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ベリービジーなので少なめですごめんなさい(;´Д`)
毎日の更新を目指しますが、その代償として一話一話が少なめになりそうです。御了承の程。
そりでぃは。
「アラム……」
僕の名前を復唱し、しかし自らの記憶にはそのような名前は残っていないのだということを察したのだろう。その顔はより一層不安げなものとなった。当然である。彼女と僕は、これまで一度として出会った事がないのだから。
「この紙に書いてある名前は、君のものではないのかい?」
「…わからない」
フィア自身、わかっている事など何一つないのだろう。これ以上何を問うたところで、彼女を混乱させるだけである。
腕時計を確認すると、時刻は14:30を示していた。何とか日が沈む前にこの子の家を特定し、家族の元へ送ってあげなければならない。一先ず警察へ相談するべきであろうか。
しかし、この子の親が──娘が記憶喪失だと知った時のことを考えると、どうしようもないほど胸が痛む。
「とりあえず、一度警察に行ってみよう。君のお家がどこにあるのか、わかるかもしれない」
フィアは静かに頷く。もはや彼女にも、頷く事と首を振る事がやっとなのだろう。
僕が手を差し伸べると、フィアは小さな手を僕の掌に重ねる。脆く儚げな少女を、壊れてしまわないように、そっと慎重に扱った。そう。出会って間もないこの少女は──既に僕の中に陶器のような脆く儚い印象を植え付けていた。