り出した
「真澄 … 美しい顔だな … 」
次の段ボールからは
女性らしいクビレた腰の剥製の 躰だけを ゆっくりと 取り出し
「はぁ … 今でも夢中だよ … 杏奈 …」
涙ぐみながら 躰を撫でた
次の段ボールからは
美脚のみの剥製を取り出し
「あぁ … 思い出すよ… キンバリー … 君とはしゃいだ 白い砂浜 … 」
頬を 太ももに スリスリと優しく押しあてた
最後の段ボールからは
女性の骨盤から下 ふっくらと丸みを帯びた お尻を取り出し
「はぁ … 和美 … 堪らない … お前は最高だ… 熱い あの夜は 俺だけのものさ … 」
と お尻をギュッと掴んだ
其から 拓斗は 急に鋭い目をして
「何デ 俺ヲ裏切ッタ … 売女ドモ … 」
冷たく 吐き捨てるように言った
元のように 段ボールに全てのパーツを収めると
物入れに押し込み ピシャリと戸を閉めた
「誰モ 帰サナイ … オ前達ト俺ハ永遠ニ離レナイ … ソウダナ … 俺モ 時ヲ止メテイルノカモナ … 売女ドモ!俺ハ オ前達ヲ 愛シテヤル 全テヲダ !! 有リ難ク思エ …ヒャハッハッハ !!」
カタッ カタカタカタカタ ッ!
物入れの 段ボール達が 揺れる
「踊 レ ! 苦 シ メ ! モ ッ ト ダ !!ヒャハッハッハッ! ヒャハッハッハッ!」
薄気味悪い 拓斗の笑い声が 裏野ハイツに 言霊していた …
憎しみなのか 愛なのか
拓斗 自身にも もう 解らなくなっていた
時を止めたい …
そして 全てを自分のものにしたいと言う
欲望に 取り憑かれた
拓斗の 想い …
それは 愛 なのだろうか ?




