~ 赤いパンプス ~
少女は 警察官に 「時を止めようと思った」と話しているそうです 現場からは以上です
TVから聴こえて来た そのニュースは
戸籍の無い 推定年齢 6才~8才の少女が
家で飼っていた 猫を喰っていた …
其処へ 偶々 回覧板を届けに来た 近所の住人が
猫の片足をくわえた少女を目撃し警察に通報し事件が発覚した
警察官が 少女の家の中を調べ
冷蔵庫の中から 殺されたのか 死んだのか
20代~30代 と思われる 女性の遺体を発見した
冷蔵庫に 押し込められた女性の遺体は
手 と 足 の 指が 全て噛み千切られ 警察官に事情を聞かれた 少女は
「お腹が空いたから 食べた … 」
と 応えた …
「時を止めたかった … か … 」
俺にも そんな想いが あったような 無かったような …
まぁ どうでもいい 事だな ……
裏野ハイツ 203号室 住人 黒田 拓斗
彼が 此所 裏野ハイツ に 越して来たのは1週間前の事 …
1週間が過ぎても 開かれる事の無い 段ボール箱が
洋室の物入れに 1・2・3・4・5 全部で5箱
拓斗 は 物入れを見つめ クスッと笑った
時計が 深夜を回る頃 …
拓斗 は ベッドから ムックリと躰を起こし 着替えを始めた
黒いシャツに 黒のズボン
葬儀にでも行くのかという身なりで 家を出た
駐車場に止めてある 黒い軽自動車に乗り込むと
静かに走り出す …
ピ ロ ロ ロ ~ン ♪
拓斗 の 携帯電話の メール音が鳴った
車を道路脇に止め 携帯電話のメールを確認した
今 何処 ?
拓斗 は 返信メールを送る
あと 10分で着くよ
ピロロロ~ン♪
再び メール音が 着信を知らせる
待ってる
拓斗 は クスクスッと 笑いながら
車のアクセルを ゆっくりと踏み込んだ…
車内は ロマンチックなムードが漂う 洋楽が流れていた
裏野ハイツから 徒歩7分程の駅前にある
コンビニの駐車場に入り 車を止めると
コンビニから 女性が駆け出し 拓斗の車の助手席のドアを開けた
「待たせて ゴメン … 怒らせた?」
拓斗 は 悪戯っぽく微笑んだ
「ううん 来てくれたから 平気!」
彼女は 微笑みを返した
拓斗 は 彼女の手を引き寄せ 頬にキスをし
それから 彼女を乗せ 拓斗は 車を走らせ
今 来た道を戻ると 裏野ハイツの前の駐車場へ車を止めた
彼女は 細く白い腕を 助手席のドアに スゥッと伸ばした
あっ …
拓斗 は 彼女の 美しい腕を チラッ と見て心の中で 吐息を漏らした
美しい 腕 …
車を 降り 拓斗を待つ彼女に 想いを気づかれないよう
拓斗は 胸の高鳴りを抑え 車を降りると
彼女の前を歩き 203号室のドアを開けた
「入って … 」
拓斗が 先に部屋へ入り 彼女に 声を掛けた
彼女 は 少し戸惑いながらも コクンと頷き
玄関に 履いてきた 赤いパンプスを揃え部屋へと入った …
ゾクッとする 視線を感じ 彼女が 拓斗を見ると
拓斗 は 冷ややかな視線で 彼女の靴を見つめていた
「赤い靴 … 嫌いだった ?」
彼女は 今にも泣き出しそうに 拓斗に聞いた
拓斗 は ハッとした顔をして
「女性は 赤い靴好きだよね … ゴメン… 真紀ちゃんは 違うのに … 」
悲しそうに 応えた …




