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ごめんなさい、文化祭等の行事でかなり時間が空いてしまいました。
の割には内容また短めです。ご了承を…
ところでフィアちゃんのサービスシーンがあるそうですよ(ねぇよ)
この家には現在、僕一人しか住んでおらず、両親と妹は居を郊外へ移している。大学へはこちらのほうが近いということ、そしてこの家を空き家にしたくはないという想いから僕だけがこの家に残ったのである。しかしながら、家族全員で住んでいた頃は何ということもなかったこの家は、一人で住むようになってからはまるで家が二回りほど広くなったかのような感じがしていた。
そして今日出会った、この小さなお客さんは──一人暮らしを始めて以来空いていた僕の心の穴を塞いでくれた様に思えた。夕食に作ったシチューを夢中で口に運ぶ姿を見ていると、作った甲斐があったと思った。ここ最近はなかったのだ、僕の作った料理を誰かが食べてくれるということが。
パンを焼いてテーブルに運んでいくと、フィアはちょうどシチューの皿を空にした所であったようだ。湯気の立った紅茶のカップを手に取り、恐る恐る口にし、適温と判断すると大きくカップを傾ける。紅茶の味がこの子の口に合うか心配だったが、おいしそうに飲んでいる姿を見て安心した。シチューのおかわりを勧めると、フィアはこくりと頷き、僕に空いた皿を差し出した。僕がシチューを皿によそっている間に彼女は黙々とパンを食べ続けていた。この小さな身体のどこにそれほど貯める場所があるのか。小さなお客さんは、見かけによらず大食いさんであったようだった。
「…アラムは?」
不意にそう問うてくるフィア。
「アラムは、食べないの?」
「そうだね、僕も頂こうかな」
この少女、なかなか言葉を話さなかったが──食事を通じて心を開いてくれたのか──こうして話をしてみると、無邪気で心優しい少女であるという事が窺える。僕は自分の皿にもシチューをよそい、フィアの向かい側に腰掛けて、共に夕食を味わった。
「フィア、お風呂は一人で入れるかい?」
夕食を済ませてから一息ついた後、僕はフィアにそう尋ねる。
「………たぶん」
フィアはどこか自信なさげにそう答えた。この年頃の女の子はそろそろ一人で入りたがる年頃であるだろうし、なにより異性を意識し始める歳頃でもある。僕から一緒に入ろうとは言わなかった。
僕はフィアの手を引いて風呂場へ案内する。バスタオルとパジャマ、シャンプー等の場所を教えてから僕はシャワーの蛇口を捻る。
「何かあったら呼ぶんだよ」
そう言い残して僕は立ち去ろうとしたのだが──服の裾を引っ張る力によって僕の足は前には進まなかった。
「………」
フィアは僕の服の裾を掴んだまま小さくなってしまう。どうしてしまったのか聞いてみると、フィアは小さな声で呟いた。
「……こわい…。アラムも…」
フィアの様子からは、恥ずかしがっている訳ではなく、ただ彼女の言う通り不安なのだという事が伝わってきた。どうやらフィア自身、まだそのような恥じらいの心は芽生えていないらしい。
「わかった、ちょっと待ってて」
そう言って一度風呂場を出ると、僕は自室から着替えを回収してからもう一度風呂場に戻る。
──と。
そこには、今しがた全ての衣服を脱ぎ終わった、一糸纏わぬ姿のフィアが佇んでいた。
歳相応のふっくらとした肉付きの肢体は、まるでドレスを纏っているかのような純白の肌をしている。茶色がかった頭髪が彼女の裸体に絡んでおり──そして、今日また幾度目かの感情が湧き上がる。なぜ僕はこうも、この少女に魅入ってしまうのだろう。裸体であってもそこに性的な感情は一切混じっておらず、ただのこの光景がたまらなく神秘的な物のように思えてしまうのだった。
シャワーから流れ出る湯の音も、この光景の前にいる僕の耳にはとても遠い物に聞こえた。